2022年2月10日木曜日

妻の役割とは何か?

  しつこくて恐縮だが、KGB職員のノンフィクションでふと疑問に思った方もいるかもしれない。彼には家庭があったのか? だとすれば妻や子供はどうなったのか?と。

 前述したように、意外にもKGB職員の離婚経験者は結構いた。愛情というよりも、おたがいの都合で相手を選んでうまく行かなくなるケースが多い。

 主人公Gordievskyの最初の結婚もこのパターンだった。妻のYelnaはKGB勤務の翻訳者でフェミニストを自称し、二人とも外国に行きたくてたまらなかった。彼女にとって優秀で海外駐在の可能性が高い彼は「モスクワを出るためのパスポート」だった。

 それまでGordievskyは同級生の平凡な女性と何人かつきあったが、満足せず長続きしなかった。彼はYelnaの機知に富んだ鋭いユーモアのセンスに魅かれたものの、多くのソビエト男性と同様、妻にはつべこべ言わず料理や掃除をすることを求めた。彼は子供を望んだが、彼女は望まず、彼に無断で堕胎した。それをきっかけに二人の関係はますます冷え込んでいった。

 デンマーク駐在中も夫婦仲は改善せず、Gordievskyは現地で知り合った女性Leilaと不倫関係をはじめた。彼女はWHOのタイピストでKGB職員の娘だった。

 離婚は出世に不利に働くものの、Gordievskyは妻との冷え切った関係を解消し、海外駐在から帰国後にLeilaと再婚した。彼女は明るく優しい家庭的な女性で、やがて2人の娘に恵まれ、家事と育児を完璧にこなした。

 Gordievskyは彼女を愛していたが、信用はしていなかった。MI6との二重スパイ生活は極秘で、知っているのはMI6のごく限られた人々だけだった。

 再婚した妻は現状に疑問を持たない「KGBファミリーの一員」であり、Gordievskyは彼女にも自分の本当の姿は隠したままだった。モスクワから逃亡する前に妻の意思を探るため、冗談半分で「休暇に行くふりをして、家族でイギリスに逃げようか?」と聞く。Leilaは「バカなことを言わないでよ」と一蹴し、Gordievskyは単身で逃げる決意を固める。

 Gordievskyの逃亡後、KGBは彼の行方がわからず、Leilaに厳しく尋問する。彼女はこう答える。

"I was a wife. My job was to clean, cook, shop, sleep with him, have children, share the bed and be his friend...For six years of my life I was a perfect wife...You, the KGB, you have thousands of people with salaries whose job was to check up on people...You didn't do your job. It wasn't my job, it was yours."

 まさに正論というか。

 さらには妻の役割について下線部ほど明確な説明を聞いたことがない。

 そうか、そうだよね。だから私には向いていなかったのか(😅)。こりゃ退屈だわ。しばらくはいいかもしれないが、そのうちに飽きちゃうだろう。それで友人は専業主婦になるため寿退社したのに、二か月でまた働きはじめたのか。わかる、わかる。

 何十年も同じ人と同じことをやっていたら、かなりマンネリ化するだろう。だから世間には不倫したり、離婚する人も結構いるのだろう。

 まあ私はおそらく世の中のことがよくわかっていない、もしくは修業が足りないのかもしれない。ただ、妻という役割に向いていないことはわかる。