2022年12月8日木曜日

ベルリン国立歌劇場管弦楽団 東京公演レビュー

  12月7日、8日にサントリーホールで行われたベルリン国立歌劇場管弦楽団の公演を鑑賞した。

 当初の予定では、ブラームスの全交響曲(第一番~第四番)を同楽団の音楽総監督ダニエル・バレンボイム氏の指揮で2日間に亘って通しで演奏する(7日が第一番・第二番、8日が第三番・第四番)という内容だった。バレンボイム氏はベルリンフィルのデジタルコンサートでもなじみがあり、私は第一番から第四番まで時系列で全曲を聴けるものと楽しみにしていた。

一カ月半前に指揮者と曲順変更

 しかしながら、あいにくバレンボイム氏の病気によって指揮者がクリスティアン・ティーレマン氏に代わり、1日目の演目の順番が第二番→第一番に変更になった。

 日本を含むアジアツアー全体がティーレマン氏の指揮に変わったことで、韓国ではチケット払い戻しに応じたが、日本では応じなかった。

 ドイツの国立楽団が日韓でこのような差別待遇をするのもいかがなものか。日本人はおとなしいとバカにしているのか。これが逆で日本でだけ払い戻しに応じたら、韓国人は激怒して国民運動にまでなるんじゃないか😂。

 自分がチケット払い戻しをしたいかどうかは別として、日本の観客にも払い戻しの選択肢を用意すべきだと、私は日本の主催者である株式会社テンポプリモに問い合わせのフォームに書いて送った。しかしながら返答はなく、ベルリン国立歌劇場管弦楽団のOrchestra Director宛に状況と上記意見を述べたメールを出したが、なしのつぶてだった。

 12月7日はA席(30,000円+手数料220円)、8日はS席(35,000円+手数料220円)のチケットを入手して心待ちにしていたが、この反応にはがっかりして気分が萎えていた。

ブラームス交響曲第二番→第一番の理由

 とにかく当日は会場へ赴き、初日の公演を聴いたところ、曲順変更の理由は理解できた。ティーレマン氏の演奏は非常に激しく鋭角的なフォルテ部分が特徴的で、私が思うに、この手法は牧歌的なブラームス交響曲第二番には合わない。それに加えて最終楽章の盛り上がる部分はあまりにも拙速でヒッチャカメッチャカという印象だった。もっと言えば、彼は第二番が好きではないのかもしれない。

 これとは対照的に、二曲目として演奏された第一番は彼の手法がフィットして全体としてよくまとまっていた。日本主催者と楽団幹部への不満から、私は心理的に引いた状態で初日の公演を聴いていたが、帰りの電車の中や翌朝になって冷静に振り返ると、少なくとも第一番はかなりいい演奏だった。

 ティーレマン氏としては、自分がより得意として自信を持てる第一番でサントリーホール初日の公演を終えたかったのかもしれない。もしかしたら、急に代役を振られて準備する時間が足りず、優先順位をつけるとすれば、ブラームスが長年をかけて練り上げた第一番をないがしろにするわけには行かない、という状況だったのだろうかとも想像した。

第三番の演奏は珠玉の名演

 翌日は第三番→第四番の順番で行われた。ブラームス交響曲で最も演奏される曲目は第一番>第四番>第二番>第三番、という順だと思う。このため、私は第三番をライブで聴く機会がそれまでなかったが、あの第二番は何だったのかと思うほど、繊細な演奏で曲の細かい部分のよさを引き出し、その一方でフォルテ部分はきびきびと強調され、あれっと言うような間違いもなく、珠玉の名演だった。

 ステージにいる楽団員の数は、ベルリンフィルよりもやや少なく、ダブルベースの位置がベルリンフィルとは逆で向かって左側だった。このため右側が少し空いていた。おそらく、こうした数の違いによって、ベルフィンフィルのほうが厚みのある演奏という印象ではあった。

 しかしながら、ベルリン国立歌劇場管弦楽団の演奏に厚みがないというわけではなく、日本のオーケストラと比べると明らかに重厚感を感じられた。ベルリンフィルとの違いは、例えてみれば、羽毛布団にどれだけ羽が入っているかの違いであり、分厚い布団の価値はもちろんあるわけだが、羽毛が若干少なめの布団でも適切な用途はあり、決して羽毛の質や量をケチった安物ではない、といった感じかもしれない。

ティーレマンの好みは分かれる?

 さてお待ちかね、私が掛け値なく何千回聴いたかわからないほど長年はまっている第四番の登場だ。ちなみに昨夜の聴衆は明らかにブラームスおたくが大半であり、第四番の終わり方からして、悲観的な人生観をベースとする人々である😂。一人で来ている男性が目立つ。年齢層はさまざま。女性は連れもいるが、男性の友達同士は皆無のようだ。カップルもあまりいない。ブラームスに入れ込むという感性は単独行動を好み、かなり冷静である一方、ちょっとしたことに傷つく、といった性格なのだろう😂。

 演奏のほうだが、ふつうの指揮者であれば節目として強調する箇所もさっと流して続け、一呼吸置くところを1.5呼吸置き、そうして溜め込んだエネルギーを指揮者が強調したいクライマックスで炸裂させた。岡本太郎が言うところの「芸術は爆発だ」という感じ。それでいて余韻が消えて完全な静寂になった瞬間、それまでの演奏は正しかったと証明される。これほど饒舌で表現豊かな静けさは稀である。

 曲全体が盛り上がっていくプロセスは乱れそうで乱れないギリギリの線を走る。持たせて、持たせて、腐る寸前まで熟れた果実がおいしい、みたいな感じ。

 独特の感性を感じさせ、最後の〆もややテンポが異なりはしたが、だからと言って全体が乱れてはいない。こういう演奏があったのか。創造の余地はどこにでも存在するものだ、そう思わせてくれた。

 奇をてらう感じではないが、個性的な演奏ではあり、首をかしげている観客も前列にいた。好みは分かれるかもしれない。私としては、何千回も聴いてきた曲にもかかわらず新鮮な驚きがあった。ベルリンフィルと比較される名門オーケストラだが、ベルリンフィルと同じではなく独特の味が感じられ、今後が楽しみになってきた。

(終演時の写真撮影可) 

2022年12月4日日曜日

ブレまくりYouTuberからの脱却

  今年3月に多摩動物公園で撮ったトラの動画がバズり、1万2000回再生を超えた。

 これに驚き、やる気を出してもっと凝った動画も制作してみたが反応はいまいち。

 最初はずっと前に買ったキャノンのデジカメを使っていたが、動画の解像度はかなり低い。

 春に買い換えたスマホのほうが画質はいいが、ズームアップの動きがスムーズではなく、ズームした際の画像はかなり荒い。


 ピントのずれたブレまくりYouTuber😂から脱却すべく、新しい機材を探すため電気店を訪れた。店員さんに勧められたのはソニーのHANDYCAM FDR-AX60という機種のビデオカメラ。思わずルーズベルト大統領?を連想させる品番だ😅
 スマホではズームアップする際のカクカクした動きは避けられない。デジカメで倍率を高くして遠くの映像を撮ると、高倍率の双眼鏡と同じく、倍率が高くなるほど手振れの影響が出る。ビデオカメラはズーム映像もスムーズで手振れ防止機能のついた機種もあり、中でもソニーのFDR-AX60が優れている、と店員が説明する。

 この一つ下の機種FDR-AX45も全く同じ手振れ防止機能がついているが、AX60にしかない性能として、オートフォーカスや露出を調節するマニュアル機能、真っ暗な中での撮影モード、モニターが逆光等で見にくい際に使えるビューファインダーがある。価格コムでは現在、AX60の最低価格は11万6000円程度、AX45は8万8000円程度と、3万円近い価格差がある。AX45は生産終了になっている。

 AX60、AX45とも2018年2月8日発売とすでに5年近く経過している。近く新機種が出る可能性があるか店頭で聞いてみると、コロナ前からソニーの海外倉庫で起きた火災による部品欠品→品薄に、コロナによるイベント自粛が追い打ちをかけ、スマホのカメラ機能向上による競争激化など、ビデオカメラ市場をめぐる環境は厳しい、という。

 私の最大の目的は、来年神宮に野球観戦に行き、1塁側に陣取って3塁側ベンチにいる岡田監督を撮影し、勝った瞬間に喜ぶ表情をとらえることだ。


 つまり数十メートル先の暗がりにいる人物をズームアップして焦点を当て、手振れを最小限に抑える必要がある。この目的を果たせるスペックの揃った機種はAX60かそれ以上しかない。

 AX60は付属のバッテリーを積んだ状態の重量が625g、さらに上位機種では1㎏近く価格も約24万円と約2倍。パナソニックもビデオカメラを製造しており、同社の機種のほうが価格、重量ともに低い。だがYouTubeにアップされている撮影動画を見ると、手振れ防止機能はソニーのほうがよく、パナの商品にはマニュアルで焦点を調節する機能などもついてない。

 こうした諸条件を総合的に考え、最終的にSONY HANDYCAM FDR-AX60を買うことにした。最低価格の店を調べたところ、ヤフーオークションで新品未使用のものが10万6001円即決で出品されていた。10月に買ったばかりでそこから1年間メーカー保証もついている、という。なぜ出品されたのか気になり、売り手に問い合わせると「コロナで予定が変わったためです。決して違法な事で入手しておりませんのでご安心ください」と。。

 どのような事情なのかわからないが、このような上位機種をわざわざ買ったということは、私のようにいろいろな機種を調べ、具体的な撮影目的のために入手したのだろう。昨夜届いた品はビニール袋からUSBケーブルなど付属品を出した形跡もなく、購入店のハンコが押されたメーカー保証書と領収書も同封されていた。

 早速試し撮りをしたところ、ふつうに作動し、全く問題ないようだ。東京西郊の山の上から都市部を望む夜景はさすがに離れているが😅、以前にスマホで撮影した動画と比べると鮮明度の差は歴然としている。

2022年11月26日土曜日

自分の取り扱い説明書

  SNSで元同僚が紹介した自己分析テストが興味深い。著名な心理学者が開発した手法で、96個の質問に答えていき、人間の持つ24の特性を該当する順番に並べる、というもの。無料で受けることができ、より詳しく知りたければレポートを買う。

 とりあえず無料版を試してみた。もとの言語は英語版で、最近あまり英語を使っていない(😅)ので脳トレのため英語で受けてみたが、日本語でも可能。

 私の結果は。。まずは最も高いスコアの出た特性:

1. Perseverance (courage): Finishing what one starts; persevering in a course of action in spite of obstacles; “getting it out the door”; taking pleasure in completing tasks.

 自分にとっては当たり前。一度決めて価値があると認めた事柄は完遂するよう努力する。周辺環境によって不可能なこともあるが。。

2. Bravery (courage): Not shrinking from threat, challenge, difficulty, or pain; speaking up for what’s right even if there’s opposition; acting on convictions even if unpopular; includes physical bravery but is not limited to it.

 これはそうだな。ワクチン1回も打ってないし。別に打ちたい人は打てばいいと思うが、私は個人的に自分が怪しいと思うものには、決して手を出さない。

3. Self-Regulation (temperance): Regulating what one feels and does; being disciplined; controlling one's appetites and emotions.

 これも当たってる。禁酒3年半、カロリーと栄養管理・毎日の運動で理想体重維持、エクセルで1円単位で家計簿を10年以上つけて分析、無駄な出費は一切なし。

4. Prudence (temperance): Being careful about one's choices; not taking undue risks; not saying or doing things that might later be regretted.

 そうだな。。慎重は慎重だが、リスクを取らないわけではない。成長株にも投資するが、まずは100株単位で様子を見る。最悪のシナリオを想定し、この会社が倒産したとしても、全体的に投資成績がプラスになるよう取れるリスクを計算する。人生全体で言えば、年齢的にリスクを取っても大丈夫な時期を見極める。

5. Honesty (courage): Speaking the truth but more broadly presenting oneself in a genuine way and acting in a sincere way; being without pretense; taking responsibility for one's feelings and actions.

 そうですね。。ストレートな物言いのほうがわかりやすく、時間の無駄にならない。

 こうしてみると全て勇気 (courage) と自己管理 (temperance) に集約されるようだ。

 では最もスコアの低い項目から並べてみよう。

1. Forgiveness (temperance): Forgiving those who have done wrong; accepting others’ shortcomings; giving people a second chance; not being vengeful.

