2022年3月15日火曜日

偕楽園で見頃の梅を堪能する

 今週から本格的な春が到来。日本三名園のひとつ、偕楽園へぶらりと出かけた。約100種類、3,000本の梅の木があり、全体的に7~8割は開花、満開の木もたくさんあり今が見頃だ。 


 中央線の特快で東京駅まで行き、常磐線の特急に乗り換える。成田エキスプレスや京葉線とは違い、中央線や山手線のホームから歩いてすぐ。

 
 周辺には最近新しくなった駅ナカの弁当屋、スーパーもある。


 昨秋に乗った「はちおうじ号」と同様、特急券はえきねっとで予約して100円引き(通常1,580円→1,480円)。指定した席に行くと緑のランプがついており、車掌が検札に来ることはない。


 すごくきれいな車両、平日昼間の下り列車でガラガラ。寒い冬が終わって春が訪れ、分厚いコートではなく、やや薄手のコートで十分。

 かすかではあるが、車内のどこからか口笛が聞こえる。いや、まさにそんな気分。だが中央線や山手線では実行に移す乗客はいない。常磐線は牧歌的で人間ものんびりしている。

 列車は丸ノ内のオフィス街を通り抜けて走り出す。さきほどゲットした弁当とデザートを用意。いかにも旅行という感じ。

 
 さすが高級スーパーでどれも上品な味。さて弁当ガラを捨てに行く場所だが、車内の見取り図がゴミ箱の場所まで明記されている。


 前述のとおり予約した席は緑、また空席は赤、まもなく予約客が到着する席は黄色のランプ表示となっている。指定券を買わずに乗車した客は赤の席に座り、車掌が来た際に清算する(車内料金は事前予約よりも割高)。この説明が上記表示のみならず、車内アナウンスで日本語および、その一言一句正確な英訳で流れる。


 いかにも日本的と思わせる効率性を重視した細かい指示だ。日本の役所や組織は細部まで正確な説明を旨とするが、とりわけ国土交通省はまさに圧巻と言えるほど、建築物の設計図のように細かい図式のパワポを得意とする。そうか、鉄道は国交省の管轄だよね、と妙に納得する。

 車窓から日清食品の工場が見え、カップヌードルから湯気のような煙?が出ている。


 東京駅から1時間21分で水戸に到着。


 偕楽園前の臨時駅もあるが、昨日は閉鎖されていたためバスで向かう。案内所で水戸駅と偕楽園の往復割引切符(400円)を売っているらしく、ICカード(片道231円X2=462円)よりもお得だという。だが案内所の場所がわからず、偕楽園行きのバスがすぐに到着したので、とりあえずICカードで乗車。
 
都道府県魅力ランキングにトラウマ

 さすが首都圏の県庁所在地、秋田や和歌山の田舎のように「バスは現金のみ」ということはない。ただ茨城県知事が不満を表明していたが、茨城は魅力ある都道府県ランキングのワースト1の常連となっている。これは地元にとってトラウマらしく、バスの車内アナウンスでも触れて「みんなで茨城を盛り上げていきましょう!」と呼びかけている。

 そもそも47しかない都道府県の魅力ランキングは残酷だとは思う。京都や北海道などの観光地が上位、北関東が下位という傾向にあるが、では全ての都道府県が観光に力を注ぐべきなのか? 

 関東平野は平坦な土地を生かした農業に適している。畑や田んぼが多くなれば、当然ながら遠くからわざわざ訪れる場所にはなりづらい。ブルーベリーやイチゴ狩りはありかもしれないが、コメ、ジャガイモ、キャベツ、トマトといった日常生活に密着した産品は〇〇狩りにはやや厳しい。毎日の食生活を支える自治体が「魅力的でない」と言われて憤慨するのは当然である。
 
 そうした憤りと負けん気もあるのだろうか。バスの車内では学習塾の宣伝が流れる。「東大医学部、早慶は〇〇塾、筑波と千葉も〇〇塾」とやや興味深いリストであり、この中に茨城大学は入っていない。
 
