ブリンケン米国務長官はPBS(米国の公共放送)のインタビューで「ウクライナのオレンジ革命など他国の民主運動に米国が介入した、などと言われているがデタラメに過ぎない。残念ながら、こうしたウソが独り歩きして、信じてしまう人も多い」と語っている。
白髪まじりだが少年っぽい雰囲気の同氏が「ボクはやってない! 信じてよ!!」という子供のような真摯さで主張しているのを見ると、え、そうなのかなとも思う。
昨日紹介したノンフィクションはKGBの驚くべき行動を詳述し、米露高官の「やった、やってない」議論の真否を想像するうえでの材料となる。
1968年の「プラハの春」では、チェコスロバキアの指導者が移動や言論の自由を推進し、共産主義の締めつけをゆるめた。
KGBはこれを共産主義自体への脅威ととらえ、クレムリンの指示を待たずに鎮圧に乗り出した。(ええっ、これはすごくないか?? 独裁国家でトップの承認なしに動けるほど、KGBが事実上の支配者だったことがわかる。)ソ連がワルシャワ条約機構の加盟国に対して行った最大規模の工作だった。
・KGB長官の指示のもと、30人を超える外国人のKGB協力者が西側諸国の旅行者に扮してチェコに入国。現地の知識人、学者、ジャーナリスト、学生、作家をターゲットに近づき、解放運動に共感する外国人のふりをして計画を聞き出した。
・最大の作戦は「西側の諜報活動に援護された右派による暴動が起きる」というデマの拡散だった。KGBは共産主義転覆を呼びかけるポスターを捏造し、隠し爆弾を設置。こうした品々が「米国製」の包装材に入っているのを「発見」した。
・ソ連当局はさらに、共産主義政府を転覆して帝国主義の手下を就任させる「極秘の米国計画」を暴いた、とも主張した。
・KGBは、解放運動の指導者で西ドイツに亡命していた大学教授と作家の誘拐も企てた。この2名は「チェコ社会主義の基盤をぶち壊す反政府グループを率いている」と、KGBは誤った解釈をしていた。
・KGB職員は2人に「あなたはソ連の刺客に狙われているので、安全な場所に避難させてあげる」と言って近づいた。誘いに乗らなければ「特別な物質」を使っておとなしくさせるつもりだった。だが大学教授は「ふだんより大きな危機が迫っているとは信じがたい」と拒否。作家はボディガードをつけてチェコ語しか話さず、KGB職員は話された内容を理解できなかったため、この計画は頓挫した。