今年大阪へ出張に行ったとき、泊ったホテルのエレベーターで乗り合わせた客の90%が中国語を話していた。最近では都内でも銀座など有名なショッピング街だけではなく、ちょっとした駅ビルでも中国語が聞こえてくる。
この人々は何をしているのだろうか。
中国人観光客の爆買いは一段落し、今ではサービスにシフトしている。ヘアカット、エステなど日本人ならではの職人技やきめ細かいサービスが人気だという。世界的に有名な美容師ヴィダル・サスーンの直弟子K氏が都内で経営するサロンには、中国人の来店客が激増している。
私の美容師Aさんは、その有名店で史上最年少で最近ディレクターに昇格した。昇格の条件は指名の数、そして指名する客が継続的に来店しているか、それだけだという。無駄なおしゃべりは一切なく、客が求めているスタイルを実現させ、さらに一歩上を目指す工夫と気合が感じられる。
Aさんにカットしてもらっている最中、スタッフが小声で話しかけた。「以前に来店した中国人の方がアポなしで突然やってきて、Aさん希望だそうです。どうしますか?」
ワタシの施術には手を抜かないでね、と思った。そしてAさんは私に1時間半かけてじっくり仕上げたあと、その中国人の客に対応した。
中国人の客は日本在住ではなく観光客が大半で、 日本語は話せない人ばかりだという。ではどうやってコミュニケーションをするのか?
会社として中国人の需要に対応するため、通訳機を導入。この新しい取り組みをNHK、フジテレビ、テレビ東京が相次いで取材したという。
ポケトークというポケットサイズの小さな機械に日本語で話しかけると、機械が中国語に通訳して話す。客が中国語で話すと、機械が日本語に通訳する。ちょっと日本語として変なこともあるが意味は通じるので、客との意思疎通には全く問題ないという。
「通訳は要らないですね」
私が学生時代に中国語を必死で勉強した時には、30年後にこんな世界になるとは想像もしなかった。これから30年後にはいったいどうなるのだろうか。