 バスでしばらく走っても商店街やオフィスビルが続き、ふつうの地方都市よりも大きいことがわかる。私個人の感想を言えば、名古屋を少し地味にした感じかもしれない。 

 20分ほどで偕楽園に到着。入口近くから梅の木があり、のどかな風景が広がる。
 

 こちらが案内図。線路の下側にある梅エリアは入場料300円、線路の上側は無料。


 兼六園と同様、偕楽園も県庁が運営しているため、良心的な入場料となっている。ちなみに偕楽園は「民と偕(とも)に楽しむ」という趣旨で、水戸藩第九代藩主の徳川斉昭(なりあき)が自ら構想、1842年に開園した。

 まずは線路の下側のエリアを散策。
 

学問に親しむと梅が咲く
 
 構内には「好文亭」という家屋がある。入場料は別途200円。


 徳川斉昭が文人墨客、家臣、領内の人々を集めて詩歌や慰安の会を催した。「好文」とは梅の異名で、晋の武帝の「学問に親しめば梅が咲き、学問を廃すれば咲かなかった」という故事にもとづいて斉昭が名づけた。
 
 自然豊かな茨城県らしく、「梅の間」「桜の間」「萩の間」など各部屋は植物にちなんだ名前がつけられ、それに対応した襖絵がある。


 高台にある上階の部屋からは周囲の風景を楽しめる。


自然とのユルユルな関係が魅力
 
 全体的に思ったのだが、偕楽園ではひとつひとつの木の剪定方法に、京都の寺や伊勢神宮のように考え抜かれた意匠は感じられない。まんまるの松、どちらか片方に偏った枝ぶりなど。


 そこに私が感じたメッセージは「自然とは制圧する対象ではなく、のびのびと存在するものだ」。

 うちの庭にも梅の木があるが、3月の花が咲く頃からGWまでに50~60センチほどの小枝がにょきにょきと生えてきて、放っておくと手に負えない大木になってしまう。自分でも手入れ可能な状態に保つためには、かなりの思い切った剪定が必要になる。

 さすがに3,000本もの梅の木があれば、とにかくこの繁殖力の旺盛な植物が、自らの首を絞めないように剪定するのが精いっぱいで、ひとつひとつの木の形にまでこだわっていたら大変なことになる、ということかもしれない。

 そして結果的には、いい意味でのアバウトさが偕楽園には感じられる。常磐線の車内でどこからともなく聞こえてきた口笛ともつながり、まったりと川面でたそがれている鳥にも通じるものがある。


余裕があれば無料の公園もお勧め
 
 線路の上側の無料エリアはこんな感じ。線路の下側よりも大きな木がある。


 まだ小さい木もたくさん花を咲かせている。


常磐線と中央線の微妙で大きな違い
 
 帰りの特急列車は水戸を出ると停車駅は上野だけで、東京まで1時間15分。行きよりも結構混んでいて「コロナ対策のため会話はお控えください」というアナウンスにもかかわらず、車内に丸聞こえで会社の噂話をしている中高年男性2人組がいる。

 その一方で東京始発の通勤快速では、東京・新宿間では女子高生がおしゃべりをしていたものの、新宿を過ぎると満員にもかかわらず、というかだからこそ、車内はしんとしている。
 
 吉祥寺を出てから急病人が出て、本来は止まらない武蔵境で停車して救護。その影響で10分以上の遅れが出たため、通勤快速がただの快速になってしまい、国分寺から先は各駅に停車して後続の電車にも大幅な遅れが出た。
 
 この一連の出来事にもかかわらず、乗客は全員まるで何事もなかったのように何も言わない。もし常磐線の特急で同じことが起きていたら、あのうるさい中高年男性が黙っているとは思えない。

 同じ関東でも、微妙に大きな違いがあるものだ。