2022年2月17日木曜日

特別展「ポンペイ」 2000年前のイタリアを満喫

  東京国立博物館で開催中の特別展「ポンペイ」を見学した。

 紀元前7世紀末にイタリアのナポリ郊外に建設された都市ポンペイは、紀元79年にヴィスヴィオ火山の噴火による火山灰でわずか1日で埋没した。18世紀半ばに農夫が発見、現在ではポンペイ全体の25%まで発掘が進んでいる。

 過去には「大ポンペイ展」が1976年に三越本店で開催され、家族で訪れて感動した。私はまだ9歳だったが、約2000年前の干しブドウまで残っていたのが最も印象に残っている。今回も干しブドウが展示されていて感慨もひとしお、さらにはパン、イチジク、キビもあった。約半世紀をへて発掘と補修技術が進み、解説の映像も高画質でインパクトがある。

 会場の東京国立博物館は上野公園にある。上野駅の公園口を出て、ヨーロッパ風のカフェと東京文化会館を両脇に見ながら歩く。さらに国立博物館へ向かい右手に行くと、大きな広場になっていて噴水がある。


 あれ、上野ってこんなに素敵だったかな? というか国立博物館に前回来たのは高校の遠足だった気がする(😅)。それにしてもテキトーな高校だったな(笑)。現地集合、現地解散。出席も取らない。生徒としては休日が1日増えた気分、先生はラク、まさにWIN-WIN。帰りに友達の第一希望だった上智大の学園祭に2人で行った。楽しい一日だったな。

平日の午前はガラガラ

 コロナ対策で入場制限を行い、事前にネットで時間指定の枠を押さえるよう主催者は勧めているが、平日でどの枠も空いていた。現地に直行したところ、私が到着した午前11時46分には予想以上にガラガラだった。 


 ただし午後になると混み始め、夕方の閉館前には土産物店で長蛇の列ができていた。あとで詳述するが、特別展のチケットで平常展も見学でき、全て見ようと思うと膨大な時間がかかる。このため早めに到着することをお勧めしたい。

 ポンペイ展は「平成館」という新しい建物で開催されている。


 コートや荷物はロッカーに預けられる。100円玉を入れてカギを締め、帰るときに戻ってくる。

 
 以前は博物館や美術館で撮影OKなど考えられなかったが、最近ではフラッシュを炊かなくてもカメラが自動的に光を調節してきれいな写真を撮れるようになった。主催者としてもSNSやブログで拡散してくれれば宣伝になる、ということなのだろう。


 前回の「大ポンペイ展」では、いかにも火山灰から出てきたようなススのこびりついた品々が多かったが、今回は汚れがきれいに落とされ、おそらく修正も加えられたと思われる美品が目立つ。


 こうした華々しい生活を支えたのは奴隷労働だった。奴隷の足を固定して逃げないようにする道具が生々しい。


 この絵は「お金持ち(左側)も貧乏人(右側)も死ねば同じこと」を意味している。


 台所用品も充実している。これはお好み焼きではなく、パンを焼く道具らしい。


 計りに使うおもり。


クライマックスは「食べ物のミイラ」

 最大のハイライトはここ❣ 約2000年前の干しブドウと再会し、思わず感動😍


 さらには完璧なまでのパンの「ミイラ」はまさに圧巻!!😂


 炭化してはいるものの、ここまでリアルな形だと思わず「食べられるのか?」と思ってしまう。そんな妄想を実現するお土産が売られていて、思わず買ってしまった(😜)


 ちなみに2000年前のパンは大人気で、クッション、小物入れ、マグネットといったグッズも販売している。


天然石を生かしたイタリア美術の粋 

 干しブドウと同様、この犬は1976年の「大ポンペイ展」にも登場した。


 今回は猫もいる。


 これらの絵は天然石を使ったモザイク画である。この微妙な色合いが人工ではなく、全て自然に存在する石をそのまま生かすという技法のイタリア芸術には驚嘆する。

 もう10年以上前になるが、フィレンツェを訪れてふと立ち寄った画廊で一目ぼれ、思わず衝動買いした作品も全て天然石を使用している。


 日常の至るところに彫刻があるのも、いかにもイタリアらしい。


 先ほども少し紹介したが、ほかの美術展と比べても土産物の種類はかなりある。公式サイトでも販売しているが、現地でしか買えない商品も多い。カタログは2,900円とややお高めだが、立派なつくり。裏表紙には先ほどの猫、別の絵柄(蛇)の2種類があり、どちらかを選べる。


 特別展・ポンペイのチケット(2,100円)には、国立博物館の全ての平常展への入場料が含まれている。平成館には埴輪など日本の古代美術、琉球王国の展示がある。本館では日本の古代~現代に至る美術を一通り見ることができ、とくに日本刀のコレクションや解説が充実している。

 これだけでも回るのに半日かかったが、ほかに東洋館、法隆寺宝物館、黒田記念館(黒田清輝の作品)、資料館も見学可能。これらを全て見ればかなり元が取れると思うが、1日で回るのは厳しくかなりクタクタになるだろう。

 入場時間の枠は割り当てられているものの、いったん入ったあとはチケットを見せればポンペイ展には何度でも出入り自由で、平常展では入場券のチェックもない。

 このためお土産を買う場合には、平常展を見たあとにポンペイ展に戻ってきてから買ったほうが、荷物を持ち歩かないですむ。各館にロッカーはあるようだが、その度にロッカーの場所を探すのも時間がかかる。

食事は屋台とオークラの二択

 とにかく全て見るとなれば、長丁場になるのは間違いない。平成館の前には軽食の屋台とベンチがあるが、この寒さの中では外で食べるのは厳しい。


 このほか敷地内にはホテルオークラの経営するレストラン「ゆりの木」がある。


 公共施設といえば庶民的な食堂というイメージだが、高級ホテルが入っているとは意外だ。国立博物館の経営は独立行政法人のため、年々減額される交付金を補うべく富裕層をターゲットにしているのだろうか。

 だが思ったより高くはなく、五目焼きそば(1,280円)を注文。私の好きな頤和園ほどの量はないが、お上品な盛り付けでイカの切り方も美しい。一人暮らしではここまで凝った調理はしないので、しばしセレブタイムを満喫。


 周囲を見渡せば、平日の昼間にこうして優雅な時間を過ごしているのは、ほとんどが女性である。働くしか選択肢のない多くの男性と比べて、いろんな生き方のある女性のほうが長生きする理由は、このへんにあるのではないかと思う。