2020年4月11日土曜日

シリーズ このYouTuberが熱い(2) アバタロー

 アバタローは某外資系企業の管理職をしながら、書評の動画を上げているYouTuberだ。プロのDJかナレーターのような声と語りで、ジョン・カビラを彷彿とさせる。

 取り上げる本はマルクスの「資本論」といった古典から、コロナ対策書「免疫力を上げる45の方法」などの実用書まで幅広い。新聞や雑誌の書評とは違い、論評だけでなく自らの体験を交えつつ、具体的な例をあげてポイントを解説してくれる。結果としてものすごくわかりやすい。

 軽いピアノのBGMを動画の前後に入れる程度で、語っている最中も静かに音楽は流れているが気になるほどではない。しかもポイント、ポイントで内容に合わせた写真を挿入し、キャプションも嫌味にならない程度に効果的に入れている。
 
 一方で多くの動画や民放のバラエティー番組では、登場人物が語るセリフを一言一句、全て書き出す。私は個人的にちょっとバカにされているような気がして、そこまでやられるのは好きではない。 アバタロー氏の動画はそのようなしつこさもなく、彼の頭のよさ、ターゲットとする視聴者をやや上に設定している意図を感じられる。

 個人的に気に入ったのは、今年に日本で翻訳書が発売されて話題になっているという、韓国のイラストレーター・作家の書いた本 「あやうく一生懸命生きるところだった」である。学歴、仕事、出世、マイホーム、さらにはSNSで他人と人生充実度を競い合うといった、永遠に続く競争社会に疲れ果てた筆者が、全てを捨ててダラダラとした生活を送りはじめる。そこから見えてくる社会的な洗脳のカラクリ、自分を解き放つプロセスが興味深い。

 こうした質の高い動画を見るに、アバタロー氏もおそらく自由な生き方なり次なる一歩を見据えて、YouTuber活動を始めたのではないかと想像する。