 そうだな、なんと言っても蠍座B型だから😅。「酒が入っていたから」なんて言い訳は絶対に許しません。だったら最初から酒を飲まないでくれ。税金の無駄遣い、メチャクチャな上司、無神経な言動、しつこい押し売り、戦争中に米国が行った市民への攻撃などを許すことは永遠にないですね。これを私は「短所」とは認識しておらず、むしろ類まれにみる長所だと思っています。

2. Love (humanity): Valuing close relations with others, in particular those in which sharing & caring are reciprocated; being close to people.

 たしかにガヤガヤした環境は苦手。私の人生はいわば24時間マインドフルネス😃。集中して何かに取り組んでるか、ボーっとして寝てるか、のどちらか。愛ってなんですか。。?いやまて、阪神ファンのFBグループで自己紹介したら「すごく阪神愛が伝わってきました!」と言われたな。つまりタイガースに抱くような感情、ということですね😍🐯

3. Leadership (justice): Encouraging a group of which one is a member to get things done and at the same time maintain good relations within the group; organizing group activities and seeing that they happen.

 まあ、私なりに努力したとは思いますけどね。そもそも集団行動があまり好きではない、とは言える。

4. Spirituality (transcendence): Having coherent beliefs about the higher purpose and meaning of the universe; knowing where one fits within the larger scheme; having beliefs about the meaning of life that shape conduct and provide comfort.

 そうですね、「宇宙の意味」なんてわからん😅

5. Teamwork (justice): Working well as a member of a group or team; being loyal to the group; doing one's share.

 ハイハイ、宮仕えは向いてなかった、ということですね😅 しかしながら、最終的には米政府の日本人職員としてトップの地位まで行ったんだから、相当な粘り強さ (perseverance) があった、ということでしょう😍 

2022年11月24日木曜日

13代目團十郎にみる歌舞伎の限界と可能性

 市川海老蔵改め13代目市川團十郎白猿(はくえん)の襲名披露公演を、先日歌舞伎座で鑑賞した。

 昼の部で團十郎は勧進帳の弁慶役を務め、重い衣装をまとい額に汗して一生懸命に演じていた。しかしながら、感動したかと言われれば、そうではなかった。いろいろな意味で非常に考えさせられる公演であり、その理由を述べてみたい。

 團十郎と言えば歌舞伎界で最も格が高いとされる。イヤホンガイドの解説によれば、江戸時代は圧倒的に男性の人口が多く、初代團十郎が始めた荒事(荒々しく豪快な歌舞伎の演技)が人気を呼んだ。

 ちなみにガイドはさらっと言ったが、これって普通にヤバくないか? 中国の一人っ子政策で男の子が好まれ、女の子が生まれると殺された家が多かったのと同じなのか? ググってみると、江戸は武士・商人の町で出稼ぎ男性が多かった、ということらしいが。。

歌舞伎の歴史と團十郎

 もともと歌舞伎は1603年に出雲阿国という女性が創始した「かぶき踊り」に端を発し、当初の演者は女性だった。遊郭の経営者が集客目的で遊女たちに演じさせる「遊郭歌舞伎」が流行り、客同士による人気女優の取り合いにも発展した。

 このため幕府は1629年、歌舞伎の舞台で女性が演じることを一切禁止した。歌舞伎役者に男性しかいないのは、このような背景による。

 だが男性役者による問題もその後生じる。大奥の女中たちが歌舞伎鑑賞に夢中になり、役者たちとの宴会で門限を過ぎた。もともと幕府は歌舞伎をあまりよく思ってはおらず、原則として大奥の女たちが芝居を見物するのを禁止していたこともあり、このことは大きな問題になった。

 当時の江戸には歌舞伎を行う4つの芝居小屋があったが、幕府は全て取り壊そうとした。だが二代目團十郎の尽力によって、上記の事件が起きた山村座以外の3座は存続した。

 そもそも女性が始めた歌舞伎だが、歴代團十郎が発展させ、存亡の危機を救ったことで、團十郎が最も偉いということになった。

 初代團十郎(1660~1704年)が活躍した時代から約350年。皇室とも似た男性世襲制によって、2022年に13代目市川團十郎白猿が襲名した。「白猿」をつけた理由は本人いわく「父や祖父の足元にも及ばず、これから精進していこうという気持ち」だという。

12代目との比較

 このコメントは彼の正直さを表している。

 2012年10月、私は12代目團十郎(13代目の父)の富樫、9代目松本幸四郎による弁慶の勧進帳を鑑賞した。当時すでに12代目團十郎は白血病を患い、この公演から3カ月もしないうちに他界した。おそらく本人も最後の勧進帳だと感じていたのだろう。

 今回の13代目團十郎の襲名公演とは全く別次元のレベルだった。

 公演全体のメリハリ、見せ場の盛り上がり方、弁慶・富樫・義経の三者の全身から湧き上がるオーラ。そうした全てが最後の飛び六方に収斂されるクライマックスでは、魂が揺さぶられ、心の底から込み上げてくるものがあった。これぞ日本の古典芸能の真骨頂。昨年春に見た祇園や円山公園の桜にも通じる。

 先日の公演はそうしたものではなかった。「父の足元にも及ばない」と本人があらかじめ明言し、そのため名前まで変則にしているのだから無理もない。元NHKアナウンサーの山川静夫氏は「芸の域に達していない」とまで語っている

 公演直後、周囲の観客は無言だった。隣席の中年女性は即座に立ち上がり、そそくさと出て行った。

 前述した2012年の公演は、12代目團十郎が1985年に襲名以来27年、最後の集大成だった。團十郎デビューしたばかりの13代目がこれを上回ることを期待するほうがおかしい。

 その理屈から言えば、今回のチケット料金は通常の1等席・1万8000円より5000円プラスの2万3000円で高いじゃないか、という見方もあるだろう。若葉マークのついた團十郎であるなら、むしろ1万5000円程度にすべきではないか、と。

 ただ襲名のお祝い、特別感を出すためにプラス料金にする必要があったのかもしれない。昼の部の1幕目・祝成田櫓賑(いわうなりたこびきのにぎわい)は大勢の役者がずらりと並び、有名画家の村上隆氏が「祝幕」(下の写真)を作成するなど費用も多くかかっているのだろう。

 実のところ、このコラムを書いていて私は罪悪感、あるいは自己嫌悪を感じている。13代目團十郎さんが懸命に演技しているのはよく伝わってきたし、こんなに頑張っている人を批判するのはいかがなものか、と。

 12代目團十郎と9代目幸四郎の勧進帳など過去の名演技を見たことがなければ、もっと楽しめたかもしれない。実際「海老蔵時代とは、失礼ながら別人かと思うほどよかった」というツイートもあり、それを見て私も鑑賞に行く気になった。

13代目が目指す方向に期待

 ただ、こんなに一生懸命なのになぜ感動しないのか? 

 それは私がシニカルというわけではなく、山川氏の発言、あるいは周囲の観客の反応からみても、10~20年以上の歌舞伎鑑賞の経験のある観客には共通する感覚なのだろう。

 私が思うに、13代目團十郎が海老蔵時代から目指していた方向や考え方と、江戸幕府が定めて現在に至る歌舞伎の在り方にギャップがあるのではないか。

 そもそも女性が始めた歌舞伎でありながら、政府の都合で全く違う方向に走ってしまい、今では男優しか許されない既得権益の場となっている。そうした歌舞伎の在り方について、海老蔵(当時)は疑問を呈している

「歌舞伎が今のかたちになってから200~300年という年月が経って、そろそろ考え直す時期にきている。(中略)性別を理由に女性が歌舞伎をできないことが、僕にはわからなかった」

 来月の公演では娘の市川ぼたんも舞台に立ち、将来は歌舞伎役者になってもらいたいと期待している、とも。

 江戸幕府が歌舞伎を現在の形に規制したとは言え、すでに400年近く経っている。この間に男優しか認めない制度でメリットを享受する人々もいるのだろう。世襲制を基盤とする排他的な家制度によって競争力を維持できる、など。

 また、最近の観客の9割は女性であり、ひいきの俳優の相手役も男性であることで安心し、逆に女優が相手であれば今ほど楽しめないのかもしれない。

 あるいは「男の沽券にかかわる」とか「〇〇を男にする」といった言い方をする男性にとっては、男性の優位性や専売特許を譲り渡すこと自体が許しがたいのかもしれない。

 ただ、多くの層の人権や平等が重視され、変革する社会において、こうした閉ざされた世界を打破する時期に来ている。

 13代目團十郎が現在の歌舞伎界に風穴を開け、新境地を見出し、先代をも超越して感動的な公演をしてくれる日に期待したい。

2022年10月27日木曜日

一軍と二軍、ノンプロの違いとは

 特定のチームのファンとして野球観戦に行くということは、つまり勝つために応援することだ。勝利の瞬間を味わい、ヒーローインタビューまで見る楽しみもあるが、その一方で負ければお通夜、もしくは汚いヤジに気分が重くなる。

 こうしたプレッシャーなしに、もっと気軽に野球を楽しむ方法はないだろうか。

 最近は野球の結果や関連記事をよく見ているためか、いろんな野球情報がヤフーのトップページに出てくる。そんな中に巨人と社会人野球の練習試合のお知らせがあった。

 これは面白いかもしれない。

 どちらが勝とうが私には全く関係がない。

 社会人野球は阪神・近本選手(大阪ガス出身)、もっと前では江本投手(熊谷組出身)などプロでも即戦力となる選手も結構いる。だが社会人野球のプレーは一度も見たことがなかった。

 巨人ファームの本拠地・ジャイアンツ球場で昨日行われた、巨人対日本製鉄かずさマジックを観戦した。入場無料で定員1500人。午前11時半開門、12時半試合開始。予約不要、そのまま会場に行けばいい。

 最寄駅は京王よみうりランド。高台に位置するプラットフォームの外側にはススキが生い茂り、思わずユーミンの「まぶしい草野球」が脳内を流れる(😂)。

 ファームとは言えプロ、社会人野球もプロ予備軍という位置づけで草野球ではないが、ジャイアンツ球場が見えてくる風景は、思わず草野球という言葉を連想させる。

 午前11:45頃に会場に到着すると、巨人の選手たちが練習をしていた。大声を掛け合い、どこか学校の部活すら彷彿とさせる。

 もしかして入れないか立ち見かな?と思っていたが、その心配はなく、3塁側上段の見やすい席がガラガラに空いていた。さらに上側で屋根のついた席や1塁側前列は結構うまっていた。

 試合開始が近づくと、なんと原監督やコーチ、スタッフと思われるグループがバックネット裏の関係者席に現れた。原さんは着席する前に帽子を取って周囲の観客に一礼した。

 私の席から原監督まで、おそらく50メートルくらいはあったかもしれない。この写真はスマホのカメラでズーム撮影したものでピントにかなりの限界があるが、先日動画で紹介したズーム式の双眼鏡で最大倍率(24倍)で確認すると詳細がわかり興味深かった。

 原さんのジャンパーについている背番号83はもちろん、手の甲のしわ、隣に座っている人がバッティングのジェスチャーをしているのにうなずいている様子など。

 3塁側の席から巨人ベンチを見ると、選手たちが談笑している表情も見える。投手は全体のフォームを見たい時には8倍、顔つきをアップで見るには24倍、というふうに使い分けられる。

 ただし倍率が高くなるほど手振れの影響が出るため、膝の上にバッグを置いて腕を固定するなど工夫し、なるべく手振れがしないようにした。慣れてくると手で双眼鏡を支えるだけでも手振れ頻度は低くはなる。

 どうしても手振れは結構するが、その合間の瞬間に細かい表情やニュアンスを確認するのは可能である。

 野球観戦は試合の流れを追うのが主であり、観劇やコンサートとは違って、選手の表情や詳しいフォームを見たい時間はそれほど長くはない。このため、手振れ防止機能はついていないものの、今回購入したニコンのSportstar Zoomという双眼鏡にはかなり満足している。

 話を試合に戻すと、二軍の試合だと思っていたが、巨人側はスターティングメンバ―の打線を一軍の選手で固めていたようだ。1回裏、巨人はノーアウトでヒットや四球でフルベースにして満塁ホームラン。それでも延々と攻撃は続き、一挙に6点が入った。

