情報戦やフェイクニュースといった言葉が流行っているが、どんなメディアを信じればよいのだろうか。
結論を言えば本である。時間があり頭のいい人しか本は読まない。テレビや新聞よりも読者が限定されるためか、ポリティカルコレクトネスも関係なく真実が語られる。ヤフーニュースで配信したら大炎上するようなエピソードもバンバン出てくる。
5ちゃんねるでも言い得て妙のコメントがあるが、ゴミのような発言も多く、ふるいにかけるのに時間と労力がかかる。信頼できる著者の書いた本であれば、その心配はない。
もちろん、著者によって意見は異なる。同じ事実でもヒラリーとトランプでは全く違う見解を持つ。このため私は両者の著書を読んだ。
トランプの主張にも一理あり、わかりやすく書かれてはいる。おそらくライターがインタビューして書き起こしたと思われる。これに対してヒラリーは自ら筆をとり、詳細な調査と事実にもとづき、語彙も豊富である。一言で言えば、トランプは本能と直感で生きる二世ビジネスマンであり白人男性優位主義者、ヒラリーは女性・子供・マイノリティーの権利向上に取り組む政治家であり、生来のがり勉である。
さまざまな著者の意見を知ることができるのは、自由主義の国で出版された本だからである。
これが独裁国家ではどうだろうか。
中国では国営メディアのみならず、書籍も検閲されている。このため中国共産党の見解とは異なる本は出版できない。
最近、相当な高学歴の中国出身の方と話した。私が上記のメディア論を展開すると、その方は言う。「本を読んだところで、共産党の言い分しか書かれていないし、重要な事実が抜けていて一方的な見方にとどまる」
例えば、中国と台湾は対立関係にあるが、歴史的に台湾はかなり中国に協力してきた。中越戦争の際には、米国製の大型軍艦を持つベトナムに対抗するには、上海や東北部から中国の軍艦を総動員させる必要があった。
本来であれば、中国の軍艦が台湾海峡を通過することを台湾は許さないが、蒋介石は中国のためを思って秘密裏に通過させた。結果として、このような事態を想定していなかったベトナムは不意打ちを食らい、中共は戦況を有利に進めて面目を保った。
にもかかわらず、中共は表向きには蒋介石に感謝もせず、台湾への批判を続けている。蒋介石の功績といった「不都合な真実」を述べた本など中国には存在しない。この方は日本のネット環境によって、ようやくこうした事実を知ることができた。
こういう話を聞くと、あらためて言論が統制された独裁国家はやばいと思う。日本や欧米でもコロナ関連やウクライナ情勢のニュースはかなり偏っているとは思うが、国家による書籍の検閲までは行われていない。この点はかなり大きな違いである。
高い知性の持ち主ですら「どうせ本を読んでも、プロパガンダしか書かれていない」と思ってしまう社会はやばすぎる。
国や社会が危険な方向に行くのを阻止できるのは、民主主義における国民一人ひとりである。そのためにも読者は状況を正しく認識する必要があり、言論統制などあってはならない。