2019年10月11日金曜日

ロレックスの意外な効果

 ロレックスが気になったきっかけは、大学3年の春休みにイギリスのブライトンでホームステイしたことだった。

 当時、シックで素敵な"Lanes"というエリアがあった。オードリー・ヘップバーンが映画「マイ・フェア・レディ」でヒギンズ教授と喧嘩し、「これはあなたがブライトンで買ってくれた指輪よ!」と言って指輪を彼に投げつけるシーンがある。

 もしかしたら、その宝石店ではないかと想像できるような店に、ホームステイ先のご主人が勤めていた。家の階段にはロレックスのオイスターの写真が飾られていた。まるで牡蠣のような雰囲気だったので、それでオイスターなのだろうと信じ込んでいた。だが本当は、牡蠣の貝殻のように固く閉ざされ、水を通さないという意味だという。

 ロレックスの時計には、かつての米国人上司にも影響された。彼の奥さんは大手企業の重役で、夫をはるかに上回る年収を稼いでいた。それで妻からプレゼントされたロレックスの時計を修理に出したいのだが、日本ではどこにコンタクトすればいいか聞かれた。厳密に言えば、こうした私用で部下の時間を使わせるのはどうかとも思うが、家族で日本にやってきて日本語もうまく話せず「困っている」わけだから、相談窓口に電話し、英語を話せる担当者が出てから電話を代わるまでをやってあげた。

 この2つの理由、それと男性の同僚が「ロレックスの時計をしているとバーでの扱いが違う」と言っていたことも頭の隅にあった。この1年いくつかの店で商品を手に取り、増税前に後押しされる形で勢いで買ってしまった。後悔はしていないが、何日か実際にはめてみると、思ったより派手だったかもしれない。

 わずか数日間ではあるが、どんな効果があっただろうか。

 ロレックスのおかげなのかは検証しようもないのだが、意外な効果として、セミナーや職場で同年代もしくは年下の女性から、積極的に挨拶されるようになったのだ。

 先日、アル・ゴア氏の主宰するセミナーに参加し、同じテーブルに香港である組織の重職に就いている女性がいた。彼女いわく、香港ではブランド物を持つことが重要だという。その方ともう一人別の女性がわざわざ私の席に来て名刺交換した。

 職場のトイレでは、別の部署で以前は話すことのなかった秘書の女性が、向こうから「おはようございます」と言ってきた。さらには、まったく別のフロアの広報部に置いてある新聞をチェックしに行くと、近くに座っていた秘書の女性が「おはようございます」と声をかけてきた。

 興味深いことに、男性や明らかに年上の女性から、このように向こうから挨拶されるといった効果は今のところない。