2021年3月18日木曜日

TOEIC満点のメリットと価値

 2月のTOEIC本試験で満点を取りました。意外と早く目標を達成できて、ほっとしています。

 そして早くも満点のメリットを実感しました。職業系SNSのLinkedInを通じて仕事のお誘いがあり、自分の投稿に通常の20倍以上のページビューがあり驚きました。これまで特につながりのなかった世界的な大企業からのアクセスも多く、「TOEIC満点」というブランドの有効性を認識しました。

 個人的な達成感だけではなく、実益や今後の可能性も感じられ、満点を取る意味は十分にあったと思います。

 TOEICスコアは偏差値のため、ハイスコア=希少性を意味します。では満点を取る人はどのくらいの割合で存在するのでしょうか。

 主催者は895点以上の割合までしか公表していませんが、例えば1月午後の試験では895点以上を取った受験者は上位4.3%でした。TOEICは5点きざみで990点が満点のため、この範囲には895、900、905...990と20のスコアがあります。ざっくりとした計算ですが、4.3%を20で割ると各スコアの割合は0.2%、つまり990点は上位0.2%となります。ほかの資格試験の合格率と比較しても、TOEIC満点はかなりの希少性があると言えます。 

 コロナ感染予防のため、現在もTOEIC受験は抽選制です。1回の試験への応募期間は5日しかなく、主催者の発表を注意深くフォローしている必要があります。また緊急事態宣言のもと感染リスクを覚悟で、わざわざ日曜にTOEICを受けに行く受験者はかなり真剣な英語学習者と言えるでしょう。こうしたグループでの上位0.2%は、自分で言うのもなんですが、相当なツワモノであることは間違いありません。

 このようなロジックも駆使しつつ、今後の仕事に関する交渉を有利に進めて行きたいと思います。

2021年3月13日土曜日

TOEICが暴き出す中学英語のウソ

  今日はETSのTOEIC公式問題集③にある2つ目の模試をやりました。Listening Part 1のしょっぱなで、いきなりつまづきました。

 写真を見て正しい描写を選ぶ問題です。


A) She's wearing a hat.
B) She's folding up a table.
C) She's hanging some artwork.
D) She's combing her hair.

 は? hatはつばの広い帽子で、写真にあるような帽子はcapと、別の言い方をすると中学1年で習いました。教科書には"This is a hat. This is a cap."と絵つきの説明文までありました。鶴の恩返しとも思えないので、D)は不正解。B)、C)も違う。えっ、正解はないんじゃ。。?

 それが正解はA)でした。英英辞書を引いてみるとhatは帽子全般を指し、capも含まれるそうです。イギリス人の英語の先生いわく「60代以上はcapでもhatと言い、エリザベス女王ならhatと言うだろう。これに対して、もっと若い世代はcapと言う」とのことです。

 私は仕事でアメリカ人の訪日サポートをした際に、御礼やお土産として、お客さんが所属する組織や好きな野球チームのcapを頂くことがありました。その際には常に"cap"と言われ、hatと言うのを聞いたことはありません。

 この公式問題集が日本で発売されていることを考えると、日本の不正確な英語教育に洗脳された学習者への意図的な引っかけ問題ではないかと思ってしまいますね。いきなり最初の質問で動揺させ、冷静沈着さを試す試験という意味合いでしょうか。
 
 問題のややこしさ、難しさで言えば、TOEICは必ずしも「やさしい→難しい」順番に質問が並んでいるわけではありません。長文読解の最初のほうの設問で、かなり考えないと解けない問題があることもあります。ここで立ち止まって時間をかけすぎず、一瞬で解けない問題はさっさと後回しにして、最後に戻って見直したほうが、意外とすんなり解けることもよくあります。

2021年3月12日金曜日

TOEIC 結構ややこしい"accomodation(s)"の語法をマスターする

 "accommodation"と言えばホテルや旅館の部屋といった泊まる場所を意味します。基本単語ではありますが、用法が意外と複雑です。

 イギリス英語では不可算名詞でaccomodation、アメリカ英語では複数形のaccomodationsで表記され、ともに集合名詞的に泊まる場所を指します。

 TOEIC過去問のPart 2(質問または発言に対する、正しい反応を選ぶ問題)にこんな出題がありました。

I'd like to book accommodations for a family of five.

