東京、ニューヨーク、ロンドンといった大都市の魅力は、全国レベルで有名なアーティストのコンサートや美術展などに、気が向いたらぶらっと行けることだ。
今日は天気もよく、午前中に掃除をした後もエネルギーが残っていたので、ググって見つけた広瀬香美のコンサートに行くことにした。同じ丙午生まれで、バブルの雰囲気が残っていた90年代にヒットを出し、当時の強気な女性の独特の感性を伝えていた。
会場の東京オペラシティーでは当日券が3階席しかなく、しかもステージに向って横の席だったので、ほとんど見えなかった。4オクターブ出せるという声はよく聞こえたが、歌詞の内容は日本語なのになぜかよく聞き取れない。国立音楽大学・作曲科の15人中15番目という成績だったとか、死にそうな病気をした最中に生きている証を残したくて書いた曲を披露するなど、意外なエピソードを知ることもできた。
だが正直話はあまり上手ではなく、しかもタメ口主体で冗長であった。さらには「クラシック界では劣等生だった」というコンプレックスをはねのけるためにオーケストラをバックに歌うという趣旨が先行し、音響効果をよく計算した結果とは思えなかった。
例えて言えば、メープルシロップにホイップクリームを混ぜて味を台無しにしているローソンのホットケーキを彷彿とさせるものがあった。もともと自分は子供の頃からチョコレートサンデーやパフェといった類が苦手なので、そうしたものが好きな方には受けたのかもしれない。実際、2階席までのほとんど全員の観客と、3階席でも隣の席の人は立ち上がってピューピューと熱心に歓声を送っていた。
だが私はコンサート中ずっと、「やはりエルトン・ジョンはすごかったな。。。」としみじみと思い出すばかりだった。ロンドンのロイヤルオペラハウスの前から7列目という最高に近い席だったので、今回のコンサートと単純比較はできないが、彼一人でベルリンフィル全体に匹敵するインパクトがあった。それまでロンドン暮らしにうんざりしていたのだが、これを機にロンドンの印象が180度転換し、現地の生活を楽しめるようになったほどのインパクトがあったのだ。
広瀬香美は一生懸命やっているのは伝わってきたが、エルトン・ジョンとは比較にならず、彼はまったく別次元のスーパースターなんだなと、今夜のコンサートを観て改めて再確認した。(敬称略)