大組織の総合職は定期的に人事異動がある。せっかく仕事や必要な知識を覚えたのに、また一からやり直しになり常に勉強が必要とされる。
一つの専門性を極めた人がずっと担当していたほうが、効率がよいかもしれない。実際、高度な専門分野では、大きな組織でも同じ人物がずっと同じ管理職を務めているケースがある。理系の博士号が必要とされ、一つ間違えると取り返しのつかない難しい仕事の場合、2~3年ごとの異動による生半可な知識で担当するわけにはいかない。
そうなると何十年も同じ人が、いわば小さな王国の王様として君臨する。そして王国が自分の世界の全てとなり、縄張りを守ろうとする意識が強く働く。
さらには、どう考えても王様がおかしいことをやっても、誰も直言できなくなる。往々にして一つの高度な専門性を究めた人は、その他の分野に疎く、驚くほど無知でとんでもないことをすることもある。それほど深刻な事態になる前に、周囲の人が言ってあげれば本人が気づいたかもしれないのに、「王様は裸だ」と言えるのは部外者の子供しかいない。
そしていつの間にか傲慢になり、自分が傲慢だということにすら気づかなくなる。
最近、私は思い切って自爆テロのつもりで王様に直言した。そこまで言ったら、もうここでのキャリアは終了したと思ったのだが、意外にも本人は完全に態度を変え、謝罪すらした。本当はいい人なのではないかと私は思い始めた。だが周りがあまりにも何も言わないがために、おかしなことになってしまった。ある意味でそうした環境の被害者という言い方もできる。
だが、私のように勇気のある人はめったにいない。別のネガティブな結果がこれから出てくる可能性もあるだろう。それでも物事が動き始めたのは事実である。