グローバル化の揺り戻し現象が起きている。イギリスではEU離脱を問う国民投票を6月に実施することを決定。ロンドンのボリス・ジョンソン市長は離脱支持を表明した。アメリカの大統領選では有力候補がこぞってTPP反対の立場を取り、共和党のトランプ氏は国境に壁を作ると公約している。
こうした動きを警戒する向きもある一方、反グローバリム論者もいる。ノーベル経済学賞を受賞したコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授もその一人。「ガバナンスが追いつかないまま経済のグローバル化が進み、ごく一部の者が利益を独占し、多くの人々の賃金は減少している」と言う。
自分の母国に置き換えて考えてみる。日本は島国で海がいわば「国境の壁」として昔から存在している。EUに相当する共同体もないので、隣国から無制限に人が渡ってくることもない。中東から地理的に遠く離れているためシリア難民がボートで押し寄せることもなく、正直どこか対岸の火事の観がある。
最近では都心のマンションを中国人富裕層が買い、オリンピック景気もあって新築マンションの価格が1973年の調査開始以来、最高値をつけた。だがロンドンに住んだ感覚と比べると、東京の不動産価格ははるかにましである。日本では「億ション」という言葉があり、都心でもマンションで1億を超えればいい部類に入る。一方、自分が住んでいたサウスケンジントン、スローンスクエアや隣接したナイツブリッジでは1LDKでも3億、5億円相当の物件が普通にあった。国境を超えてやってきた大金持ちが不動産を買いあさって価格が高騰し、もはやイギリスの一般市民の多くは住みやすいエリアから締め出され、ルームシェアが一般的になっている。ロンドンではスーパーや携帯ショップの店員、スポーツジムの受付などの職もほどんどがイギリス人以外の人々に奪われている。
こうした状況に東京にもなってほしいかと聞かれれば、当然答えは「ノー」である。
日本は天然資源を輸入に頼っており、貿易や外国との協力は必須である。だがEUなみの統合や国境なしに移民が押し寄せる状況は好ましくない。世界で起きている戦争などの問題解決、他国とお互いメリットになる国際協力は必要だが、グローバル国家のようなものは作る必要はない。