長年のトム・クルーズのファンとしては、話題の新作が気になっていた。
ただトムの作品の中で「レインマン」が最も好きな私としては、「トップガン」はあまり印象に残っていない。現在上映中の作品は一作目の続きだと知ってはいたが、今回の作品のほうが一作目よりも素晴らしいというレビューも多かったので、とにかく映画館に足を運んでみた。
来日記者会見でトムはいかに観客を喜ばせるかを考え、素晴らしい作品ができたと語っている。まもなく還暦を迎える彼が演じる役は、米海軍トップクラスのパイロット養成校「トップガン」の教官として、山岳地帯にある敵の核施設を爆破するという、難易度の高い飛行チームを自ら率いる、というもの。
中高年の主人公が体力を張って組織に立ち向かい、AIに脅かされて絶滅の危機に瀕した米軍パイロットという職業で離れ業を見せ、最後に絶賛される。強靭な肉体、機体や設備の専門知識、判断力が問われる命がけの仕事ということはよくわかる。
困難→頑張る→克服→勝利という流れ自体は、映画や小説の王道であり、たしかに観衆を喜ばせる公式のひとつではある。
おそらくトムはボトックスやヒアルロン酸で無理にしわを伸ばしたりせず、年齢相応のしわやたるみが大画面に映し出される一方、太い腕っぷしや鍛え抜かれたマッチョな肉体から、相当なトレーニングを積んでいると想像できる。
トムが年齢に関係なく、軍隊という政府組織で上官の命令を無視しながらも自らの判断を貫いて成功し、サングラスをかけて大型バイクに乗り、バーテンダーの女性を夢中にさせる。
そうして頑張っている様子に感動したのか、すすり泣きをする男性も観客にいた。若々しい姿を見せることでトムの同世代を勇気づけることが、この映画の趣旨なのだろう。
ただバーテンダー役を務めるジェニファー・コネリーはとても若くて51歳には見えず、二人のベッドシーンはさすがに厳しい。男性プロデューサーが中高年男性の願望をかなえるという観点で採用したのだろう。逆バージョン(中年女性と若い男性)はハリウッド映画ではあまり見たことがない。
トムの頑張りはすごいし、時間の無駄だとは思わないが、ただそこまで感動する作品でもなかった。ヤフー映画のレビューで5点満点中4.7は高すぎる感じはする。
筋書を冷静に考えれば、低評価をつけたレビューアーの言う通りでもある。
・ならず者国家が具体的にどこなのかはわからないが、敵国が核施設を作っているという理由でその国の領空に侵入し、核施設を爆撃する。宣戦布告もなしに先制攻撃を行い、その点で真珠湾攻撃と同じ。メディアや岸田首相の言う「力による現状変更」であり、その一方で攻撃する側の米国にも核施設はある(😅)。
・敵国のパイロットや施設職員を殺して「アメリカ万歳!」と喜んでいる。彼らの命や家族・友人はどうでもいいのか。戦争を美化した危険な映画であり、高評価は宣伝工作の一部ではないだろうか。
・おじいさんが環境や損害を全く考えず、飛び恥(温室効果ガス排出量の最も多い乗り物=飛行機に乗って、温暖化を促すという恥ずかしい行為)をしているだけ。
さらに私から言えば、ヘルメットをかぶらずにバイクを乗り回すシーンはどうなのか。二輪車事故の防止に力を入れている警察にとっても、好ましくないだろう。
そもそも国防総省の協力を得た官民共同のプロパガンダ映画であり、中国本土やロシア、イラン、またアフリカ諸国でもまだ上映されていないようだ。
日本ではこの映画が上映され、ヤフーの低評価も削除されていない。さまざまな映画を観る機会があり、自由に感想を述べたり読んだりすることができ、観客に判断を委ねられる状況は素晴らしい。
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