 おいおい。。こんなんじゃ夜になっても終わらないのかな?と思っていたら、次回以降は二軍選手を登場させ、日本製鉄の投手は0点で抑えていった。5回表には日本製鉄にもヒットが出て1点を返したものの、その裏に巨人は1点を追加。

 その後、原監督いわく「来年2月1日にもこの状態だったら、一軍スタートも十分あり得る」というほど調子のよい投手を投入。日本製鉄のバッターの大半は球にかすりもせず、三振の連続。バットに当たってもピッチャーゴロくらいで、それすら珍しい。

 一軍の試合では、たとえ完封で抑えられていても、少なくともバッターはファウルで粘る、外野フライを打つ、くらいはできる。だが一軍レベルの投手には、社会人野球では全くと言っていいほど歯が立たないようだ。

 しかしながら、昨日の試合を見る限りでは、巨人の二軍と社会人野球にはそれほど大きな違いはなかった。

 結果は7対1で巨人の勝利だったが、最初から巨人がファーム選手だけで戦っていたら、もっと拮抗した試合になっていただろう。

 いろんな意味で面白い体験だった。スタンドには時折トンボが舞い、試合中にも選手やベンチから掛け声が飛び交う。午後には西日も差して文字通り「まぶしい草野球」に近く、素朴な野球の魅力を感じることができた。

2022年10月24日月曜日

阪神・岡田新監督から目が離せない

 10代の頃から熱心な岡田ファンとしては、阪神・岡田新体制がうれしくてたまらない。

 若い頃の岡田選手はかわいい童顔でクリーンナップの重責を担い、リーグ優勝・日本一に大きく貢献した。当時の状況が目に焼きついている私としては、多くのファンと同様、岡田さんも年を取ったなと感じる。

 先日神宮で観戦したCSファイナル初戦では、三塁側で聞くに堪えないヤジが目立った。ビジター球場でこの状況なのだから、甲子園で負けた日にはどうなのか。

 監督就任会見で阪神ファンの印象はどうかと聞かれ、岡田氏は「コロナでおとなしくなった」と表現している。つまり、普段は相当ひどかったとも言い換えられる(😰)。

 あまりにも熱狂的なファンの期待値が高いため、阪神の監督や選手、スタッフには心労が絶えないのだろう。あんなに若々しくフレッシュだった岡田選手が64歳にしてはかなり老け込み、70代後半や80代にも見える。会見やインタビューでも喉の調子が悪く、やや心配になった。

 そんな中「選手はいいので、十二分に力を発揮できるよう御膳立てすれば”アレ”(=優勝)できる」「阪神に最後の恩返しがしたい」と立ち上がってくれた。お体に十分注意して、思う存分采配をふるっていただきたい。 

 岡田語録には「おーん」「うん」といった間投詞が多く、はっきり物を言わないので意味がわからないとも指摘される。

 だが「正捕手は梅野」「大山と佐藤のファースト、サードは固定」「二遊間は守備固めで見直す」ときっぱり。その一方で「優勝」という言葉は使わず「アレ」と言い、今回の監督就任に関して奥さんや家族から何と言われたかについては、あれこれと言葉を発しはしたが、質問には一切答えていない。

 岡田監督の頭の中には明確な考えがあるのだろうが、必要に応じて答え方を変えつつ、間投詞をまじえてソフトな語り口にしている。すごく頭のいい方だと思う。

 新庄氏も「岡田さんの解説は大好きで、聞いていてなるほどと思うことが多い」と語っている。

 昨日秋季練習がスタートし、岡田新監督がついにユニフォーム姿を見せた。チームへの挨拶で青柳が帽子を脱いで話を聞いている。彼はヒーローインタビューの時でも帽子を決して取らず、20代にしては薄毛なのを気にしているようだが、この日はそれでも帽子を取っている。岡田監督への敬意の表れだろう。

 CSファイナル第三戦で阪神はエラーで自滅し、あの時の青柳投手の表情には怒りがこみあげていた。あれで負け投手、ピッチャー交代を告げられ、あまりにも理不尽で気の毒だった。

 この試合について岡田氏は「(矢野阪神の)最大の問題が表れていた」として「まず守備固め」と何度も言っている。青柳投手はこの瞬間を待ち望んでいたに違いない。

 その一方で、中野選手(背番号51)はうつむいている。彼の送球は一呼吸遅いと、岡田氏は川藤氏のYouTubeチャンネルで語っていた。

 コロナ禍でヒマだった時に、岡田さんはジグソーパズルと数独をひたすらやっていたという。与えられた条件と全体像を把握して、効率的に問題を解いていくという意味で、監督業とも共通点があるのだろう。

 来期は岡田監督を見るため、神宮では一塁側に陣取りたい。なんなら毎日でも通いたい。

 早いうちに仕事を辞めてよかった(😅)。白内障になる前に好きなだけ岡田野球を見られる。来季が楽しみでしかたない。

2022年10月22日土曜日

若い女性にお勧めの進路とは

  昨日、自衛隊経験者のコメントにみる組織論を書いた。そこでふと、私がいま学生でこれから進路を選ぶ、あるいは転職先を探していたら、どうするだろうかと考えてみた。

 最近では仕事や組織の現実を伝えるネット情報が発達したおかげで、進路先の検討に大いに役立つ。元陸上自衛隊の女性もこのサイトを事前に知っていたら、別の進路に進んでいたのかもしれない。

 正義感のある個人が組織を変えることはできなくもないが、どれだけその組織がまともなのかにもよる。ある程度まともな組織であっても、有能な人物が要職にいる間だけの短期的な改善に終わってしまい、長続きしないこともある。

 組織に就職することなく、最初から個人事業主や会社経営をはじめる人もいる。親の会社を継ぐ、あるいは周囲に経営者が多く小さい頃から門前の小僧として学んでいる、というタイプに多い。

 大組織の御曹司や政治家二世でも、最初は別の組織に就職して世間を知る、ということもよくある。個人投資家になるにしても、どんな組織がよくて、どんな組織がダメなのかを肌感覚で理解していることは、投資先を見極めるうえで大いに役に立つ。少なくとも数年は勤め人をやってみるのも、世間を知るいい経験になるだろう。

 私が新卒で就職した頃は、女子学生の就職先は大企業の一般職が多く、商社や銀行は総合職の女性をほとんど採用していなかった。電車の車掌や駅員も男性のみ。結婚→寿退社がふつう。今では隔世の感があるほど、女性の進路は選択肢が広がっている。

 いずれにせよ、経済的に自立して初めて精神的な自由を得られる。ココはかなり重要な点だと思う。

 他人の人生や家庭のことはよくわからないが、特に中年以降の傾向として、既婚・子持ち女性の語る内容は子供の話が多く、この人の夫はどこに行ったのかと思うほど夫のことには触れない。

 それとは逆に、男性のほうは「女房がどうした」と会社の部下にまで毎日のように話す上司もいる。

 会社に勤めてみると、こんなセクハラ・パワハラおやじでも結婚しているのかとあきれることも結構あった。

 会社であれ家庭であれ、イヤな環境から逃げ出せるカギは経済力である。

2022年10月21日金曜日

「セクハラ」は組織問題の氷山の一角

  陸上自衛隊で女性隊員がセクハラや性被害を受けたとして、陸上自衛隊トップである幕僚長と事件に関与した隊員が謝罪した。

 彼女が状況を詳述した動画を見ると、上司の指示による組織的な集団暴行・性犯罪であり、セクハラを超えた深刻な状況だったとわかる。

 杉森務ENEOS前会長が那覇市のクラブでホステスに働いた行為も、週刊新潮の記事を読めば性暴力・傷害罪である。産経新聞が社説で取り上げて問題提起した一方、日本経済新聞は「不適切な行為」という甘すぎる表現で小さい扱いに過ぎなかった。

 話を自衛隊に戻そう。

仕事のプロが本音を明かすhonnne.biz」というサイトには、自衛隊経験者から2105件ものコメントが寄せられている。やりがいのスコアが全職業中ワースト1位で、ほとんどの投稿者が5点満点で1点をつけている。これらのコメントを読んでいくと、どうやら「セクハラ」は氷山の一角に過ぎないようだ。

 具体的には下記の報告がある(文言は原文ママ)。

 毎年陸・海・空合わせて150人ぐらいの自殺者が出ているが防衛省で改竄し、110人ぐらいにしている。そればかりか国会で質問を受ける時は更に改ざんし80人前後にして病死者より少ない値にして国会で答弁している。

 自衛隊は定期健康診断、生活習慣病検診、入校前検診等があるだけでなく、定年が早いので病死者数は他の職業に比べても少ないのは考えるまでもないだろう。

 野党はもうちょっと食い下がって欲しい。ニュースで散見される自衛官の不祥事は氷山の一角で100分の1も明らかになっていない。

 殆どは組織を守る為だとして幹部の保身を最優先して隠蔽している。規律を重んじるなら処罰すべきである。無事故無違反3000日達成につき受賞とか言って誇らしくしている部隊こそ隠蔽体質である。

 このほか下記の書き込みもあった。

 やたら自衛隊をアピールするテレビ番組を最近目にするが、逆に不祥事のニュースはたちまち立ち消えになる。おそらく憲法改正の為に政治・自衛隊が一体となってやっていると勘ぐってしまう。なぜなら決定的な不祥事はここ何年も起きていない様になっていて、パワハラやセクハラ、駐屯地外での猥褻事案ぐらいしか起きていないみたいだが、これは小さな罪で懲戒処分を与えている印象を醸し出せば、それより大きな罪は当然処分しているだろうと国民に思わせる狙いがあると個人的に思っている。

 「第二次安倍政権以来、公文書改竄がさらにひどくなった」という記述もある。

 その他にも多数の報告があった。「草刈りや穴掘りなど誰にでもできる作業が訓練よりはるかに多い」「定年が早く、幹部が天下りした先の日本企業が作ったおもちゃのような武器をいじくるだけ」「少年院上がりやチンピラの巣窟」「人は1割まとも、1割普通、7くず、1割ガキと、ば幹部(原文ママ)」「今、高官と呼ばれる屑どものバカな思い付きのせいで数少ない優秀な人材が離れて、結局日本と仲良くできない複数国の思い通りになってる(原文ママ)」

 もしかしたら、こうした問題から目をそらして自衛隊の存在をアピールするために国葬を行ったのだろうか。葬儀の主役は自衛隊という印象だった。

 目を覆いたくなるような投稿が続いて気が滅入る一方、これって自衛隊だけじゃないよね、と言いたくなるほど本質を突いた記述も散見される。多少の差はあれど、ほかの組織でも無縁ではない「あるある」を挙げてみよう。

・どの部隊に配属されるかによって、天国か地獄に分かれます。

・ハラスメント?普通にありますよ。身内による調査のため、確たる証拠が無ければ告発した人間が報復されます。組織への反逆者ですからね。

・ここで一句「パワハラが 上手いやつほど 出世する」

・二度手間多し、やってる感アピールが大事。

・やる必要性がないことを一生やる。

・どんな事でもいちいち面倒くさく、忙しくさせようとする。バカか?と思える程の仕事の重ね方をする。仕事が終わっても充実感や達成感など皆無。疲労感、ヤレヤレとした気持ちしか残らない。

・なにかと計画と報告の作成で無限ループ。ずっとPCの前でカタカタやってます。

・雲の上のアホ幹部は何の対策にもならない自己満足をして仕事した気になる。

・優秀な人は仕事しないが何を以て優秀なのか分からん。階級?年数?お気に入り?