A) They were very accommodating.

B) I enjoyed that book as well.

C) I have a vacancy on the fourth floor.

 最初の発言"I'd like to book accommodations for a family of five."についてイギリス人の先生に聞いたところ、この文はおかしいそうです。accommodationは不可算名詞なので単数形にするのが正しく、そこをあえてaccommodationsと複数形にするということは、各人1部屋とか、5人家族で3部屋取るとか、そんなイメージだそうです。

 マスコミで話題になっている元オリンピック選手の不倫疑惑に当てはめて考えてみましょう。彼女いわく、同じ横浜のホテルで友人の男性と別々の部屋を取ったそうなので、予約時の状況をイギリスの感覚で別部屋を強調すれば"I'd like to book accommodations for two of us."となるでしょう。

 しかしアメリカ英語では状況が異なります。アメリカ人の先生いわく、accommodationは常にaccommodationsと複数形を使うが、これがイコール「いくつもの部屋」という意味ではなく、「泊まることができる十分なスペース」といった意味合いだそうです。結果として2人であればダブルベッドもしくはツインベッドの1部屋である可能性は高く、5人家族なら2寝室+補助ベッドのあるスイートルームかもしれませんし、2部屋+1補助ベッドかもしれません。

 この設問の正解はC)" I have a vacancy on the fourth floor."ですが、a vacancyがすなわち1部屋という意味ではなく、泊まるに十分な空室といった意味合いだそうです。アメリカ人の先生いわく、もっと言えばa roomと言ったとしても、2つ以上の部屋である可能性もある、と。。

 回答者はホテルの予約係と思われますが、なぜ主語が"I"で"we"ではないのか、という点も私には疑問でした。

 イギリス人の感覚では、「個人経営の宿泊施設(で回答者がオーナー)という感じがする。あるいは雇われているスタッフでも当事者意識があって"I"と言っているのかもしれない」とのことです。

 アメリカ人の説明はこうです。「weのほうが普通ではあるが、予約係が自分のPCを見ていて空室情報が出てきたので、"I"と言ってもおかしくない。レストランで実際に飲み物を運んでくるのはウエイトレスなので、彼女が"I can bring you a soda."と言う感覚と似ている」

 私の米系組織での経験で言えば、所属先に関して"I"と言うことはなく、常に主語はweでした。しかし"We believe that XXX"とか言われて、「weって誰だよ。少なくとも私じゃないんだけど」と思うことは時折ありましたが。。

2021年3月9日火曜日

書評 マイケル・クライトン著 "Prey"(ネタばれ注意)

 著者の好きな人物設定のパターンがわかってきた。主人公は正義感の強いホワイトカラーの白人男性。不正を働く美人の企業重役と対峙し、いくつもの困難を切り抜けて最終的に勝利する。

 "Disclosure"では、女性上司にセクハラを受けた男性社員の戦いとして描かれる。

 "Prey"の主人公は、勤務先の不正を摘発したことでクビになった専業主夫。気が強い企業重役の妻がいて、失業して半年後に契約社員として妻の会社で働くことになる。彼女のグループは、ナノテクで作った自走式の微小カメラを体内に入れることで、各臓器や血管の内側までリアルタイムで検査できる装置を開発する。

 これ自体は画期的な技術だが、妻はこれを危険なプロジェクトへと発展させていた。人里離れたネバダ州の砂漠にある研究所で、微小カメラと大腸菌と合体させてウイルスのような生命体を作る。この生命体が研究所から抜け出し、恐るべき速度で進化をしながら人間を攻撃する。このため同僚2人が死亡し、主人公も生命体に2度も襲われるが、九死に一生を得る。

 その一方で、妻とその一味だけはこの生命体への免疫を持てるよう、装置全体をプログラミングしていた。主人公は中国人女性の科学者である同僚と協力して、この免疫を破壊する代わりに人類全体を救う方法を編み出して実行に移し、最終的に妻と一味は死に絶える。

 2002年に出版された小説だが、今読んでみると、どことなく新型コロナウイルスを想像させる。最初の部分は専業主夫のリアルな生活や子育ての苦労も語られて興味深い。だが後半は映画化を意識したためか、アクションシーンの連続で、文字情報として読み進めるのはかなり退屈だった。

 せっかく原書で読んだので、英語の勉強を少々。。

obsequious: (formal, disapproving) trying too hard to please sb, especially sb who is important

Ex) Ricky was obsequious to management, trying to please them like a child pleasing a parent. He did it charmingly; that was how he had moved head in life. That was also his greatest weakness.

