2021年7月23日金曜日

突っ込みどころ満載の五輪開会式

 直前まで数多くの騒動があった東京五輪だが、ついに昨日開会式が行われた。

 206カ国・地域の選手たちが笑顔で入場し、各自の文化や国柄を感じさせたことは素晴らしかった。隈研吾氏の設計した国立競技場も美しく、花火が打ちあがると気分も盛り上がった。

 その一方で、五輪の利権構造や上層部の詭弁が浮かび上がるイベントでもあった。

 キルギスとタジキスタンの選手団は全員マスクを着用していなかった。パキスタンなど一部の他の国でも、マスクなしの選手がいた。入場する前にマスク着用の状況をチェックし、徹底させる措置は取れなかったのか。菅首相や小池知事の言う「安心・安全の五輪開催」ではない状況が全世界に知れ渡った。

 また入場の順番は国名の50音順とされたが、このルールの運用方法もよくわからない。アメリカ合衆国が最後から3番目というのは、どういうことなのか。「アメリカ」であれば最初のほうだし、「べいこく」でも中盤になるはずだ。

 この理由は、米テレビ局NBCが最後まで開会式の視聴率を取れるよう、開催国の直前に今後の開催国を持ってくるよう働きかけた、ということらしい。NBCの親会社コムキャストが国際オリンピック委員会(IOC)に対して、2014~2032年までの五輪放映権料として120億ドル(1兆3000億円)を支払っているため、これが可能だったようだ。このルールでいけば、オーストラリアも2032年開催国として終盤にくることになるが、同国は50音順に従っていた。

 日本が支出する東京五輪予算の総額は、関連経費を含めて約3兆円にのぼる。日本は主権国家としてIOCに何も言えなかったのだろうか。

 米国は何かと言えば国際的なルール遵守の重要性を強調するが、自分に有利になるようルールを変える手法にはドン引きしてしまう。所詮NBCの放映ビジネスなのかもしれないが、正式な米国選手団が特別扱いされる光景が全世界に映し出されることで、ダブルスタンダードで我儘な国といった印象を与える。これは米国という国家のイメージ戦略としてどうなのか。

 また、国名は外務省のHPに掲載されている名称とは必ずしも一致しない。例えば、外務省HPでは台湾は「台湾」だが、開会式では「チャイニーズ・タイペイ」と呼ばれ、香港は「香港、中国」だった。中国への忖度もあったのかもしれない。

 興味深かったのは、ドイツだけ各選手が自国の小旗に加えて日の丸を振っていたことだ。ドイツ出身のバッハIOC会長の評判が日本であまりにも悪いので、少しでも日本人の怒りを静めたかったのかもしれない。

 そのバッハ氏は挨拶が異様に長く、ダラダラと13分も話しつづけた。"Solidarity"という言葉を何度も使い、内容的にも重複が目立った。日本語を使って直接日本人に語りかけたのはよかったが、スピーチ全体が適切な時間に収まるよう練習していなかったのは明白である。リーダーとしての基本であるスピーチスキルがこれほど低い人物がIOC会長ということは、何らかの利権のおかげでこの椅子にいるんだろうと想像する。

 アート面の演出に関してだが、君が代の歌い方はくずした感じだった。私は個人的に、もっと正しい発音で楽譜に則った歌い方のほうがよかったと思う。

 最後の聖火ランナーは大坂なおみ選手だった。その前に五輪旗を持って歩くアトラクションでは、欧州代表が黒人女性だった。最近の動きとして、とりあえず黒人女性を出しておけば安全といった考え方があるような感じがする。

 しかしながら、日本語も十分に話せない人に開会式で最大の見せ場を持たせたのは、どうかと思う。五輪への貢献度で言えば、もっとふさわしい日本人選手はたくさんいる。主催者側としては「人種差別してませんよ」というアピールなのかもしれないが、人種問題=白人VS黒人でアジア人軽視という、米国の典型的な図式が持ち込まれた感じがなきにしもあらず。しっくりこない人選だった。