2019年10月27日日曜日

お金でどこまで幸せになれるのか?

 平和ボケなのかもしれないが、どうも最近ドーパミン(わくわく感)が足りない。

 米国のドラマ「セックス・アンド・ザ・シティー」の主人公キャリーはシャネルのジャケットに心酔し、ブランド物の洋服や靴を買い集めている。私の最も好きな登場人物でPR会社の経営者サマンサは、エルメスの店でほかの客とバーキンバッグの争奪戦をする。

 彼女たちに触発され、週末に表参道のシャネルの店に足を運んだ。この手の店にありがちな怖い雰囲気はなく、気さくなお兄さんが出迎える。平均的な日本人女性が着ると確実に裾を引きずるコート、エジプトの王妃をイメージした金ぴかのジャケットなどが並ぶ。環境問題を意識して、パイナップルの皮を利用した素材を使っているという。

 だがシャネルの洋服は私の雰囲気には合わない。

 これまでの趣味を振り返ると、最もわくわくしたのはBMWの運転である。海外出張に行ったとき、安全性の確保のためホテルに迎えの車を手配してもらった。BMWの7シリーズの後部座席に座り、もちろん快適ではあった。だがBMWの真骨頂は「駆け抜ける喜び」(Freude am Fahren: Sheer Driving Pleasure)にあり、ドライバーがハンドルを握り、運転する歓びを追求したクルマなのだと実感した。

 ロンドンに引っ越す前に手放して以来、10年近くBMWを運転する機会はなかった。だが2014年に発売された電気自動車i3のデザインに魅了され、ずっと気になっていた。とりあえず試乗してみたい。そこでシャネルの後は、BMWのディーラーを訪れた。


 最初はウーン、ほかの車、軽自動車とどこが違うのかな。。。と思った。だが空いた道で50キロ超えに加速した瞬間、「ああ、これだ」と感じた。思い通りにクルマが自分の言うことを聞く忠実性、比類なき安定感。多くの国産車のようにA地点からB地点に移動するのが目的ではなく、クルマを運転することの快感が目的なのだと実感する。

 今年1月に導入された大容量バッテリーで、1回の充電で最長400キロまで走行可能。真夏でエアコンをガンガンにかけつつ渋滞に巻き込まれる状況でも100キロは行けるという。充電に必要な電気代をリッター当たりの走行距離に換算すると50キロにも及ぶ。しかもこのEVは9リッターのガソリンエンジンも積んでおり、いざとなったらガソリン走行もできるので電池切れの心配もない。2014年に新登場した当時と比べて、バッテリーは2倍近い容量がある。そうなると新車を買うしかない。

 気になる値段だが、オプション抜きの本体税込で約600万円。安全装置等のオプション、諸費用、車検、駐車場代、任意保険などの5年分の総費用は約1000万円に達する。さすがに費用対効果を慎重に計算せざるを得ない。

 帰り道にエルメスの店に寄って洋服を見た。すごく上品なコートがあり税込65万円で売っている。襟元のデザインがとてもよいが、かなり生地も厚い。温暖化する中、このコートを着られる日は何日あるだろうか。それに10万円台でも素敵なコートは見つかるし、傍から見れば50万円の差はわからないかも知れない。