・口だけ星人大量発生。

・ごくまれに素晴らしい人がいるが、今となってはそれも勘違いだったのではと人間不信になるくらい人間関係がめんどい。

・正直者が馬鹿を見ます。本当に国民を守りたい.日本を守りたい.など志を持ってる隊員も居ます。なぜかそういう隊員達は嫌われたりします。本当に可哀想です。悲しいです。

・仕事内容:動かないゴミクズの尻拭い

・仕事内容:周りに合わせること

・我慢、この仕事は我慢をする事が仕事。

・うーんドMには向いてるかも笑

・刑務所の疑似体験をしたい人には良い。

・欺瞞だらけ。考える人には向いていない。

・自身が居心地をよくするコツは常に強い者の側にいる、ゴマをすり気に入られる事。

 私が組織で働いていた頃には、こうした現実をなるべく意識しないように努力していた。上司ガチャという状況は確かに言える。いい上司に恵まれれば楽園、そうでなければ異動まで待つ。

 もちろんポジティブな面、やりがいのある仕事に恵まれた時期もあった。そうした点について、大学のキャリア講座で講師として呼ばれた時にはアピールした。

 今では仕事を辞めてのんびりして洗脳状態から解かれて考えるに、学生や若い方には「大なり小なり組織とは上記のようなもの」と伝えたい。多くの人は生活するために働かなければならないので、よい面を強調して自分に言い聞かせている。SNSで素敵な場面しかアップしないのと似ている。

 ただ組織によって程度の差はあるので、ホワイトだと思えば居続ければいいし、あまりにもひどい状況だと思えば、我慢しないほうがいい。

 話は主題からややそれるが、この時代、オンラインを活用して組織に属さずに稼ぐ方法も結構ある。

 小金を貯めて株投資をやってみるのもいい。まじめに勉強してうまくやれば個人投資家としてやっていけるし、通勤や出社がないので、スーツや靴、バッグ、コートなどの出費もほとんどない。

 いい銘柄を数回に分けて仕込み、売りたい値段で指しておいて平日の昼間にスポーツや買い物に出かけて帰宅したら、結構な額の売却益で売れてた、なんてことも今月複数回あった。

 世界経済や企業経営に興味があり、頭はフル回転させるが神経を使うのはイヤ、という人にはすごく合っているライフスタイルだと思う。是非お勧めしたい。

2022年9月30日金曜日

勝沼ぶどう郷 シャインマスカットを満喫する旅

  JR中央線快速の終点・高尾からローカル線で1時間。ぶどうの産地やワイナリーで知られる山梨県勝沼の観光拠点となる「勝沼ぶどう郷」駅で下車。かつては勝沼駅と呼ばれたが、1993年に現在の駅名になった。

 平日の特急は1日1便しかない。各駅停車は特急料金がかからず、高速移動に伴う独特の疲労感もないためか、より気軽な旅行になる。

 プラットフォームが高原の高台にあり、のどかな風景を見渡せる。オーストリアのザルツブルクを思い出す。


 駅前のロータリーはこんな感じ。


 コロナと酷暑で2カ月ほど引きこもっていたが、ようやく状況も落ち着いてきた。旅行に快適な季節となったが、その一方でインフレと世界景気の先行き不透明感が気になる。

 どこか近場でいい場所はないだろうか。

 昨年の今頃、河口湖に行ったときにロープウエイ駅の近くで、地元で採れたシャインマスカットや甲斐路をかなりお得な値段で売っていたのを思い出した。

 日経新聞の記者時代、食生活ジャーナリストの会という団体の主催した勝沼のワイナリーツアーに参加したことがある。当時はそれほど知られていなかった岸朝子さんらと同じバスに乗り込み、マンズワインのテイスティングを楽しんだ。彼女はその後「料理の鉄人」で一躍有名になり、7年前に他界した。

 今では私はお酒は飲まないし、勝沼のワイナリーには当時を含めてすでに2回行ったことがある。シャインマスカットは大好きだが、高級食材で小さな房でも1つ1,500円~2,000円以上するため日常生活では手が出づらい。最近では巨峰や甲斐路もかなりお高い。

 そこで「日帰り旅行+思う存分ぶどうを堪能」をテーマに勝沼への旅を計画。事前にネットで調べ、HPのある果樹園も参考にしていたが、駅を出てすぐ左手にある観光案内所で地図を入手して「お勧めのぶどう園ってありますか?」と聞いてみる。


 案内所に置いてある「甲州市 フルーツマップ」には勝沼地域だけで94もの果樹園がリストアップされているが、なかでも勝沼観光センター・専果園はぶどうの種類が豊富で、園内にほうとう(山梨県の地元料理で野菜のたくさん入ったうどん)の食事処もあると言う。

 このほかの見所として、勝沼ぶどうの丘(駅歩15分)に展望台、レストラン、土産物店、ワインのサンプル、日帰り温泉(平日は15:00~)がある。その先にハーブ庭園・夢日記という入場無料の施設もあり、全て回るとなると徒歩ではかなりの距離になりそうだ。

 そこでレンタサイクルを借りることにした。多少の坂道はあるが、電動アシスト式なので大丈夫と案内所の女性が言う。都市部でも見かけるカード式のタイプで1日1,010円。


 まずは勝沼ぶどうの丘に到着。視界の開けた眺望を楽しめる。


 構内のワイン貯蔵庫・試飲コーナーには、日本を代表する方も来訪(😄)。


 さらに自転車を走らせて日光を浴びつつ、ぶどう畑の中を行く。かすかにぶどうの香りが漂い、どこか生ごみを想起させる。デラウエアの皮の山の匂いとも言うべきか。木になりつつ腐ってくることもあるのだろうか。だがゴミ置き場の臭いとは異なり、いい香りとそうでない臭いとの間に位置する微妙な感覚。

 香水それ自体の香りよりも、人間の体臭と微妙に混ざって発する匂いが、場合によってはやや気持ち悪く、だからこそ独特の魅力を醸し出す。いずれにせよ、ガイドブックやグーグルマップでは伝わらない現場感覚こそが、旅行の魅力である。

 道中の果樹園には、ぶどうのパックと小銭入れを置いた無人の販売所もあった。平和な世界の中にあるハーブ園に到着。HISなど旅行会社の大型バスも駐車場にとまっており、ツアー客もいた。多種類のハーブがあり、ラベンダー、コスモス、どこかモネの絵のような池もある(詳細はYouTube動画を制作中)。


 周辺には果樹園が数軒あり、たわわになったぶどうの下でシャインマスカットや甲斐路の味見をしながらお茶もできる。予約なしでぶどう狩り、採れたてのぶどうの購入や地方発送も可能。


 この果樹園ではぶどう狩りのできる種類は甲斐路のみだったので、観光案内所に教えてもらった勝沼観光センター・専果園に向かう。

 シャインマスカットがこれでもかと、鈴なりになっている。

 
 まずは園内の食事処でランチ。ほうとう(1,500円)は、だしのききかたが外食というよりも自然な家庭料理の雰囲気。かなり大きなキノコが山間地に来たことを実感させる。長野のなめこもびっくりするほど大きい。一人分でもかなりの量でお腹一杯。


 ぶどう狩りをできるかと尋ねると、無料サンプルを用意してくれた。全部で4種類のぶどう狩りが可能で「バナナ」という珍しい品種もある(左下、バナナの味ではなく😂、甲斐路に酸味を増した感じ)。


 これだけでデザート以上になりそうな、かなりの量だったので、まさか私一人分だとは思わず、残りを返却したら店員さんはやや気を悪くしたようだった。シャインマスカットを買った際に残りを袋に入れて一緒にしてくれた。

 4種類それぞれのよさがあったが、シャインマスカットが断トツだった。ぶどう狩りでは量り売りで大きめの房が1つ2,000円程度。その一方で店頭に並んでいる「規格外」(と言っても十分に整っている)のシャインマスカットも当日収穫したもので新鮮さはさほど変わらず、2~3房で2,000円。私の近所のスーパーで売っているものと比べて半額~3分の1の値段である。こちらを購入。

 帰りはフルーツラインという自動車道を行き、駅への近道の標識にしたがい、ぶどう畑の細い道に入る。歩行者か自転車でないと入れない道幅。途中で先ほどの「ぶどうの丘」が見える。


 駅に到着して自転車を返却。観光案内所の女性に報告して「おかげさまで素敵な一日でした」と御礼を述べる。

 電車は1時間に1本。早めに着いたので待合室の椅子に腰かけ、エアコンが効く快適な空間から絵になる風景を眺める。


 帰宅後にシャインマスカットを思う存分堪能し、残った分は冷凍保存してシャーベッドの感覚で味わう。とは言いながら、冷凍庫に入れても少しずつ変色してくるので、なるべく早く食べたほうがいい。

 

2022年9月27日火曜日

安倍晋三元首相・国葬の感想

 安倍晋三元首相・国葬を全中継したアーカイブ動画を見た。

 日本としては、とにかく国葬をしなければならない事情があったのだろう。そう感じた。半世紀以上を生きて海千山千と渡り合った経験から、直感的にわかる。

 国葬の前面に出て主役を張ったのは自衛隊であり、日本の軍隊だと印象づけた。自民党・内閣合同葬だったとしたら、自衛隊はここまでの存在感を出しただろうか。つまり、日本は曲がりなりにも主権国家であり、その象徴として防衛力を示す必要があった。

 素人がつくった散弾銃に安倍さんだけが見事に当たった。その背後はノーガードというあまりにも甘い警備。さらには事件後5日も経ってから現場検証が行われ、わざと証拠を発見できない状況を作り出すかのよう。誰が考えてもおかしい不自然なことだらけだ。

 安倍氏が殺害された表向きの理由は統一教会との関連であり、それ自体は事実なのかもしれない。だがもっと大きな内幕がなければ、日本の警察がここまでヘンテコなことにはならんだろう、どう考えても。

 権力者と大きな内幕が手を組み、お互いの利害が一致したのかもしれない。もちろん日本全体としては一大事である。マスク着用でまなざしや雰囲気でしか窺い知ることができないが、秋篠宮殿下はそうした経緯に呆然としているように見える。

 おそらく菅前首相も蚊帳の外だったのだろう。いまだに呆然として、結果を受け入れられない悔しさが挨拶ににじみ出ていた。菅氏が話し終わると思わず会場から拍手が出た。これとは対照的に、岸田首相の挨拶はどこか表面的で冗長だった。

 安部氏の弟・岸前防衛相が車椅子で登場したのも、いったい何があったのだろうか。

2022年9月19日月曜日

エリザベス女王国葬の感想

  昨日エリザベス女王の国葬が行われ、BBC、Sky News、王室などのYouTubeチャンネルで全行程が中継された。

 各国元首や歴代英国首相、王族がウエストミンスター寺院に入場。葬儀は聖職者の言葉や少年合唱団、パイプオルガンの演奏などで進行した。私も何度も訪れた場所で、当時のことを思い出す。

 英国が現在でも世襲による君主制であり、女王が特別な存在であることを世界に示す一連の行事だった。

 エリザベス女王は私が生まれる前から女王であり、永遠に君臨するような気がしていた。

 物心ついて初めて使ったノートの表紙が、バッキンガム宮殿の衛兵交代の写真だった。来日記念のスピーチを録音したレコードつきのを父が購入して大切にしていたのが、ある時に私にくれると言った。「本当にいいの?」と聞くと、「いいよ、勉強に役立てて」と。。

 素敵な思い出とともに女王は存在し、私が最も好きな外国の君主として身近に感じていた。このため、ひとつの時代が終わったという喪失感がある。

 しかしながら、スコットランドの城で死去して以来、延々と続く追悼行事と豪華絢爛な国葬には、どれだけの金額がかかっているのだろうか。女王の私有財産は約740億円と伝えられ、数々の宮殿や城、宝物、絵画、土地などを合算すると、いくらになるのか想像もつかない。

「国民のために奉仕した」とメディアは伝えている。たしかに一国の持つ価値をある一カ所に集結させることによって文化を保護・維持する、王室外交を行う、今回の国葬のように軍隊が伝統的な制服をまとい、一糸乱れぬ連帯で女王の棺を守り、聖職者とともに一連の儀式を行うことで全世界に国力を示すという効果はある。

 だが、そのような予算は高い税金によって賄われている。総費用16億円超えとも予想され、世界一お金がかかりそうな一連の儀式の全行程を、女王が生前に要望もしくは承認していたという。

 そのあたりを納税者はどう考えているのだろうか。

 大手メディアの多くは保守的で現体制を維持する方向で報道する傾向にあり、映像や写真には沿道で女王を見送る多くの人々が映し出される。

 イギリス人の友人と話してみると、別の感想も聞かれた。彼いわく、直接の知り合いでなくメディアを通じてのみ知っている人物であっても、誰かが死んだというニュースは悲しい。エリザベス女王個人が悪いわけではないが、自分は王室を支持していない。国家元首は選挙によって選ぶ共和制を採用すべきだ。

