私は国内旅行にはほとんど興味がなく、海外も主なところは見たかな~~という気がしていた。だが昨日会合で話した方いわく、「何度も行ったことがある場所でも、驚くような発見がある」と。例えば、バンコクには最先端の高層ビルが立ち並ぶ隣に昭和を思わせる長屋街があり、足踏みミシンで裁縫に精を出している女性を見かけるという。
そこで思い出したのが、数年前のエジプト旅行である。アラブの春やISIS問題の前で政情が安定していた頃、マイレージを使ってクリスマス休暇にカイロとトルコに行った。1日目はピラミッドを一通り観光し、2日目は1日100ドルでタクシーをチャーターし、ガイドブックに載っている主な見所を回ってもらった。
最後に運転手が「観光ガイド書には出ていないすごく面白いところがある。行ってみたいか?」と言うのでお願いした。
エジプトはあまり厳格ではないがイスラム国家で、人口の9割はイスラム教信者の一方、1割のクリスチャンがいる。キリスト教信者はマイノリティーで社会の下層に属し、その「面白いところ」とはクリスチャンの住む貧民窟だった。
エリアの入り口にはガードマンのような人がいたが、運転手は顔パスでそのまま車で進入。ハエが飛び交い、なんとも言えない臭いが立ち込める中、ゴミを積んだトラックが次々と入り、運んだものを降ろしていた。住民は運ばれてきたゴミを仕分けし、リサイクルに回すことを生業にしているのだという。かなりインパクトのある光景で写真を撮りたかったが、トラブルに巻き込まれる危険もありそうな気がしてやめた。だが今でもその光景は目に焼きついている。
その仕事場エリアを出ると、洞窟を利用して作られた立派なキリスト教の教会があった。ガイドブックに載っているエジプト由来のキリスト教であるコプト教派とも違うのだという。
インターネットが発達した昨今、世界中の光景は高画質で容易に見ることができる。だが現地に行き、地元の人々と話さないとわからないことはあるなと実感した。