運転免許証更新のお知らせのハガキが届く。学生時代に通学のため原付免許を取って以来、この手続きを何度しただろうか。
東京都の更新場所は運転免許試験場(府中・鮫洲・江東)、更新センター(神田・新宿)のほかゴールド免許保持者(過去5年間無違反)には各地の指定警察署がある。
免許証の顔写真はパスポートとは違い、現地で職員が撮影する。5年前よりどれだけ年取ったかが一目瞭然であり、あまりうれしくない瞬間だ。
20代の頃に見た理想の夫婦
しかしながら、この「五周年記念」を毎回楽しみにしている人もいる。
20代の頃、帰りの電車を待つ地下鉄の駅にいた中年夫婦を思い出す。この2人は誕生日が近いらしく、いつも2人揃って更新に行くという内容の会話が聞こえてきた。
「こうして一緒に年を取って、5年ごとにお互いの写真を見るのは幸せだね」
うわあ。。テレビのCMですか。。? こんなに仲のよさそうな夫婦は見たことがない。2人とも品がありルックスもいい。母から父に関する愚痴を聞かされて育った私としては、こんな理想的なカップルになってみたいものだと思った。
だがそういうこともなく、今回も一人で更新場所に行く。冷静に考えれば独身のよさもある。最大のメリットは時間とお金を完全に自由に使えることだ。突如として秋田犬に会いたくなり、直前の高いチケットを買って弾丸旅行を一人で決行するなど、家庭を持っていたら難しいだろう。
写真撮影の現場
話はそれたが、更新会場の立川警察で写真撮影に臨むと、担当者から何度も「前髪が目にかからないようにしてください」と言われる。どのくらい髪を動かせばいいのか、彼女の納得する判断基準がわからず、このやり取りに時間がかかる。
この隙に「ちょっと口紅をしていいですか? 最初からやってるとマスクについちゃうんで」とか「やっぱりマフラーしていいですか?」とかワガママなお願いをしても怒られない。
撮影終了と同時に「マスクをしてください」と言われる。「大勢の人と話して感染が心配じゃないですか?」と聞くと、「いろんな人と会えて面白いですよ」と。。そうか、面白いと思ってくれてよかったと一安心(笑)。
安全講習でツッコミを入れる
つぎは安全講習だが、コロナ対応で人数制限をしているためか、外のテントで吹きさらしの中を待たされる。いい陽気でよかったが、木枯らしが吹き荒れて雨でも降っていたら苦痛だろう。
更新のハガキにはこう書かれていた。「講習の定員を減らして実施しているため、更新会場は大変混雑しています。受付時間内であっても、1日の定員に達した場合は受付をお断りする場合があります」
なので受付してもらえただけラッキーと考えるべきだろう。
15分ほど待ち、講習の会場に案内される。透明シートで各座席が区切られ、ビデオで30分の講義を聞く。飲酒運転の危険性を説明する場面で「ビール缶を飲むと。。」とナレーションが流れる。新聞記者の職業病で「ここは『缶ビールを飲むと。。』だろう、ビール缶は飲まないんじゃないか?」と頭の中でツッコミを入れる。
昨年の東京都での交通事故による死亡者数のうち、自動車運転者は14人でわずか9%に過ぎない。14人のうち6人はシートベルトを着用していなかった。歩行者が43.2%と最も多い。運転者としてはバスの停車中や右折の際に、死角から歩行者や自転車・バイクが来ないかを常に予測して運転することが重要。
新聞記者のクセで気になる点は必ずメモを取る。禁酒3年以上でアルコールの影響を受けていないこともあり、50代半ばでも記憶力は抜群。翌日でも講習の内容は教本のページを含めて明確に詳細を覚えている。
加齢より重要なポイント
出来上がった免許証の写真はさすがに5年前より年取ってはいるが、そんなに悪くもない。この年になったら、シワやたるみを気にしても仕方ない。坂東玉三郎ですら加齢を感じさせる。むしろ聡明なオーラがあるかどうかが、私にとって最も重要なポイントである。
全行程が1時間程度で終了。会場の近くにある昭和記念公園の周辺を散歩する。きれいに木々が色づいて見事だった。