 ガーディアン紙は国葬を見ないことにした4人のイギリス人を紹介している。なかでも「一連の行事が長すぎる」とするロンドン在住の女性ライターの感想には共感を覚えた。

 天皇陛下は国葬の前日にエリザベス女王の棺に別れを告げる儀式に招待された際に、G7は個別の車を手配される予定だったが、ご自身はほかの出席者と一緒のバスでよいとして、そのようにされたという。

 こうした感覚があるからこそ、現在の天皇陛下は人気があり、日本文化の継承や皇室外交のために費用を払ってもよいと、私を含む相当数の国民が考えるのだと思う。

2022年9月12日月曜日

引きこもりのメリット

 この夏は酷暑とコロナ感染拡大に見舞われ、複数の知人も感染して深刻な症状を訴えていたため怖くなり、2カ月近く家にこもっていた。

 ようやく状況も落ち着きを見せはじめたが、この2年半は自主的な軟禁状態を何度も繰り返していた。

 引きこもり生活のデメリットは当然あるものの、メリットもあった。それらをまとめてみたい。

 もともと私は子供の頃から、外でボール遊びをするよりも、家で読書をしているほうが好きだった。大勢で集まるのも楽しいは楽しいが、一人でぼんやりする時間を好む。自粛生活のおかげで、こうした活動を堂々とできた。

 海外旅行のハードルが非常に高くなり、国内旅行しかできなくなったため、日本の知らなかった部分を理解することができた。最近では、わざわざ海外に行くよりも、国内をもっと探訪すべきだったとも思うほどだ。

 米国では自分の州や近所から出たことのない、あるいは出たいと思わない人にも会ったが、彼らの気持ちがわかる気がした。

 私は東京外大卒、フルブライト留学生、ロンドン暮らし、米政府勤務など、海外に目を向けた人生を送ってきた。それを否定はしないものの、あまりにも外国かぶれだったような気もしてきた。もっと日本の素晴らしい点を学ぶべきではなかったか、と。

 ただこう言えるのも、日本が儒教国家で若者よりも年寄りが優遇される社会であり、自分が中年になったから、という面もある。

 また女性の選択肢もこの10年ほどで劇的に多くなった。私が学生の頃は、大手企業の事務職に腰掛け就職→寿退社→専業主婦という生き方が主流だった。日本における女性の地位は近年格段に向上し、生きやすくなった。

 2カ月近く家から一歩も出ないことが可能だった物理的な理由としては、高台の広い家に住んでいることもある。草取りが重労働であるほど大きな庭もあるため、家から出ないと言っても、狭いマンションにこもっているのとは訳が違う。

2022年8月13日土曜日

独身フリーターの特権とは?

 全く自由な人生を歩んで早2年。フリーター生活のメリットとは何かをまとめてみた。

・ワクチン接種の圧力がない

 自治体から接種案内は送られてきたが、接種はあくまでも自由選択。打ちたければ打てばいいし、イヤなら打たなければいい。だが職域接種の対象者には同調圧力もあるようだ。

 最近では地方メディアを中心に接種後の死亡例や重篤な後遺症も報告され、ブースター接種が進めば進むほど、死亡者数が多くなるという各国の事例も出ている。NHKや大手マスコミは完全無視で情報操作は明らかだろう。

・感染リスクに合わせて外出制限できる

 テレワークが進んだものの、出勤や外出のある仕事は多い。感染が広がっている中では、ウイルスにさらされる機会が増えるほど、感染リスクは高まる。

 独身フリーターなら家にいれば感染リスクはほぼゼロ。外出するかどうかも、感染状況を見ながら、自分で決められる。

・健康第一の生活を送れる

 上記ともつながるが、自分の健康にとって最高の選択をできる。誰にでも「寝足りない」「ちょっと体調が悪い」という日はあるが、仕事をしていると、その程度では休むわけには中々行かない。

 だが、こうしたきっかけでコロナ感染や悪化する例も多いようだ。コロナに限らず風邪や頭痛などの体調不良を放置したために、がんなどの大病につながり、早死にした知人もいる。とにかく無理は禁物。フリーターはこれを実行に移せる。

・コスパ最高でベストシーズンの旅行ができる

 桜の開花、涼しくなるタイミングといった自然条件は、人間にはコントロールできない。

 だが旅行に行く場合には、仕事があれば会社では有給休暇の許可を取ったり、顧客の都合も考慮して計画を立てる必要がある。そうこうしているうちに最高の見頃は過ぎてしまう。

 朝起きた時点でその日に何をやるかを決められるという、完全に自由な生活であれば、自然条件だけに合わせて行動できる。平日であればコスパもよい。

・子供を産まなくていい

 世の中では「少子化対策」と言われ、米国では中絶禁止の最高裁判決まで出るなど、女性に対して子供を産むプレッシャーがある。

 また子供のいる女性は特に、最大の関心事は自分の子供であり、ことさらに子供の自慢をする傾向がある。子供がいる人生ならではの喜びもあるようだ。

 しかしながら、冷静に女性の健康を考えた場合、出産によるデメリットは結構ある。例えば、中年以降の歯の健康を比べると、一人でも出産した女性のほうが、全く出産経験のない女性よりも、はるかに歯がボロボロのようだ。

 医学研究者の多くは男性であり、「女性は子供を産む機械」と発言した閣僚もいた。実際に口に出すかどうかは別として、心の中ではそう考える人も少なくない。

 このため出産による女性への健康被害を調べた研究はほとんどなく、あったとしてもメディアで大きく伝えられない。結果として、子育てのメリットが強調される一方、デメリットはあまり語られない。

「仕事と子育ての両立」がエライとする社会風潮があり、目指すべき理想像とも言われる。

 だが冷静に考えれば、それだけのんびりしたり、遊ぶ時間が減る。子供の教育費や生活費もかかり、自由になるお金も減る。

 自他ともに子供を持つプレッシャーを感じて不妊治療を続け、多額の出費や体への負担が生じたあげく、うまく行かずに人生に絶望する人も少なくない。

 独身フリーターであれば、健康第一を保ちつつ、自分で稼いだお金を完全に自由に自分のために使える。

2022年8月2日火曜日

書評 Barry Eisler著 "Killing Rain"

 著者のBarry Eisler氏は元CIA職員の小説家。本書は日米ハーフでフリーランスの殺し屋John Rainを主人公とするシリーズのうちの一つで、現在では同シリーズの別の話と合わせて"Redemption Games"として刊行されている。

 もう13年も前になるが、Eisler氏が在日米国商工会議所で開催した勉強会でサインしてもらった数冊の本のうちの一冊が本書である。あれから積読になっていたが、ようやく時間の余裕ができたので読んでみた。

 いや、なんというタイミング。。元首相が暗殺された経緯には、あまりにも不自然な点が多いが、こういう背景があったのだろうか。著者いわく「CIAの内幕は事実」とする下りを読んでいくと、この摩訶不思議な展開のつじつまが合う。

 本書によれば、モサドやCIAなどの諜報機関や自民党はRainのようなフリーランスの殺し屋を雇っている。多くの政府機関と同様、CIAは自己満足に陥りがちで、自らのネットワークも大したものではなく、より優れた人物や組織に仕事を委託している。Rainはこうした委託先の一人。

 ターゲットが政府内部にいる都合の悪い人物だったり、複雑な利害関係がからむ場合、CIAは自らの手を汚すことはできない、という事情もある。事の次第が明るみに出て、議会の公聴会で尋問される事態となれば、より多重の監視が加わって本来の仕事ができなくなる。

 本書では、爆弾製造の技術を危険な組織に伝授することを生業とするManheim Levi(仲間内では通称Manny)というイスラエル人が登場する。モサドはMannyの殺害をRainに依頼し、Rainは元海兵隊員の仕事仲間で、同じくフリーランスの殺し屋Doxに呼びかけて、ペアになってこの「仕事」を遂行する。

 こうした殺し屋は特別な訓練を受けており、射撃、武術、薬剤などの手段を駆使して素早く確実にターゲットを殺害する腕を持つだけでなく、最高のタイミングで相手に近づくために必要な監視カメラや盗聴器に関する専門知識や使い方も心得ている。任務の遂行後、ただちに偽造パスポートで国外逃亡するのも特徴的だ。

 このため小説の舞台は東京、名古屋、マニラ、バンコク、プーケット、香港と展開していく。香港のグランドハイアット、九龍半島と香港島を結ぶスターフェリーなど、私にも懐かしい場所が出てきて情景が目に浮かぶ。

 著者は相当な日本好きなようで、焼き鳥などのB級グルメの描写もリアル。南青山にある蔦珈琲店のコーヒーは「世界でいちばん美味しい」らしい。フォーシーズンズ丸ノ内のスイートルーム、サービスも事細かに描かれ、興味をそそられる。

 Rainはモサドの発注担当者Delilahと恋愛関係にあり、二人のベッドシーンはかなりの肉食系。あまり心地いい感じはしないものの、このように非日常的な体験をすることはないので、読む分には面白い。

 ちなみに殺し屋は「出来高制」で任務の遂行後に報酬は払われる。Manny殺害の「料金」は4,000万円で、Rainは半額をDoxに支払う。つまり自分の手元に残るのは2,000万円。税金はどうなるのか、おそらくないのだろう。

 しかしながら、本書で語られる壮絶なシーン、高度なテクニック、命がけの危険な作業、良心の呵責と心理的なトラウマを考慮すると、あまりにも割に合わない仕事だと思う。

2022年7月31日日曜日

温暖化に適応するライフスタイル

  "The Age of Stupid"という2009年のイギリス映画がある。人類が温室効果ガスを排出しつづけた結果、21世紀半ばには地球が破壊される、という内容だ。

 今週の天気予報を見ると、確かにその方向に進んでいる。最高気温35~36度が続き、コロナ感染も昨年の10倍ほどの規模で拡大している。

 映画のシナリオ通りに行けば、私は日本女性の平均寿命を迎える頃に地球が壊れるというわけだが、それまではどう過ごしたらよいだろうか。

 過去に立てた計画を修正する必要もあり、今後どうすべきかを考えてみよう。

ガーデニング 省力化と酷暑に強い植物に注目

 いくらガーデニングが好きな人でも、この暑さでは庭に出ることすら危険である。こうした時期が現在でも1カ月に及び、今後ますます長くなるだろう。酷暑以外にも温暖化によって長雨も引き起こされるため、庭の手入れをできる日数はますます限られてくる。

 このため、庭木や植物を植える面積を少なくしたほうがいい。防草シート+レンガ(もしくは一時的に段ボール)を敷いて草取りの手間を省く。

 さらには暑さに強い植物を生かす。拙宅の庭で言えば、サルスベリは酷暑になればなるほど元気を増し、感心するほどだ。


 逆にアジサイは元気がなく、サツマイモですら雑草に押されている。秋になって気温が落ち着いてきたら、こうした点を考慮に入れつつ、庭のデザインを変えてもいいだろう。

クルマの使い方

 最近のコロナ変異種は、電車の中でも感染したと思われる例も聞く。このため外出にはクルマを一人で運転するのがベストだろう。

 ただ、この酷暑ではクルマですら外出したくない。炎天下に駐車しておくとドアを触るのも危ない。車内では一人でも、外出先では他人と接触する可能性は出てくる。

 こうなってくるとガーデニングと同様、クルマを使えない時期が今でも1カ月、今後さらに延びる、ということになる。家の前にクルマを置いているだけで、洗車の手間と税金などの維持費だけが残る。

 環境保護を実践したければ、そもそも自動車を運転する機会もなるべく避けるべきだろう。ガソリン車はもちろん、電気自動車でも製造過程で温室効果ガスは発生するし、動力源の電気を生み出すためにも温室効果ガスは発生する。

 もちろんクルマを運転する楽しみはあり、その都度レンタカーを借りたほうが割安で手間も省けるかもしれない。

 オリックスではBMW、ジャガーなど外車の割引キャンペーンをやっている。こうした機会も利用して、半日や1日ずつ高級車を試してみるのも面白いかもしれない。

2022年6月22日水曜日

映画レビュー「トップガン マーヴェリック」

 長年のトム・クルーズのファンとしては、話題の新作が気になっていた。

 ただトムの作品の中で「レインマン」が最も好きな私としては、「トップガン」はあまり印象に残っていない。現在上映中の作品は一作目の続きだと知ってはいたが、今回の作品のほうが一作目よりも素晴らしいというレビューも多かったので、とにかく映画館に足を運んでみた。

