知名度があり安定した勤務先、暮らしに困らない収入、親切な友達、まずまずの健康状態があっても幸せを実感できない。時には絶望的になるほど不幸を感じる。
どうしてなのだろうと、つらつら考えながら動画サイトを検索していて面白いレクチャーを発見した。慶応大学の前野隆司教授による「幸せの条件」の分析が興味深い。
前野氏が数多くの論文を分析したところ、幸せをもたらす条件には「地位財」(所得、社会的地位、物的財)と「非地位財」(良質な環境、健康、内的状態)がある。
地位財による幸福の持続性は低い。新しい家を買っても、それ以前と比べて幸福度が高く持続するかと言えばそうではない。収入、地位が上がればその度に幸福度はアップするが、すぐに覚めてしまう。このため、永遠に上がり続けない限り幸福は持続しない。地位財にこだわると、どう転んでも幸せであり続けることはできない。地位財を手に入れてもすぐに幸福感は消えてしまうし、手に入らなければ入手している他人を羨み不幸になる。
非地位財の内的状態には4つの因子がある。これらを全て手にしていると、かなり幸福度が高い。
1)自己実現と成長
人生の意義、能力、熟達、自尊心、自立性、社会の要請、将来への希望、満喫。自分が思う人生の意義に、現在の人生や仕事の方向性が合致していないと、かなり不幸になる。
2)つながりと感謝
愛情、ユーモア。ムラ社会のような濃い関係ではなく、広く浅くつながっている多様性のある人間関係。友達の数よりも多様性が重要。アメリカではフェイスブック利用と不幸に相関関係があり、日本では幸福とわずかな相関関係がある。同居家族の数よりも、年賀状のやり取りしか交流のない親戚の数のほうが、幸せとの相関関係がある。
感謝されるよりも、感謝することのほうが幸せを感じる。
3)前向きと楽観
楽観性、自己受容、心配事がない、気持ちの切り替えが得意。
4)独立とマイペース
人の目なんか気にしない。自己を確立し、他者と比較しない性質。