物心ついた頃から、私は外国に興味があった。絵本は「おさるのジョージ」シリーズを集めていたし、「おやすみなさいフランシス」は何度読んだか、読んでもらったかわからない。西欧のクラシック音楽を聴いて育ったので、今でもクラシック音楽が最も落ち着く。
学業や職業、人づきあいも、海外と関係のある生き方を続けてきた。
一方で、日本でも外国でも、自分の住む地域からほとんど出たことがなく、旅行も好きではないという人もいる。興味深いことに、海外勤務を長く続けた元大使は相当な保守・右派思想を展開する論客として活躍している。国籍を問わず、外国生活が長くなると母国が恋しくなる人も多い。
どんなことでも、何度もやればそれなりに飽きる、ということだろうか。
かつては成田空港に到着すると日常に戻ってがっかりした。成田エキスプレスやリムジンバスから見える田んぼ、高圧線、無機質なマンション群、安っぽいラブホテルの建物、日本語で書かれた看板(当たり前だが)。。。
だが今では、広くサービスのよいホテルであっても、自宅に早く帰りたくなる。正直、できれば出張は最小限に抑えたいし、旅行にも興味がない。かつては海外勤務に憧れたが、今では東京しか考えられない。
外国に行ってみれば新しい発見があり、 楽しいこともあるが、日本のように物事がスムーズに進まないことへの驚きや苛立ちもある。
全てが新しく見えるアメリカの街並みは耐え難いというか。。。イギリスに少し似た東部のある街はそういった意味でほっとした。年を取るということは、この世を去る時期が近づいてくることであり、これから行く世界へと旅立った人々の息づかいを無意識のうちに求めるのかもしれない。