 来日記者会見でトムはいかに観客を喜ばせるかを考え、素晴らしい作品ができたと語っている。まもなく還暦を迎える彼が演じる役は、米海軍トップクラスのパイロット養成校「トップガン」の教官として、山岳地帯にある敵の核施設を爆破するという、難易度の高い飛行チームを自ら率いる、というもの。

 中高年の主人公が体力を張って組織に立ち向かい、AIに脅かされて絶滅の危機に瀕した米軍パイロットという職業で離れ業を見せ、最後に絶賛される。強靭な肉体、機体や設備の専門知識、判断力が問われる命がけの仕事ということはよくわかる。

 困難→頑張る→克服→勝利という流れ自体は、映画や小説の王道であり、たしかに観衆を喜ばせる公式のひとつではある。

 おそらくトムはボトックスやヒアルロン酸で無理にしわを伸ばしたりせず、年齢相応のしわやたるみが大画面に映し出される一方、太い腕っぷしや鍛え抜かれたマッチョな肉体から、相当なトレーニングを積んでいると想像できる。

 トムが年齢に関係なく、軍隊という政府組織で上官の命令を無視しながらも自らの判断を貫いて成功し、サングラスをかけて大型バイクに乗り、バーテンダーの女性を夢中にさせる。

 そうして頑張っている様子に感動したのか、すすり泣きをする男性も観客にいた。若々しい姿を見せることでトムの同世代を勇気づけることが、この映画の趣旨なのだろう。

 ただバーテンダー役を務めるジェニファー・コネリーはとても若くて51歳には見えず、二人のベッドシーンはさすがに厳しい。男性プロデューサーが中高年男性の願望をかなえるという観点で採用したのだろう。逆バージョン(中年女性と若い男性)はハリウッド映画ではあまり見たことがない。

 トムの頑張りはすごいし、時間の無駄だとは思わないが、ただそこまで感動する作品でもなかった。ヤフー映画のレビューで5点満点中4.7は高すぎる感じはする。

 筋書を冷静に考えれば、低評価をつけたレビューアーの言う通りでもある。

・ならず者国家が具体的にどこなのかはわからないが、敵国が核施設を作っているという理由でその国の領空に侵入し、核施設を爆撃する。宣戦布告もなしに先制攻撃を行い、その点で真珠湾攻撃と同じ。メディアや岸田首相の言う「力による現状変更」であり、その一方で攻撃する側の米国にも核施設はある(😅)。

・敵国のパイロットや施設職員を殺して「アメリカ万歳!」と喜んでいる。彼らの命や家族・友人はどうでもいいのか。戦争を美化した危険な映画であり、高評価は宣伝工作の一部ではないだろうか。

・おじいさんが環境や損害を全く考えず、飛び恥(温室効果ガス排出量の最も多い乗り物=飛行機に乗って、温暖化を促すという恥ずかしい行為)をしているだけ。

 さらに私から言えば、ヘルメットをかぶらずにバイクを乗り回すシーンはどうなのか。二輪車事故の防止に力を入れている警察にとっても、好ましくないだろう。

 そもそも国防総省の協力を得た官民共同のプロパガンダ映画であり、中国本土やロシア、イラン、またアフリカ諸国でもまだ上映されていないようだ。

 日本ではこの映画が上映され、ヤフーの低評価も削除されていない。さまざまな映画を観る機会があり、自由に感想を述べたり読んだりすることができ、観客に判断を委ねられる状況は素晴らしい。

2022年6月20日月曜日

百貨店がECサイトに勝つ瞬間とは?

  アマゾンや楽天などのオンライン販売に押され、百貨店は売り上げや店舗数が減少してきた。かつては考えられなかったが三越と伊勢丹も合併し、東急に至っては本店の閉店も決定するなど苦境に陥っている。

 頼みのインバウンド爆買いもコロナの影響でほぼなくなり、今後はどうなるのか。

 そんな中、ある投資家三越伊勢丹の株を買ったという。このYouTuberは20年前に70万円で投資を始めて、今までに1億円を稼ぎ出した。上場企業の社長を6年務めた人物で企業財務のプロであり、経営の良し悪しの見極め方が鋭く、非常に参考になる。

 経歴からも相当な富裕層と思われ、三越伊勢丹の株を買った理由として、バイヤーを伴った説得力のある外商を挙げ、またアプリを活用した顧客管理にもとづく販売戦略も優れていると言う。

 では中間層を含む消費者全体にとって、百貨店で買う意味とは何だろうか。

 ある程度値段が張り、他人のレビューだけでは判断しきれない商品を買うには、やはり百貨店という感じがする。

 例えば、シーツや布団カバーなどの寝具。私の経験で言えば、これまでアマゾンレビューの高評価にもとづいて買ったシーツが、ほどなく薄くなって破けてきた、あるいは洗濯後に縮んでマットレスを包むのが厳しい、といった状況があった。

 その一方で、店頭で納得して買った製品は感触が素晴らしく快眠が促され、5年も使ってようやくくたびれてきた。値段はアマゾンで買った商品の3倍ほどだったが、全体的な満足感やコスパははるかによかった。

 この気に入った寝具の後継品を見つけるべく、徹底した調査を開始した。

 上記の納得した商品のブランドはローラアシュレイで、2018年に日本から全面撤退して残念に思っていたが、昨年に復活して百貨店に出店している。東京では新宿の京王百貨店などに入っている。

 全体的な雰囲気は変わらず、イギリスのB&Bの壁紙のような花柄が中心。だが過去5年で私の趣味が変化したのか、あるいは5年も同じ柄が続いたので今度は少し違うものを求めているのか、下記の柄が目にとまった。


 写真では素敵な雰囲気なのだが、実物を店頭で見るとそこまでのインパクトはなかった。ローラアシュレイの他製品と比べて手触りがザラザラで、そのためか価格帯も相対的に低く設定されているが、それでもシーツ・掛布団カバー・枕カバーの3点を合計すると2万円を超える。

 別のブランド、例えばラルフローレンはどうだろう。高級感は感じられたものの、上記3点で約8万5000円と価格は4倍以上。柄や色もそこまではそそられなかった。

 8万円を出すなら、あまり知られていないブランドであれば5万円程度で同等レベルのものがないだろうか。

 そう推察してググっていくと、ホテルライクインテリアというブランドがあった。ウエブサイトで下記の製品が目を引く。


 上記3点で約4万5000円とほぼ想定内。刺繍による模様という点も高級感があってGOOD。ネットのレビュー評価も高く、人気があるためか完売のアイテムもある。

 実物はどんな感じなのか、ほかにもいい商品はあるだろうかと、新宿伊勢丹に入っている店に足を運んだ。だが刺繍と言われたものの、ぱっと見にはプリントと区別がつきにくく、手触りはよいものの値段に見合う高級感は感じられなかった。

 ネットを見ただけで買わなくてよかったと、心の底から実感した。

 大塚家具はどうだろうか。寝具売り場ではラルフローレンよりも高価格帯の商品を置いている。こちらは刺繍の模様もしっかりと入り、その名も「ルイ14世」というブランドはたしかに高級感が漂う。だが模様がありふれた感じで色もボーっとしている。

 イギリスの花柄やペイズリー柄の愛好者にとって定番のブランドと言えば、ローラアシュレイのほか、ウイリアム・モリス、リバティがある。

 このうちウィリアム・モリスは掛布団カバーと枕カバーを、日本の寝具メーカー・西川が提携・製造している。最も有名な柄はこれだろう。


 私はこの青系の掛布団カバーを2つ持っているが、高島屋と京王百貨店の店頭でグレーとベージュ系の柄に注目した。


 先ほどのローラアシュレイの製品と似た路線ではあるが、手触りはこちらのほうがはるかによく、値段はさほど変わらない。ただし、モリスシリーズとしてシーツはなく、独自に合うシーツを探す必要がある。

 高島屋ではイタリアのMARTINELLIというブランドを勧められ、セミダブルのシーツで1万3000円程度。色合いと感触も素晴らしい。店員さんに御礼を言っていったん記憶にとどめ、京王にも行ってみる。

 高島屋と共通する商品はあるが、モリスシリーズでは京王のほうが品揃えがよい。西川から専門の販売員も常駐している。

 ベージュの掛布団カバーに合う色のシーツ(西川のボーテというブランド)が7920円。たしかに先ほどの1万3000円の製品のほうが感触のよさではわずかに上回る感じはするが、では5000円の差まであるかと言えば、私の個人的な感覚では7920円のシーツでも十分に快適ではないかと思われた。

 最終的にモリスの掛布団カバー+ボーテのシーツと枕カバーの3点を2万2000円で購入。これらの製品をググってもみたが、アマゾンや楽天では同一商品はなく、西川とヨドバシのサイトでも京王百貨店と同じ価格だった。ヨドバシではポイントがつくので、厳密に言えばヨドバシのほうが得ではあるものの、現物はなく取り寄せになる。

 徹底的に自分の主観と感性にこだわり、ECサイトと数軒の実店舗をはしごした結果、満足度の高い買い物ができた。

 ネットショッピングでは到底この結論は得られなかっただろう。感触、高級感、色といった主観的な要素が重要な商品に関しては、いくら多数の人々が絶賛するレビューを書いていても、自分はそうは思わないということは、めずらしくない。

 ひとつの目安として、このようなジャンルで数万円以上の価格帯で長く日常的に使う製品の買い物であれば、品揃えのよい百貨店に軍配が上がる。

2022年6月17日金曜日

DeNAの胡散臭い「満員御礼」

 先月横浜スタジアムでDeNA対阪神を観戦した。ふだんは神宮で阪神を応援するのだが、大洋ホエールズ以来、久しぶりに横浜球場に足を運んでみた。

 その際になんとも言えないイヤな感じがした。おそらく阪神に限らずビジター球団のファンの方々に参考になると思うので、気になった点についてお伝えしたい。

1)三塁側に「DeNA応援専用席」

 球場を見渡すと一塁側はもちろん、三塁側にも青いユニフォームを着たDeNAファンが目立つ。東京には巨人とヤクルトがあるが、横浜にはDeNAしか球団がないため地元愛が強いのかと思いきや、そうではない。

 なんと三塁側にもかなり広い範囲で「DeNAの応援専用で、ビジター球団の応援は禁止」という席を数多く設けているのだ。

 阪神タイガースは全国的に人気があり、最下位だった時でも観客動員数は12球団でダントツ1位。その阪神戦が10日後に迫っているにもかかわらず、6月28日には三塁側も数多く売れ残っており、下記の図で壁から左側のDeNA応援専用席エリアに集中している(薄い水色が販売中の席)。


 そうか。。先月観戦した際に毎回(つまり1試合で9回も!)DeNAのチアガールが三塁側の前にも現れてウザいなと思ったが、そういうことだったのだ。神宮ではラッキーセブンの前に一塁側の前で応援する程度だが、毎回しかも三塁側でもというのは度を越えている。


2)試合中に場内スピーカーでDeNA応援団のラッパや太鼓の音を流す

 これも「ルール違反」と言えると思うのだが、ウグイス嬢が試合の流れを伝えるスピーカーを使って、DeNA応援団のラッパや太鼓の音を場内全体にガンガンに響かせている。DeNAの攻撃中はこれがずっと続く。このため9回裏の「あと一人」コールも打ち消され、DeNA応援団の演奏が鳴り響く(下の動画を参照)。


3)三塁側でもDeNAのユニフォームを女性客に配る

 私の席は三塁側寄りのバックネット裏だったが、入り口で荷物検査を終えると「女性だけに」DeNAのユニフォームを配られた。

 女性ファンを増やしたいという意向はわかるが、三塁側でも配るのはどうよ。。例えば、トラ一色の衣装をまとったマッチョでこわもてな男性にも同じことができるだろうか?😂

 そう考えると、女性なら怒鳴ったりしないだろうと、バカにされていると思えなくもない。「女性優遇」でフェミニズムを推進しているつもりかも知れないが、逆効果と言わざるを得ない。このユニフォームを阪神ファンにも配る余裕があるなら、チケットの値段を下げてくれ😡。


4)試合の途中でDeNAファン向けのイベントを挟む

 これも上記と関連するが、試合の途中で2回ほど、突然DeNAのユニフォームを着た少女たちがセンターのあたりに現れて投球するというイベントが行われた。

 試合前であればわかるのだが、試合の途中でペースを乱すような中断はどうなのか。勘ぐりすぎかもしれないが、女の子を使えば観客も文句を言いづらい、という心理効果を利用していると言えなくもない。

5)球場の敷地内にタイガースショップがない

 神宮では敷地内にも三塁側にはテント式のタイガースショップが出るが、横浜ではDeNAショップのみ。

6)隣席のDeNAファンの独り言がうるさい

 これは偶然なのだろうが、隣席のDeNAファンがずっと独り言を言っていてうるさかった。中学や高校の体育部のように、DeNAの投手がストライクを出す度に「ナイスボール!」と言い、リクエストが出れば「あれは〇〇だよ、XXでしょ」と講釈を述べる。

 こちらから話しかけるべきなのか悩んだのだが、なにかの営業職で試合後もしつこく連絡してきたら面倒だ。独り言でもヒットが出た時に「やった!」と言うくらいなら普通だと思うのだが、ずっと一人で話し続けるのは、ちょっと変な人という感じもする。

 いずれにせよ、中年女性が一人で観戦する場面としては珍しい。彼女はDeNAの社員だったのだろうか。。??

