昨日エリザベス女王の国葬が行われ、BBC、Sky News、王室などのYouTubeチャンネルで全行程が中継された。
各国元首や歴代英国首相、王族がウエストミンスター寺院に入場。葬儀は聖職者の言葉や少年合唱団、パイプオルガンの演奏などで進行した。私も何度も訪れた場所で、当時のことを思い出す。
英国が現在でも世襲による君主制であり、女王が特別な存在であることを世界に示す一連の行事だった。
エリザベス女王は私が生まれる前から女王であり、永遠に君臨するような気がしていた。
物心ついて初めて使ったノートの表紙が、バッキンガム宮殿の衛兵交代の写真だった。来日記念のスピーチを録音したレコードつきの本を父が購入して大切にしていたのが、ある時に私にくれると言った。「本当にいいの?」と聞くと、「いいよ、勉強に役立てて」と。。
素敵な思い出とともに女王は存在し、私が最も好きな外国の君主として身近に感じていた。このため、ひとつの時代が終わったという喪失感がある。
しかしながら、スコットランドの城で死去して以来、延々と続く追悼行事と豪華絢爛な国葬には、どれだけの金額がかかっているのだろうか。女王の私有財産は約740億円と伝えられ、数々の宮殿や城、宝物、絵画、土地などを合算すると、いくらになるのか想像もつかない。
「国民のために奉仕した」とメディアは伝えている。たしかに一国の持つ価値をある一カ所に集結させることによって文化を保護・維持する、王室外交を行う、今回の国葬のように軍隊が伝統的な制服をまとい、一糸乱れぬ連帯で女王の棺を守り、聖職者とともに一連の儀式を行うことで全世界に国力を示すという効果はある。
だが、そのような予算は高い税金によって賄われている。総費用16億円超えとも予想され、世界一お金がかかりそうな一連の儀式の全行程を、女王が生前に要望もしくは承認していたという。
そのあたりを納税者はどう考えているのだろうか。
大手メディアの多くは保守的で現体制を維持する方向で報道する傾向にあり、映像や写真には沿道で女王を見送る多くの人々が映し出される。
イギリス人の友人と話してみると、別の感想も聞かれた。彼いわく、直接の知り合いでなくメディアを通じてのみ知っている人物であっても、誰かが死んだというニュースは悲しい。エリザベス女王個人が悪いわけではないが、自分は王室を支持していない。国家元首は選挙によって選ぶ共和制を採用すべきだ。
ガーディアン紙は国葬を見ないことにした4人のイギリス人を紹介している。なかでも「一連の行事が長すぎる」とするロンドン在住の女性ライターの感想には共感を覚えた。
天皇陛下は国葬の前日にエリザベス女王の棺に別れを告げる儀式に招待された際に、G7は個別の車を手配される予定だったが、ご自身はほかの出席者と一緒のバスでよいとして、そのようにされたという。
こうした感覚があるからこそ、現在の天皇陛下は人気があり、日本文化の継承や皇室外交のために費用を払ってもよいと、私を含む相当数の国民が考えるのだと思う。
