2022年6月20日月曜日

百貨店がECサイトに勝つ瞬間とは?

  アマゾンや楽天などのオンライン販売に押され、百貨店は売り上げや店舗数が減少してきた。かつては考えられなかったが三越と伊勢丹も合併し、東急に至っては本店の閉店も決定するなど苦境に陥っている。

 頼みのインバウンド爆買いもコロナの影響でほぼなくなり、今後はどうなるのか。

 そんな中、ある投資家三越伊勢丹の株を買ったという。このYouTuberは20年前に70万円で投資を始めて、今までに1億円を稼ぎ出した。上場企業の社長を6年務めた人物で企業財務のプロであり、経営の良し悪しの見極め方が鋭く、非常に参考になる。

 経歴からも相当な富裕層と思われ、三越伊勢丹の株を買った理由として、バイヤーを伴った説得力のある外商を挙げ、またアプリを活用した顧客管理にもとづく販売戦略も優れていると言う。

 では中間層を含む消費者全体にとって、百貨店で買う意味とは何だろうか。

 ある程度値段が張り、他人のレビューだけでは判断しきれない商品を買うには、やはり百貨店という感じがする。

 例えば、シーツや布団カバーなどの寝具。私の経験で言えば、これまでアマゾンレビューの高評価にもとづいて買ったシーツが、ほどなく薄くなって破けてきた、あるいは洗濯後に縮んでマットレスを包むのが厳しい、といった状況があった。

 その一方で、店頭で納得して買った製品は感触が素晴らしく快眠が促され、5年も使ってようやくくたびれてきた。値段はアマゾンで買った商品の3倍ほどだったが、全体的な満足感やコスパははるかによかった。

 この気に入った寝具の後継品を見つけるべく、徹底した調査を開始した。

 上記の納得した商品のブランドはローラアシュレイで、2018年に日本から全面撤退して残念に思っていたが、昨年に復活して百貨店に出店している。東京では新宿の京王百貨店などに入っている。

 全体的な雰囲気は変わらず、イギリスのB&Bの壁紙のような花柄が中心。だが過去5年で私の趣味が変化したのか、あるいは5年も同じ柄が続いたので今度は少し違うものを求めているのか、下記の柄が目にとまった。


 写真では素敵な雰囲気なのだが、実物を店頭で見るとそこまでのインパクトはなかった。ローラアシュレイの他製品と比べて手触りがザラザラで、そのためか価格帯も相対的に低く設定されているが、それでもシーツ・掛布団カバー・枕カバーの3点を合計すると2万円を超える。

 別のブランド、例えばラルフローレンはどうだろう。高級感は感じられたものの、上記3点で約8万5000円と価格は4倍以上。柄や色もそこまではそそられなかった。

 8万円を出すなら、あまり知られていないブランドであれば5万円程度で同等レベルのものがないだろうか。

 そう推察してググっていくと、ホテルライクインテリアというブランドがあった。ウエブサイトで下記の製品が目を引く。


 上記3点で約4万5000円とほぼ想定内。刺繍による模様という点も高級感があってGOOD。ネットのレビュー評価も高く、人気があるためか完売のアイテムもある。

 実物はどんな感じなのか、ほかにもいい商品はあるだろうかと、新宿伊勢丹に入っている店に足を運んだ。だが刺繍と言われたものの、ぱっと見にはプリントと区別がつきにくく、手触りはよいものの値段に見合う高級感は感じられなかった。

 ネットを見ただけで買わなくてよかったと、心の底から実感した。

 大塚家具はどうだろうか。寝具売り場ではラルフローレンよりも高価格帯の商品を置いている。こちらは刺繍の模様もしっかりと入り、その名も「ルイ14世」というブランドはたしかに高級感が漂う。だが模様がありふれた感じで色もボーっとしている。

 イギリスの花柄やペイズリー柄の愛好者にとって定番のブランドと言えば、ローラアシュレイのほか、ウイリアム・モリス、リバティがある。

 このうちウィリアム・モリスは掛布団カバーと枕カバーを、日本の寝具メーカー・西川が提携・製造している。最も有名な柄はこれだろう。


 私はこの青系の掛布団カバーを2つ持っているが、高島屋と京王百貨店の店頭でグレーとベージュ系の柄に注目した。


 先ほどのローラアシュレイの製品と似た路線ではあるが、手触りはこちらのほうがはるかによく、値段はさほど変わらない。ただし、モリスシリーズとしてシーツはなく、独自に合うシーツを探す必要がある。

 高島屋ではイタリアのMARTINELLIというブランドを勧められ、セミダブルのシーツで1万3000円程度。色合いと感触も素晴らしい。店員さんに御礼を言っていったん記憶にとどめ、京王にも行ってみる。

 高島屋と共通する商品はあるが、モリスシリーズでは京王のほうが品揃えがよい。西川から専門の販売員も常駐している。

 ベージュの掛布団カバーに合う色のシーツ(西川のボーテというブランド)が7920円。たしかに先ほどの1万3000円の製品のほうが感触のよさではわずかに上回る感じはするが、では5000円の差まであるかと言えば、私の個人的な感覚では7920円のシーツでも十分に快適ではないかと思われた。

 最終的にモリスの掛布団カバー+ボーテのシーツと枕カバーの3点を2万2000円で購入。これらの製品をググってもみたが、アマゾンや楽天では同一商品はなく、西川とヨドバシのサイトでも京王百貨店と同じ価格だった。ヨドバシではポイントがつくので、厳密に言えばヨドバシのほうが得ではあるものの、現物はなく取り寄せになる。

 徹底的に自分の主観と感性にこだわり、ECサイトと数軒の実店舗をはしごした結果、満足度の高い買い物ができた。

 ネットショッピングでは到底この結論は得られなかっただろう。感触、高級感、色といった主観的な要素が重要な商品に関しては、いくら多数の人々が絶賛するレビューを書いていても、自分はそうは思わないということは、めずらしくない。

 ひとつの目安として、このようなジャンルで数万円以上の価格帯で長く日常的に使う製品の買い物であれば、品揃えのよい百貨店に軍配が上がる。