2021年3月6日土曜日

TOEIC イギリス英語 VS. アメリカ英語の最新事情

  前回、台所にあるミキサーは和製英語で、英語ではblenderと言うという話をしました。

 しかし、よく調べてみると本当にblenderでいいのか、という疑問も出てきました。ジーニアス英和大辞典では「<主に米>ミキサー(<主に英>liquidizer)」とあります。イギリス英語ではliquidizerなのか、30代のイギリス人女性に聞いてみました。

 "Ah....now we also say "blender," not liquidizer."だそうです。

 そのほか英米で異なる日常表現はどうでしょうか。「休暇」はTOEIC頻出テーマで過去問にvacation(米)、holiday(英)の両方が出てきますが、複数のイギリス人はきっぱりとイギリス英語ではholidayだと断言しました。にもかかわらず、イギリス人ナレーターが"vacation"と言う場面も出てきます。このあたりに米国組織であるTOEIC主催団体・ETSのマウンティングも入っているんでしょうか?

 "coworker"を辞書で引くと英米の区別は出ていませんでしたが、大学教授のイギリス人と話していて"coworker"と言って「何それ?」と嘲笑されたことがあります。イギリスでは常にcolleagueを使うのが無難だと思いましたが、TOEICではcoworker、colleagueとも出てきます。ちなみにcoworkerと言えば同じ職場の同僚を指し、colleageには別の職場や組織に所属する仕事仲間も含まれます。

 携帯電話やスマホもよくTOEICに出てきます。イギリスで"cell phone"と言って通じなかったことがあり、TOEICでもmobile phoneしか聞いたことがありません。ただ、上記イギリス人女性によれば、最近ではphoneとしか言わず、すなわちスマホを指す。あえて固定電話と言いたい時は、house phoneや landline phoneだそうです。ちなみにアプリはappと短い単語なので、聞き逃さないよう注意が必要です。

 Listeningに登場するナレーターは、イギリス人2人、オーストラリア人2人、北米2人(アメリカ人とカナダ人が1人ずつ)というラインナップです。アメリカ英語に慣れている人には、ややきつい構成です。

 オーストラリア人ナレーターの発音は、オーストラリアの公共放送ABCのアナウンサーに近い感じがするので、私は家でABCをかけっぱなしにしてListeningの練習をしています。

 少しやっかいなのがイギリス人ナレーターです。イギリス人の英語の先生に各ナレーターの音声を聞いてもらったところ、1人は南部、もう1人も南部だがロンドンに近い地域のアクセントだそうです。私は模試を32回分やって慣れてきて、ここに紹介した音声ははっきりと聞き取れます。ただ大学教授やBBC、映画やドラマの俳優が話す発音とは違う感じがします。やはりETS公式問題集や過去問で慣れる必要があり、このあたりにもETSの商魂を感じます。

 ナレーターは上記のラインナップですが、朗読文に出てくる人物の国籍は多様で、どの国の人なのか、あるいは人名や社名なのかも一瞬聞いただけではわからないこともあります。

 Readingは世界中の国々の記事、ウエブサイト、メール、メモ、注文書などが出てきて、舞台となる国によってスペリングも異なります。

2021年3月4日木曜日

偏差値秀才の知らないTOEIC必須単語

 あらゆる試験は傾向と対策が重要で、英語では必須単語を覚えておかねばなりません。

 TOEICの「出る単」とは何でしょうか? 大学受験や英検とは明らかに傾向が異なります。tyranny, autocratic, laissez-faireといった政治系の語彙は出てきません。よくあるジャンルは工事現場、リノベ、インテリアなどです。

