2017年2月7日火曜日

空き家活用のポイント

 総務省の統計によれば、日本全国に800万軒以上の空き家があるらしい。親の施設入居、死亡などで実家に住む人がいなくなって放置され、補修も行わず草が生い茂って近所迷惑になる家も増えている。この対策として空き家関連の法律や政策が打ち出されている。

 私は東京郊外の実家を相続し、別宅として使っている。高度成長時代に多く造られた高台の新興住宅街にあり、自然環境も豊かで帰るとほっとする。

 だがここまでの道のりは平坦ではなかった。まず戦中戦後の物資が極端に不足した時代に育った両親は、とにかく物を捨てられずにありとあらゆるものを残していた。この2年ほど、ほとんどの休暇と長い週末を家の片付けに充て、どのくらいの分量を処分したのか想像もつかない。

 この年末年始は庭にあった大小8つの物置を全て片付け、ボロボロになっていた5つを撤去した。何年もドアすら開けていなかった物置の片隅から、父が若い頃につけていた日記が出てきたときは驚愕した。

 このほか古いレコードプレーヤー、シャープの初代「ダブルカセット」、60年前の雑誌「暮らしの手帳」1957年刊、「少年倶楽部」昭和8年刊の復刻版など。リカちゃんハウス、洗面化粧台、レストランなどは今ならオークションで数万円で売れるらしい。







 こうして宝とゴミが渾然一体となった家の整理、外壁の修理、風呂場とトイレのリフォーム、床下の防蟻工事、カーテンの交換、庭の手入れ(防草シート、砂利敷き)など、やることは果てしがない。父親は何でも自分でやっていたので、使えなくなったペンキ、薄め液、園芸用品、車のバッテリーやオイルなども大量にあり不用品の処分費だけでも数十万円、こうした金額を合計すると数百万円にのぼる。

 想像以上の負担に圧倒され、どうしたものかと空き家をキーワードに検索すると、たいてい「早いうちに処分を」とNPOなどの専門家は勧めている。だがヨーロッパで有名な作曲家や政治家の生家を訪ねてみて、やはり身近な人の残したものを体験できる施設はいいものだと思った。お金と時間が許すなら、別荘+記念館として趣味の世界で運営していくのも一つの手ではある。

 自分の体験から、空き家活用のポイントをまとめてみると。。

・物件までの距離 新幹線の距離では上記の作業は厳しいと思う。せいぜい片道2時間が限度。

・利用目的 「賃貸に出せば」とよく言われるが、そう簡単ではない。民法717条は不動産所有者の責任を厳しく定めており、地震で借主が死傷すると損害賠償の責任を問われ、実際に阪神大震災でオーナーに1億円以上の支払いを命じた判決も出ている。このほか、借り手に問題があっても出て行ってもらうことができず、弁護士を立てて争っている知人もいる。

・ 利用頻度 日当たりと風通しのよい家であれば、月2回行っていればカビ臭くならず、家の傷みもさほど進まない。月1回だと特に夏はすぐに草が生い茂ってしまうので厳しい。

・周囲の環境  行ってリラックスできるような環境かどうか。

・予算 上記の出費に固定資産税、光熱費なども加えて計算すると、1泊1万5000円かかる計算になった。これだけかかるなら旅行に行ったほうがいいと思う方も多いかもしれない。

 自分は頻繁に出張があるので、正直旅行はしたくない。むしろ比較的近距離で鍵一本でいつでも行くことができ、洋服、自分に合ったシャンプーや基礎化粧品など必要なものを置きっぱなしにできる別荘のほうがよい。

 日常から物理的に距離を置き、鳥のさえずる中でボーっとしたり、周囲を気にせずに音楽をかけられる。古い家で機密性が高くないゆえなのか、あるいは木が多く地面に近い一戸建てだからなのか、冬場も加湿器なしで適正湿度を保ちつつ、南西角部屋のソファーベッドの上で猫のように日向ぼっこをできるのもよい。

 あとはキッチンをリフォームして、和室の障子を替えて、外構も直して。。。とにかく出費がかさむのは覚悟が必要である。