7)試合終了後に一桁単位で観客動員数を発表する

 DeNAという実力や人気の低い球団が観客を増やすためには、常軌を逸したとしか言いようのない、球団側の行動が必要なのだろうか。

 阪神戦で満員御礼に近かったためなのか、試合終了後に電光掲示板で観客動員数が示され、アナウンスも流れた。

 おそらく会社をあげて集客のプレッシャーもあると思われ、もしかしたらDeNAの社員は横浜スタジアムのチケットを営業に使ったり、あるいは顧客にチケットを買ってもらったら、何らかのインセンティブがあるのかもしれない。

 あくまで想像ではあるが、観客動員数の発表には、営業成績を示してプレッシャーを関係者に与えるという意味合いもあるのかもしれない。

 横浜スタジアム自体は席の段差もかなりあって、前列の人の頭を気にせずに観戦できるのはよい。近くに素敵なエリアもあり、観戦のついでに散策も楽しめる。

 だが大洋ホエールズ時代にはなかった、DeNA独特のギラギラした感じが胡散臭く、横浜での観戦は二の足を踏んでしまう。結果として球団イメージやチケット販売の低下にもつながると思われ、DeNAにとってはマイナスではないだろうか。

2022年6月12日日曜日

ロシア専門家が米政府から追放された理由とは?

 "Putin's Playbook: Russia's Secret Plan to Defeat America"の著者Rebekah Koffler氏はソ連時代のカザフスタン出身。モスクワ国立教育大学を卒業後、自由の国・アメリカに憧れて移住した。

 母国語のロシア語とロシアに関する専門知識を生かし、米国の諜報機関で働いた経験をもとにプーチンの米国戦略を詳述している。

 だが最も興味深い部分は、彼女自身の米政府内でのキャリアの軌跡である。

 著者は2001年の同時テロにショックを受け、新たな母国である米国を守りたいという熱意を持つ。同時テロ関連の会議で講演したFBI捜査官に話しかけ、米国内の外国人犯罪に関する仕事を希望する。そしてオファーをもらうものの、身元調査の結果、父親がカザフスタン在住で米国の機密情報が洩れる恐れがあるという理由で採用は却下される。

 それでも新天地・米国のために働きたいという意欲は冷めることはなく、中央情報局(CIA)と国防総省の諜報機関である国防情報局(DIA)にも応募してオファーを得る。

 だがここでも、身元調査で問題となる。米国の諜報機関は、海外在住歴の長い人材を避ける傾向にあるという。外国の影響を強く受けていること、また外国語を流暢に使えることで外国の諜報機関の二重スパイになる可能性があるからだ。

 特に採用担当の管理職は、もし自分の採用した職員が二重スパイになった日には自分の立場が危うくなるため、組織が本来必要としている真のエキスパートをあえて採用したがらない。

 こうした背景のもと、著者は2001年にCIAとDIAからオファーを受けたまま、身元調査の段階で7年間もの長きに亘り宙ぶらりんの状態に置かれた。長年のCIA職員である知人に相談したところ、CIAとDIAの各長官に直接手紙を書くことを勧められた。トップの命令であれば中間管理職を動かせるだろう、と。

 結果として著者は晴れてDIAから正式に採用される。ソ連時代の警察国家で抑圧され、物資の不足した環境で育った彼女にとって、物質的に豊かで自由な米国がありがたく、恩返しをしようと人一倍まじめに働いた。

 米政府高官から名指しでブリーフィングを求められることも多く、またNATO会合に呼ばれて講演を行い、DIAの評判を高めた。

 トップレベルの高官には感謝されたものの、直属の上司は彼女の活躍ぶりを気に入らなかった。ある日、上司のオフィスに呼ばれてこう言われる。「君はまじめに働きすぎる。それは困る。ほかの部下たちに高評価を出せないじゃないか」

 上司の言い分は全く理解できず、著者は米政府の各官庁に置かれている苦情処理機関のOffice of Inspector General (OIG)と雇用平等担当に相談する。だが理不尽さを解決するはずの、こうした機関も上司の肩を持つだけで頼りにならない。

 そうこうするうち、NATOから再度講演の依頼が来たものの、DIAは著者ではなく別の男性同僚を演者に選ぶ。あれほどDIAへの評判に貢献したのに、外されるとはどういうわけなのか。

 NATOでの講演を取りまとめるチームリーダーの男性職員は陰鬱な表情でこう説明した。「あなたと私が親密な関係にあるとして、えこひいきで私があなたを演者に選んだと訴えた職員がいる。だから今回はあなたをブリュッセルに連れて行けない。別の男性職員に講演をしてもらうので、彼が講演内容をまとめるのを手伝ってほしい」

 チームリーダーとは完全にプロフェッショナルな関係であり、やましいことは全くない。本当に悔しかったものの、リーダーの指示には従った。結果的にこの訴えは証拠不十分で却下されたものの、その先にはもっと驚く事態が待ち構えていた。

 卓越した仕事内容が認められた著者は、米政府の諜報機関全体でサイバー分野のナンバーツーとしてCIAに2年間出向する昇進ポストに応募して合格する。

 この素晴らしいポストに心躍り、迎えた初出勤の日。「身元調査が通らない」という理由で就任できなくなる。DIAではすでに最高機密を扱うために必要な身元調査の承認は下りており、だからこそDIAに勤務してきた。この承認はCIAにも適応されるルールになっている。なぜ身元調査がこの時点で問題になるのか?

 誰に聞いても答えはわからず、著者はたらいまわしにされる。このCIAポジションは空席のまま、CIAとDIAで別の仕事をやることになる。

 全く訳がわからない状況のなか、DIAから出張を命じられる。帰りの機内で著者はロシア語の軍事情報誌を読んでいた。隣席の男性に話しかけられ、彼の話す内容は支離滅裂でしまいには「飛行機から飛び降りる」と言う。客室乗務員を呼び、飛行機は緊急着陸する。

 機内に乗り込んできたFBI捜査官に、どういうわけか客室乗務員は著者が問題人物だと伝える。彼女は完全に理解不能な状況のまま手錠をかけられ、FBIに連れ去られて尋問を受ける。最終的に身の潔白は通って帰宅する。

 翌日に出勤した際に職場の規定に従い、事の次第を担当部局に報告する。するとウソ発見器にかけられ、担当者から質問されて答えた内容が「気が狂っている」と判定され、2015年に著者は7年間勤めたDIAを一方的に解雇される。

 この不可解で理不尽な状況に不服を申し立てるが、例によってDIAのOIGは頼りにならない。米政府で働く外国出身者が不当に解雇される例は珍しくはなく、こうした事柄を専門に扱う弁護士もいる。

 著者は夫と相談し、大枚をはたいて専門弁護士を雇うが、1人目は思うような結果を得られず、2人目も同様だった。3人目は女性差別に詳しく「国防総省の女性職員から毎日のように相談がある」という。だが、この弁護士に依頼するにはさらに6万ドルが必要だった。著者と夫はこれ以上戦いを続けると老後資金を失い、家庭崩壊の危機に陥ると判断して断念する。

 抑圧的な警察国家・ソ連から逃げ出して自由の国に来たはずが、米政府でも似たような運命をたどることになった。著者と似たような経緯で退職した同僚もいる。さらにはオバマ政権の二期目にDIAのロシア情勢に精通した専門家の多くが、別の地域担当に異動させられた。こうした理由が著者には皆目見当がつかないという。

 ウクライナ情勢が米国とロシアの代理戦争の様相を呈しているが、その一方で米軍の諜報機関であるDIAからロシア事情に精通した専門家が意図的に追い出されていた、ということのようだ。

 前述したように、そもそも米国の諜報機関は海外経験の豊富な人材を雇いたがらない。現地語の能力や地域事情の理解に限界のある職員が多数派であり、相手をよく理解しないまま対立を続けている、ということになる。

 さらには米国に17ある諜報機関のうち、2017年に機密解除された報告書"Assessing Russian Activities and Intentions in Recent U.S. Elections"を書いたのはCIA、FBI、国家安全保障局(NSA)の3つだけで、DIAを含む14の諜報機関は除外されて調整も行われなかった。

 これとは対照的にロシアの諜報機関は米国の社会、文化やメンタリティについて詳細に調べ上げ、それをもとにSNSやサイバー攻撃を駆使して米国内の分断を深め、長期的な国力を弱めることに成功している、と著者は述べている。

私の分析

 米政府に日本人職員として16年間勤めた私の経験から、この驚くべき展開を分析してみたい。

・政府機関のような大きな組織では、ヒエラルキーを超えて活躍する人材はあまり好まれない。直属の上司よりも優秀だと周囲に思われると、上司としては気に入らず、扱いづらい部下になる。

・このため上司自身が優秀で器が大きく、部下を育てる姿勢がないと、いくら頑張っても報われず、むしろマイナスになる。大御所で有名な組織のほうが、こうした人材がいる確率は高い。

・私自身の経験で言えば、大学の成績が悪すぎて退学させられた経験を持つ上司のいる官庁もあった。彼は締切りを守らず、何度もリマインダーが必要であり、「やる」と約束したことをやらない。これに対して、例えば国務省は有名大学出身のお坊ちゃまが主流で、ここまでレベルの低い職員には会わなかった。本書から判断するに、どうやらDIAはあまり優秀な人材が多くはないのだろう。

・OIGや雇用平等担当がきちんと機能しているかは、組織自体のモラルによる。意識の低い人材が多数派の組織では理不尽さがまかり通るが、国務省では人権意識や理想の高い職員が結構いるので、かなり機能している。

・アメリカ人は見た目、周囲にどう思われるかを非常に気にする傾向がある。儒教国家かと思うほど、上司を立ててよく見せてあげるのがポイント。

・どの官庁だろうが、ええっと言うようなレベルの低い上司にぶち当たることはある。そうなったら最後、覚悟を決めて上司が異動になるまで耐えるしかない。この本の著者の上司は「そんなに真面目に働くな」と言うわけだから、ユルユルにやればよかった。

・著者はそれをしなかったので上司に嫌われた。このため米政府全体としてロシア専門家を減らす動きがあった時にターゲットにされ、追い出されたのだろう。

・本書は著者の職場経験の部分はかなり興味深いが、その他の箇所は文献からの引用がやたらと多くて読みづらい。英語の語彙は豊富だが、文章の流れがよくない。モスクワ国立教育大学はどうやらトップ校というわけではない。これに対して、有名校のエッセー考査や試験を通り、米政府で報告書や公電を多数書いた経験のあるアメリカ人は文章力が高い。

・著者は自分がいかに優秀で政府高官から重用されたかを強調している。今まで職場にいなかったロシア語ネイティブであり、ロシア事情に精通しているため、新たな情報がDIAにもたらされたからだろう。しかしながら、英文レポートの作成能力は、英語圏の有名大学やOJTで訓練を積んだ職員よりは劣っていたのではないだろうか。