 例えば、blenderって何かご存じですか? 先日の本試験に登場し、前後関係から正解はできたものの、カギとなる単語だったため覚えておくべきだろうと思いました。答えは「ミキサー」です。

 えっ。。ミキサーはmixerじゃないんだ。じゃあmixerは何なのか? 音楽で使うミキサー(なるほど)、キッチン用品としては卵白をチャッチャッチャとやる時に使うような撹拌機だそうです。ちなみにジューサー、トースター、コーヒーメーカーは英語でもjuicer, toaster, coffee makerです。

 それにしてもミキサーがblenderとはやられました。microwaveくらいなら知っているし、実際に米国でハウスシェアをしていたとき、共有のキッチンにありました。しかしミキサーとなると、2年程度の大学院留学中に電圧が違う電気製品なのにわざわざ買う人は多くはないでしょう。勉強が忙しくて、ジュースやスムージーを手作りするルームメイトもいないかもしれません。結果として、意外と盲点となっている単語でした。 

 ところで「ネコ」と言って何を想像しますか? ペットではなく、工事現場で使う手押し車だそうです。これをwheelbarrowと言い、過去問に登場しています。私は日本語のほうも知りませんでした。ブルーシートはtarp、工事現場の足場はscaffolding、熊手はrakeです。

 TOEIC頻出単語集は出版されていて、上級者向けの本も出ていますが、こうした「意外と知らないが、たまに出てきて勝敗を分ける」単語は載っていません。市販本に載っているのは「国内教育+大人の海外経験」タイプの偏差値秀才にとっては「なんだ、こんなのとっくの昔に知ってるよ」という単語ばかりです。

 なので今度、家の中やリノベ、ホームセンターで目にするものを片っ端から英訳してみようかと思います。

2021年3月3日水曜日

TOEIC模試レビュー(2)

  今日は韓国で発行されているListening過去問Vol.2の8つ目の試験と、先ほど紹介したジャパンタイムズ刊のReading模試の3つ目を組み合わせて、1つの試験のように2時間連続でやりました。合計で記念すべき(?)30回目の模試です。

 Listeningは全問正解! しかし白状すると、自信のない回答が2つありました。このような時に、少しでも正答率を上げるための方法を編み出したので、それを伝授します。

 上級者となれば、全体の会話や朗読がまるっきり聞き取れない、ということはないと思います。全体としてどのような状況かは把握しているが、細かいところを聞き逃した、という場合がほとんどです。なので全体の流れからして、これはないだろうという選択肢をまず除外し、「これかな。。?」と思える選択肢をとりあえずマークします。

 そして自信のない選択肢の番号にうっすらと鉛筆で丸をしておきます。問題用紙に書き込むのは禁止されていますが、解答用紙にちょこっと書くことは大丈夫です。そして考えすぎて立ち止まらず、すぐに気を取り直して次の質問に向かいます。Listeningセクションの100問が全て終わった時点で、Readingに移行する前に、うっすら丸をつけておいた個所を眺めます。

 マークシートは10問1列で10列分が並んでいます。上級者であれば9割以上は確信を持って正解をマークしているので、結果として同じアルファベットばかりがマークされている、ということはなく適度にばらけています。そこで確率として「この列にはもう選択肢Aは4つあるから、自信のない選択肢はAではないだろう」などと推測します。全体としてばらける結果となるものにマークし、最後に番号につけた丸印を消しゴムで消します。

 Readngも同じように、自信のない質問はそこで考えこまず、とりあえずマークなり空欄にして番号に印をつけておき、最後の5~10分で振り返ります。

 今日はこのほか、小説の参考にするためMicheal CrichtonのPreyを読み進めました。TOEICに出るかはわかりませんが、新しい表現が出てきたのでメモしておきます。

go belly up: go bankrupt

Ex) "Right," Ricky said. "Frankly, this whole company could go belly up before Christmas."

 せっかくなので記憶を定着させるため、自分でも例文を作ってみます。

Sadly, many restaurants have gone belly up due to the pandemic.

