外資系組織や国際業務を行う企業では高い英語力が求められ、最も一般的に使われている英語力の指標がTOEICです。例えば、パナソニックの国際部門ではTOEIC900点以上を求めており、楽天では入社前までに800点を取ることが条件です。
最低条件のTOEICスコアを明記してある求人広告も多くあります。例えば、米国大使館では「経済部アシスタント TOEIC850以上」といった求人がありました。選考の客観性・公平性を保つため、最低スコアは必ずクリアしている必要があります。
留学の際に最低条件のTOEFLやIELTSのスコアがあるように、TOEICは就職・転職・昇進の足切りとして使われています。大学入学共通テスト、センター入試、共通一次といった役割と同じです。TOEICの必要スコアや高得点を持っている=望んでいる職を得られる、というわけではありませんが、とにかくクリアしないと話になりません。
そして「ワタシは1985年の共通一次で900点を取った」と言っても、それはすごかったんだね、としか言われないように、TOEICにも賞味期限があります。主催団体のETSでは公式認定証の再発行を試験日から2年以内としていますが、これがすなわちTOEICスコアの有効期限が2年というわけではありません。米国大使館の求人では5年以内ですし、各企業によって有効期限を定めていると思います。また英語講師のような職業では、TOEICの毎月受験を課している予備校もあります。
一般的には必要とされるTOEICのスコアや要件を満たしていればよいのですが、では満点を取る意味とは何でしょうか。
なんだかんだ言って「TOEIC満点」というインパクトはあります。一般の人はTOEICという言葉は知っていても、まじめに勉強していなければ、2016年に新形式になっただとか、どんな出題や傾向があるかは詳しく知りません。なので「TOEIC980」と言ってもよくわからないかも知れませんが、「TOEIC満点」と言えば、テレビのワイドショーやYouTubeの視聴者といった不特定多数の人々にも「すごい」という印象を与えることができます。
そして実際にすごいんだと思います。これまでのTOEICの典型的な出題テーマは工事現場、リノベ、運送、クリニックの受付、レストラン、洋服の売り場など肉体労働や秘書系の仕事が目立ちましたが、最近では建築家の学会、新発想の起業家なども登場しています。
2021年2月28日に行われた第263回TOEICでは、こんな記事がありました。現在の規制では原産地は一つの国しか表示されていない。例えば「メイド・イン・ジャパン」など。これはいくつもの部品や材料を日本で組み立てた、という意味に過ぎない。それらの部品や材料は(中国、ベトナム、カンボジアなど)日本以外の国々でも製造されている。起業家Aは自社製品にこれらの国々を全てリストアップする方針を導入した。これによって消費者が商品の製造過程を正しく理解し、こうした国々の労働者に感謝できる。
かつてのTOEICにはない新傾向で面白い記事だと思いました。つまり公式問題集や過去問でコンスタントに満点を取れたとしても、新しい傾向の出題にも対応している必要があります。そうしたトピックが載っていそうな記事を読んでおくことは有効であり、ニュービジネスに関する本や雑誌に目を通すことになります。
またコロナで自粛生活が続き、ニュースもコロナ関連ばかりで一年以上が経ち、こうした毎日に飽き飽きしている人も多いと思います。そんな中でTOEIC目標スコアや満点を目指して勉強していると、とりあえずかなり集中しなければなりません。結果として、いい気分転換にもなるでしょう。