昭和25年を再現した商店街では、おひとりさまの客にもスタッフが声をかけて写真を撮ってくれる。そうした会話の中で勧められたアトラクション「富士見展望塔」へ。
多摩湖を望む360度の展望塔
展望台が地上80メートルまで回転しながら上がっていき、周囲を360度見渡せる。運がよければ隣接する多摩湖の奥に富士山も見えるらしい。なんと誰も並んでおらず、私のために完全に貸し切り状態で運転してくれた。
これほどガラ空きでは、全てのアトラクションに乗っても半日もかからないだろう。
そこで全部試してみようと、次は近くにある「オクトパス・アドベンチャー」に行く。入口に到着すると次回の乗車は締め切ったばかりで、しばらく待つ。
隣には大きな船が前後に動く「バイキング」がある。別の遊園地で似たような乗り物に乗ったことがあるが、気持ち悪くなった覚えがあり、これはパスすることにする。
オクトパス・アドベンチャーは見た通りの乗り物で、巨大なタコの足に乗ってグルグル回る、というもの。
そう、ただそれだけなのだ。リニューアルしたのは昭和の商店街やゴジラのアトラクションのみで、あとは従来からあった「ザ・遊園地」と言うべきコーヒーカップなどの乗り物の数々。感覚としてはイギリスのブライトンで海岸の散歩道にいきなりメリーゴーラウンドがある、みたいな感じだ。
しかも客がいないため作動していない。入口に行ってみると、先ほどの展望塔のように、私のために貸し切りで運転してくれた。
いい大人がひとりでお子様向けの乗り物に乗る、というのは勇気が要る。だがスタッフは客が来てほっとしたようで、なにも気にしていない。
いったい何十年ぶりにコーヒーカップに乗っただろうか。ふだんはコーヒーを飲むために使うカップに自分が入り、グルグルと回る。それだけなのだが、長引くコロナ禍でマンネリ化した生活を送るなか、同じ思考のループに陥っていた私にとっては、非日常の感覚を味わい気分転換になった。
完全貸し切りで非日常を楽しむ
ストレスがたまっていると思ったら、通り魔や放火ではなく、タコ足でもコーヒーカップでも乗ってみたらどうだろうか。なんだか笑ってしまうこと請け合いである。
園内をめぐる機関車「レオとライヤの夕日列車」も貸し切り状態で、運転手兼車掌のお姉さんと私の二人旅。
ゾウの背中に乗る感覚の「飛べ!ジャングルの勇者レオ」も貸し切り。
メリーゴーラウンドにはほかにも数名の客がいた。
私が選んだのはコレ。王族でもなければ本物に乗ることもないが、ちょっとしたセレブ気分?😅 結構よくできてる。
回転空中ブランコはスリルがあり、怖くて目をつぶることも。内装はこちらも欧州の王族風。
ちなみにジェットコースターは「アトムの月面旅行」という小規模な乗り物のみ。多少のスリルはあるが絶叫系ではなく、心臓に悪い感じはない。
観覧車も待ち時間ゼロ。上から見下ろしても、本当に人がいない。
カラスの急襲に注意
ちなみに先ほど上の写真のエリアを歩いていたら、いきなり後ろからカラスに急襲されるというハプニングもあった。突然頭上を蹴られ、一瞬何が起きたのかわからず、目の前にカラスが着地している。しばらくジンジンしていたが、痛いということはなく、夕方までには治まった。
かなり前にニューヨークで自由の女神の観光船を待っている間、ホットドッグを買って包装紙を開けると、いきなりカモメに強奪されたのを思い出す。今回は食べ歩きをしている客だとカラスに勘違いされたのか、全く理由はわからない。通り魔に遭った人も同じような感じだったのだろう。気持ち悪いのは確かだが、カラスで済んでラッキーだったとも言える。
西武線の運転手を体験
観覧車を降りて遊園地の最も奥の場所に「チャレンジ トレイン 出発進行! 小さな運転士さん」というアトラクションがある。
いかにも鉄道会社の運営する遊園地らしく、電車の運転士を体験する、というものだ。
小さな列車に乗り、駅と駅の間に割り当てられた時間通りに運転するようブレーキとアクセルを使い、指示された場所で警報を鳴らす。目標の時間にどれだけ近いかによって点数が決まり、全て指示通り、時間通りに運転できたら100点。ちなみに私は60点だったが、スタッフの方いわく「かなりいいほう」だとか。😅
昭和レトロの商店街、ランチ、ほぼ全てのアトラクション体験で所要時間は3時間。待ち時間はゼロだったので、メチャクチャ効率的に回れた。遊園地を一日貸し切りにしたら、いったいいくらかかるのか想像もつかないが、平日の西武園では4,400円でこんな贅沢ができる。
Googleのレビュー平均点は西武ゆうえんち全体で3.6。昭和レトロが気に入ったと絶賛する評価もあれば、商店街と平凡なアトラクション、目玉はゴジラのみという批判もある。TDRやUSJのように人目を引く乗り物やパレードがない、と。
客が主役、アトラクションは脇役
しかしながら、西武園の入場料はこうしたテーマパークの半額程度。緑豊かな環境でさほどスリルを求めず、昭和を懐かしみながらマンネリ化した日常を離れて散歩する場所としてはちょうどいい。
おひとりさまでもいいし、あるいは友達や新しいデート相手と行くのもいいだろう。というのも、ほとんどのアトラクションは適度な刺激にとどまるので、連れとの会話の妨げにならない。コーヒーカップや馬車、機関車に乗りながら目の前の光景が変わることで、かえって話がはずむかもしれない。
あくまで客が主役であり、アトラクションは脇役に過ぎないというユルユル感が、西武園の魅力なのだ。