2021年3月2日火曜日

TOEIC模試レビュー(1)

  TOEIC模試はこれまで29回分やりました。ETS公式問題集と過去問は尽きてきたので、現在は別会社が作った問題集をやっています。

 ジャパンタイムズ刊の「TOEIC L&Rテスト精選模試リーディング3」という本の2つめの模試をやったところ、「う~~ん?」という設問がありました。

 ---- this week, Carson City will begin a massive project to resurface public roads in November. 

A) Announce B) Announced C) Announcing D) Announcement

 分詞構文なのでカンマの前後で同じ主語、すなわち正解はC)だろうと思いました。しかし、この本では以下のような解釈です。「独立分詞構文で"As it was announced this week" の下線部が省略されている(it = a massive project)。独立分詞構文では主語は省略しないが、例外として慣用的な言い方の場合は省略できる」

 本当ですか。。? これは疑問に思いました。Announcedって慣用表現じゃないでしょう。独立分詞構文の主語を省略できる慣用句の代表例は、Generally speaking、あるいはGiven that...もそう解釈できるかもしれません。

 そこで先ほどオンライン英会話の先生に、まずはどれが正解と思うか聞いてみました。トーストマスターズのスピーチ大会優勝常連者で、英語教師としての経験が長く教養のある方です。「D)もしくは新聞のヘッドラインではAnnouncedもありかもしれないが、どの選択肢もしっくりこない」とのこと。

 結論としては、いい質問ではありません。本試験ではこのような質問が出ないことを望みます。特にETS公式の刊行物でない問題集の場合、あれっと思ったら信頼できる先生に確認することをお勧めします。

「TOEIC赤本」が韓国だけで発行されている驚くべき理由

 「国内教育+大人の海外体験」の方々は偏差値秀才が多いと思います。勤勉なサラリーマン家庭で育ち、国立・早慶レベルの大学に進学。有名企業や官庁に就職して、勤務先の選考や奨学金にパスして大学院留学、海外駐在という感じです。

 このタイプの方が試験対策と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、赤本でしょう。まずは過去問でどんな試験なのかを理解し、自分の弱点を知って対策を立てる。全てはそこから始まります。

 TOEICでも同じこと。しかし「赤本」が韓国だけで発行され、日本には「問題集」しかない、ということをご存じでしょうか? 

 TOEIC主催者のETSは、日本では「公式問題集」しか発行していません。本試験に近い内容で同じナレーターを使っていますが、模試2つで定価3300円。その一方でETSが韓国で発行している過去問はListeningとReading各10回分がそれぞれ3200円。

 つまり日本では公式模試1回分が1650円であるのに対して、韓国では本物の過去問が1回640円で売られている、というわけです。TOEIC学習者の界隈では知られた事実で、アマゾンジャパンでは韓国発売の過去問も手に入りはします。ただ解説が全て韓国語なので、不正解の理由を自分で理解できる上級者が模試の数をこなす、といった使い方になります。

 この不公平さはどうやって生まれたのでしょうか? 

 TOEIC満点を100回近く取っている英語講師、「もりてつ」こと森田鉄也さんによれば、こうです。韓国の秀才たちも、まずは過去問を理解するのが重要という認識を持っています。そこで彼らは数人でグループを組んで同じ本試験を受け、各パートを丸暗記してシェアする、ということを始めた。これがどんどん広がったのでETSの公式模試が売れなくなり、ETSは仕方なく過去問を韓国だけで発行することにした、ということらしいです。

 ちなみにETSはなぜ過去問を出し惜しみしているかと言えば、本試験で過去問を使い回ししているから、だそうです。企業の団体主催ではまったく同じ過去問、もしくはいくつかの過去問の組み合わせらしいです。なので韓国発売の過去問は本試験に登場する、ということはないでしょう。

 日本でもTOEICer(「トーイッカー」と読む、TOEIC講師やTOEICマニアのこと)たちは、本試験の直後に講評や反省会の動画をYouTubeにアップしています。ただ日本のTOEICerたちは独立心が強いのか、個人でやっている人が多く、韓国のように徒党を組んでしらみつぶしに覚える、ということはしていません。