・とは言いながら、文章力の高くない職員はほかにもいるだろう。外国出身で米国では小柄(158センチ)の女性は、それだけで、背の高い白人男性の社会でバカにされ、不利な立場に陥りやすいのは事実。競争の激しい職場ではなおさら。

・このため差別撤廃の手段として、クオーター制は意味がある。そうでもしないと、いつのまにか白人男性のジャイアンタイプ、もしくは特別のコネがあるお坊ちゃまの世界が続くことになる。

2022年6月5日日曜日

雨の月曜日

 「6月6日に雨ザーザー降ってきて。。」という歌があるが、まさにその通り。

 この本降りの中を傘を差して家を出て、ウォータープルーフの靴のはずが水が浸入して気持ち悪い。あるいは足に合わず靴擦れで痛い。テレワーク解除の会社も結構あり、職場では上司や同僚と顔を合わせる。

 スタッフミーティングではメールで事前に知っている事柄の確認+若干の説明。会議の主な目的は情報伝達というよりも、一定の時刻と場所に部下を集めて静かにさせ、話を聞かせるという権力を上司が示すため。話の内容よりも、この形態が重要であり、軍隊でいう行進のようなものだ。

 職場では様々な指示や依頼、問い合わせがあり、それらに対応していると定時を迎える。複雑な英文の文書も読み、英語で会話をするので英語の勉強にもなる。

 平和な職場の一日はこんな感じだったと思う。適度な栄養+添加物の入った幕の内弁当が支給されるイメージ。自分でアラカルトを注文する必要はない。

 異動の行き先が戦場のような職場もあった。複数の組織の縄張り争いでルールや法律はあってないようなもの。米国VSロシアの対決が本国ではなく、ウクライナで行われる。自分はウクライナ。大国同士がウクライナを取り合い、最終的に自分が攻撃される。米国とロシア、どちらにつこうが、つかなかった相手に攻撃されるのだ。立場上、独立など決して許されない。

 現在では、どんなどしゃぶりだろうが、家にいればいい。いいお天気であれば、その日の朝に何をするかを決める。旅行や遊びの内容は事前に調査済みで、ホテルの直前割などによって最終決断する。

 なんだか調子が悪いなという日は誰にでもある。そんな日はダラダラと寝ていればOK。遅くとも2~3日後には回復している。そのおかげで仕事を辞めてから風邪すら引いたことがない。時間に縛られず、完全に自由な生活の最大のメリットはこの点にある。

 ちまたのFIRE本などで、かなりまじめに投資関連の勉強をした結果、お金に働いてもらっている。売却益にかかる税金は国税・住民税込で20.315%と給与所得にかかる税金よりも安い。

 そうか、資本家ってこういう感じなのか。もしくは部下に仕事をやらせる上司と同じかもしれない。いかに働き者で利益を上げている会社への投資を見極めるか。そのほうが自分で必死に働くよりも、はるかに効率的だと思うと、やや複雑な心境でもある。

2022年5月1日日曜日

禁酒4周年

 GW=禁酒記念日で今年は4周年になる。これほど長く続いていると、もはや日常と一体化し、禁酒半年1年近くで感じたメリットも当たり前になっている。4周年の感想は3周年の頃と変わらない。

 もはやアルコールを体内に取り込むほうが不自然であり、そうしたいと思わない。禁酒は世界的な流れのようで、ワイン大国のフランスですら消費量が激減している。

 ただ日本ではまだ飲酒=娯楽・交際の手段としてよく使われている。先日もオンライン飲み会のお誘いがメールで来た。懐かしいメンバーで話してみたいという気持ちはあった。ただ私としては禁酒のほうが重要度が高く、せっかく確立したライフスタイルを崩す可能性のある環境に身を置くべきではないと判断して参加しなかった。

 運動するために、あえて車を持たないのと同じだ。車を買ってしまえば、歩く機会が減るのは明白である。いい習慣を続けるために重要なのは、意志を強くする努力よりも、そうせざるを得ない環境を自分で作り出すことだ。

 吉野家の「生娘をシャブ漬け」発言が問題となったが、消費者に商品を依存させるという意味で酒のほうがたちが悪い。牛丼や覚醒剤よりもアルコールのほうが依存性が高いにもかかわらず、マスコミもさほど問題視しない。

 私としては「酒=カロリー過剰・思考停止・時間とお金の無駄」であり、その代わりに動画編集の練習や読書をしたほうが、はるかに充実した時間を過ごせる。

2022年4月13日水曜日

出雲大社 日本最強のパワースポットを探訪

 足立美術館の見学を終え、無料シャトルバスで安来駅に戻る。

 特急やくも号で最終目的地・出雲市まで48分。駅から出雲大社近くの旅館にバスで向かい、40分で最寄りのバス停に到着。

 江戸時代に創業した老舗の旅館だが、各部屋は最近リノベ済みでシャワートイレもある。ただ昭和っぽい太い棒にチェーンのついた鍵でドアの建てつけが悪く、どうにも鍵が閉まらない。古い建物にありがちな「コツ」が必要で、フロントに説明してもらいつつ、どうにか開閉できるようになった。

 午後6時過ぎで辺りは暗くなりつつある。出雲大社まで徒歩3分だが、周囲の食事処や店はコンビニとスタバを除き、全て閉まっている。蕎麦屋は午後4時半には閉店するという。

 旅館のフルコース料理はカロリー過剰→体重オーバーとなるため、食事は予約していない。ファミリーマートで夕食と翌朝の朝食を調達。温泉には夜と朝に入る。

日本海の浜辺を散策

 翌日は快晴で素晴らしいお天気。まずは日本海沿いの弁天島周辺の散策→出雲大社参拝→宝物殿→ランチ→島根県立古代出雲歴史博物館(以下、博物館)という流れで行く。最後に旅館に預けておいた荷物を引き取り、近くのバス停から空港行きのシャトルバスに乗る。

 晴れた日の海辺はすごく気持ちがいい。弁天島には海の神様を祭った沖御前神社がある。


 出雲大社へ歩いて行くと、玄関先に花を飾っている家をよく見かける。


 伝統的な日本家屋が目立つが、どこか沖縄を思わせるオレンジ色の瓦屋根もある。


 出雲大社には本殿まで最も遠くから数えて一の鳥居~四の鳥居まであり、この順番でくぐって行くのが正式な参拝方法とされる。だが一の鳥居は工事中のため、二の鳥居から出発。ここが正門でもあり、周辺に食事処や店が最も多い。

 
神々しい満開の桜が待つ

 のどかな風景が広がり、出雲でも桜は満開で最高の見頃!🌸💯


 夢中で桜の写真を撮っていると、掃除の女性と目が合う。昨日まで6分咲きだったが、今日になって一気に満開になったという。素晴らしい。。この神々しい桜の花が、私を待っていてくれたとは😍 

 この時期はまだ夜は寒すぎて、夜桜を見ながら散策する習慣はないそうだ。

清々しい気がみなぎる

 境内には神々しく清々しい気がみなぎっている。伊勢神宮とも共通する雰囲気がある。まさにパワースポット。


 やがて本殿が見えてくる。


 おお。。有名な立ち姿と注連縄。かなり太い。


 出雲大社と言えば、縁結びの神様として有名だ。最近私のYouTubeチャンネルが突然バズったので、たくさんの登録者と視聴者が来てくれますようにとお祈りする。神様からよい反応をいただけた😍

 出雲大社は「因幡の白うさぎ」で有名な大黒様を祭っているため、境内にはうさぎの置物がたくさんある。


宝物殿で日本の権力構造を知る

 境内の各所をめぐり参拝を終え、宝物殿を見学する。入場料300円、写真撮影は不可。

 出雲大社では60年に一度、大規模修繕を行っている。過去には何度か社屋を建て直し、工事のため社屋を付近の別の場所に移した。これを「遷宮」と言う。その際に見つかり、古代の社屋で使用されていた太い柱が展示されている。

 さらに注目したのは、歴代の将軍から「上納」された鎧兜などの品々である。贈り物を受け取る側>贈る側、という上下関係を示すものだ。

 出雲大社は神話時代に日本を建国した大黒様を祭っている。大黒様は天照大御神に日本統治を引き継がせた。この経緯を見れば、出雲大社>伊勢神宮(皇室)という上下関係が成り立つ。

 結論として、出雲大社は日本最高の「パワースポット」と言える。

 それを確かめるため、宝物殿や博物館の受付で「出雲大社は伊勢神宮より格上ですか?」と聞いてみた。「上とか下とかはないと思う」とか「宮司さんに聞いてください、としか申し上げられない」と言われたものの、「お伊勢さんのほうが上です」とは誰も言わなかった。

 そこでふと思い出したのだが、竹下登元首相は島根県の出身である。竹下派は保守本流と言われ、竹下登氏の弟・亘氏は女性宮家の創設に反対している。

 世論調査で国民の多くが女性天皇を支持するなか、岸田首相は自民党保守派の意見を重んじて議論が進まない。どうしてだろうと思っていたが、こうではないだろうか。

 つまり、出雲大社は日本で最も格上の神社とされ、そのお膝元を地盤とする政治家を無視することはできない。

 そうした権力基盤もあるのだろうか。周辺には立派な家屋が多く、ほかの田舎とは雰囲気が違う。


 出雲大社の周辺には蕎麦屋、工芸品や和菓子の店はあるが、さほど多くはない。これに対して、伊勢神宮の前には銘菓・赤福など土産物店や飲食店がひしめく通りがあり、もっと商業的な賑わいがある。

 全体的な雰囲気として、出雲大社はそこまで必死に客寄せをしなくてもいい余裕を感じさせる。

 そこで大学時代に教職英語の授業で一緒だったクラスメートを思い出した。彼女は島根県の出身で、卒業後は地元へ帰って教員になると早くから決めていた。世間知らずだった私は、全く迷いのない雰囲気をやや不思議に感じていた。せっかく東京に出てきたのに、なぜ田舎に戻るのだろうか。

 ようやくわかった。おそらく島根県は日本のどこよりも格上という認識があり、東京の大学に進学したのは視野を広げて教職免許を取るためにすぎない。

 さらに現地で気づいた点として、伝統的な日本家屋の前にお墓のある風景をよく見かける。現在では、昭和23年に制定された墓地埋葬法によって、寺院や霊園など墓地として許可された場所にしか墓を建てられない。だが同法より以前に建てられた墓については、存続が認められている。


 こうした「屋敷墓」のある家々は昭和23年よりも前から続いている、ということだ。戦災や地震、水害で壊滅することもなく、災害に強い土地なのだろう。死後には家の前にある墓に埋葬されると思えば、いつまでも家族と一緒という感覚かもしれない。こうして安全・安心な故郷に住み続けたい、という思いは想像できる。

 昼食は割子蕎麦にする。割子と呼ばれる丸い漆器に蕎麦を盛り、薬味と蕎麦つゆをかける。いろいろな味を楽しめておいしい。


 午後は博物館を見学。常設展(大人620円)では過去の出雲大社・本殿を復元した模型、歴史資料がある。


 奈良時代に天皇の命令で全国各地の状況をまとめた報告書「風土記」のうち、現在では唯一ほぼ完全な形で残っている出雲国風土記について、当時の生活の再現などの特別展示で説明している。


 島根県の歴史を詳しく学べる映画上映も行っていたが、あいにくバスの出発時刻が近づいていたため断念。係員も残念そうで、郷土愛の強さを感じさせた。

 始発のバス停で空港行のバスに乗る。発車までの間、別の乗客が運転手と話している。青森在住の女性で2カ月ごとに出雲大社を参拝しているという。旅館で出された料理は高級魚ノドクロもあったが、青森のほうが食事はおいしい、などと語っている。

 空港に到着、出発ロビーではテレビで島根・鳥取を中心とした天気予報をやっている。こういう地図を見るとあらためて旅行に来たんだなと実感する。


 飛行機はかなり空いており、途中でより眺望のよい席へ移動する。


 その甲斐もあり、絶景の富士山を拝むこともできた🗻


 まもなく夕日の羽田空港へ到着。


 羽田から電車を乗り継いで地元の駅に戻る。なんとここでも完璧に満開の桜が出迎えてくれた🌸💯😍