2021年10月8日金曜日

ヤクルト・阪神 一塁側内野席から実況中継

 10月に暑さが戻ったが、日も暮れる頃には涼しくなる。

 こんな日は絶好の野球観戦日和。都心でもおしゃれなエリアにある神宮球場には日中の蒸し暑さがやや残ってはいたが、風が吹いてくると心地よい。

 午後5時過ぎに到着すると、阪神の選手たちが練習している。今回は初めて一塁側の席だ。今年は最近まで首位を独走、これは見に行かなければとチケットを入手。だが三塁側のいい席は完売だったので、勇気を出して一塁側に乗り込んだ。

 記者席のすぐ後ろで視界は抜群。黄昏時のドコモビルも美しい。


 私のプロ野球脳は昭和60年(1985年)でとまっている。阪神が21年ぶりの優勝を果たし、バース・掛布・岡田の三連続バックスクリーン本塁打が伝説となった年だ。

 私の人生でも第一希望の東京外大に合格してホームランをかっとばし、黄金時代の幕開けだった。直前まで模試ではE判定のみ、共通一次は直近模試より80点アップして初めてC判定。いわば大幅にリードされ完封負けが目前に迫る8回裏でようやく1点を返し、9回裏の国立二次で満塁サヨナラ逆転本塁打を放った。どうしてこのような展開になったのかを話し出すと終わらなくなるので、この辺でやめておこう。

 話を戻すと背番号31と言えば掛布なのだが、今では外国人選手のマルテがつけている。

 一塁側の利点としては阪神のベンチを眺められ、右打ちバッターとサウスポーもよく見られる。


 コロナ対応で声援は禁止。ヤクルトファン向けに会場では応援プラカードが用意され、これを掲げたり拍手するのはOK。アルコール類は販売せず「ビールいかがですかあ~~!!」というお兄さんの叫び声はない。その埋め合わせなのか、午後8時~9時にはスイーツ100円引き。

 

「からあげ祭り」もやっていて場内はおいしそうな匂いが漂っていた。宣伝のアナウンスでは「仲間の鳥がたくさん死にました」と言って、周辺から苦笑がこぼれる。ツバメという鳥の球団としては理解不能なコンセプトではあるが、とにかく何かを売りたかったのかもしれない。アニマルウエルフェアにうるさいドイツあたりではありえない。

 最近ヤクルトに首位を奪われたものの、2~3日前まではゲーム差1と逆転のチャンスは大いにあった。それが前日に負けて2ゲーム差となって迎えたヤクルト3連戦。ここで連勝して首位を奪還するしかない。

 だが1回裏でいきなり微妙な判定で先制される。一塁側なのでおとなしく観戦するつもりだったが、相手が点を取るとため息が出るし、当方が本塁打を打てばうれしさがこみあげて大きな拍手を送る。

 球場全体として阪神ファンのほうが多く、一塁側でも阪神のユニフォームを着た観客も散見され、仲間同士で座っているグループもあった。おそらく私のようにチケットを買う時にすでに三塁側のいい席は完売だったか、あるいは別の視界から観戦したかったのだろう。すごい望遠レンズで写真を撮っているファンも結構いた。

 背後にはヤクルトファンの中高年夫婦と思われるカップルが座り、夫が独自の解説をするが妻は終始機嫌が悪い。一緒に観戦に来るので仲はいいのだろうが、よくわからない。日本人は照れ屋なのか、あきらめているのか、中高年のラブラブ夫婦というのを見たことがない気がする。アメリカ人が夫婦仲のよさをこれでもかとアピールするのとは対照的である。

 ラッキーセブンでは敵地ながらも六甲おろしが流れる。

 4対1でリードされるなか、二死満塁のチャンスを迎える。声出し応援禁止ではあるが、三塁側外野席は止められない。

 だが声援もむなしくアウト。あとは8回と9回を残すのみ。田舎暮らしは帰りの電車が気になる頃だが、9回裏がなければ予定より早い電車に乗れるだろう。もちろんうれしくもない。「9回裏で同点だった場合でも延長はありません」とのアナウンスが流れる。コロナ対応で延長も禁止というわけなのか。

 結局、夜9時前に9回表で4対1で試合終了。

 ヤクルトファンで沸き立つスタンドを立ち、そそくさと出口へ向かう。周囲には同じような心境の阪神ファンが無言で外苑前駅に歩いて行く。せっかくお金を払って見に来たのに。。だが勝負である以上、どちらかが負ける。純然たるギャンブルではないにしろ、観戦した試合で負けると何しに来たんだかという気持ちになり、プロ野球観戦は賭けでもある。

 1カ月前にチケットを買った時には、この試合でヤクルトにマジック点灯を許すとは思いもよらず。

 まあ、いい席で心地よい風を感じながら、プロの技を見られたのでよしとしよう。