 一人の記憶力には限界があり、「今回は普通」「やや難」と言われても、あくまで主観に過ぎず、さほど参考にはなりません。試験を受けた者同士が、あーだったよね、こうだったよね、あれはこうでいいんだよね、〇〇っていう問題はどうした、みたいなマウンティングもしくは傷をなめ合う場にしかなってない印象です。ただ、同じTOEIC本試験を受けた個人的な友達なんてふつうはいませんので、それでも一定の意味はあるかとは思いますが。。

 それで思ったのは、良くも悪くも韓国の受験者は覚悟が違います。それによって韓国では過去問発売に至り、のんびりしている日本の受験者も恩恵を被っているので、結果としてはありがたいです。日本で「赤本」が発売されたら、もっとぼったくられる気もしますしね。

2021年3月1日月曜日

TOEICの勉強をする意味

  外資系組織や国際業務を行う企業では高い英語力が求められ、最も一般的に使われている英語力の指標がTOEICです。例えば、パナソニックの国際部門ではTOEIC900点以上を求めており、楽天では入社前までに800点を取ることが条件です。

 最低条件のTOEICスコアを明記してある求人広告も多くあります。例えば、米国大使館では「経済部アシスタント TOEIC850以上」といった求人がありました。選考の客観性・公平性を保つため、最低スコアは必ずクリアしている必要があります。

 留学の際に最低条件のTOEFLやIELTSのスコアがあるように、TOEICは就職・転職・昇進の足切りとして使われています。大学入学共通テスト、センター入試、共通一次といった役割と同じです。TOEICの必要スコアや高得点を持っている=望んでいる職を得られる、というわけではありませんが、とにかくクリアしないと話になりません。

 そして「ワタシは1985年の共通一次で900点を取った」と言っても、それはすごかったんだね、としか言われないように、TOEICにも賞味期限があります。主催団体のETSでは公式認定証の再発行を試験日から2年以内としていますが、これがすなわちTOEICスコアの有効期限が2年というわけではありません。米国大使館の求人では5年以内ですし、各企業によって有効期限を定めていると思います。また英語講師のような職業では、TOEICの毎月受験を課している予備校もあります。

 一般的には必要とされるTOEICのスコアや要件を満たしていればよいのですが、では満点を取る意味とは何でしょうか。

 なんだかんだ言って「TOEIC満点」というインパクトはあります。一般の人はTOEICという言葉は知っていても、まじめに勉強していなければ、2016年に新形式になっただとか、どんな出題や傾向があるかは詳しく知りません。なので「TOEIC980」と言ってもよくわからないかも知れませんが、「TOEIC満点」と言えば、テレビのワイドショーやYouTubeの視聴者といった不特定多数の人々にも「すごい」という印象を与えることができます。

 そして実際にすごいんだと思います。これまでのTOEICの典型的な出題テーマは工事現場、リノベ、運送、クリニックの受付、レストラン、洋服の売り場など肉体労働や秘書系の仕事が目立ちましたが、最近では建築家の学会、新発想の起業家なども登場しています。

 2021年2月28日に行われた第263回TOEICでは、こんな記事がありました。現在の規制では原産地は一つの国しか表示されていない。例えば「メイド・イン・ジャパン」など。これはいくつもの部品や材料を日本で組み立てた、という意味に過ぎない。それらの部品や材料は(中国、ベトナム、カンボジアなど)日本以外の国々でも製造されている。起業家Aは自社製品にこれらの国々を全てリストアップする方針を導入した。これによって消費者が商品の製造過程を正しく理解し、こうした国々の労働者に感謝できる。

 かつてのTOEICにはない新傾向で面白い記事だと思いました。つまり公式問題集や過去問でコンスタントに満点を取れたとしても、新しい傾向の出題にも対応している必要があります。そうしたトピックが載っていそうな記事を読んでおくことは有効であり、ニュービジネスに関する本や雑誌に目を通すことになります。

 またコロナで自粛生活が続き、ニュースもコロナ関連ばかりで一年以上が経ち、こうした毎日に飽き飽きしている人も多いと思います。そんな中でTOEIC目標スコアや満点を目指して勉強していると、とりあえずかなり集中しなければなりません。結果として、いい気分転換にもなるでしょう。