年齢に関係なく、誰しも「疲れたから、もう働きたくない」と時折思いはするだろう。
問題はそれができるか。もしくは実行に移して「こんなはずじゃなかった」という事態を避けられるか、どうか。
そのカギを握る、考慮しなければならない項目の筆頭は、お金である。仕事を辞めても生活していけるのか。今の生活レベルを維持できるか、もしくはカツカツになるのか。隠れたコストはないか。
先日ある科学者と会ったとき、気候変動の将来予測は現状のデータを集めて分析し、それをもとに、いかに解像度の高い画像を処理できる性能の高いスーパーコンピューターを持っているかにかかっているか、と聞いた。
これを自分自身の将来予測に置き換えれば、いかに現状の支出状況を把握し、今後起きる要素を正確に盛り込んだ将来像を計算できるかにかかっている。
日経新聞やファイナンシャルプランンダーのモデルケースは夫婦二人、子供の教育費や住宅ローンなど、自分とは関係ないシナリオなので参考にならない。
私はこの数年、エクセルで家計簿をつけて自分の全支出を自動販売機やコンビニで買ったお茶のレベルまで把握している。ただし、銀行のように一日の終わりに一円単位で合っているかを確かめはしない。そこまでやると時間と手間がかかりすぎ、得られる成果のコスパが悪い。ただ、どこへいくら支払ったかを食費、医療費、キャリアアップなど項目別に入れていき、12月末に合計支出と項目ごとの金額と全体に占める割合をはじき出して、前年と比べる。
最近顕著なのは食費の増加である。私はめったに外食をせず、特に贅沢をしているつもりはない。ほうれん草、みかん、トマトなど日常食品の値段の高騰が著しい。
身体が資本なので鍼灸やマッサージにも相当な金額を費やしている。この支出をどうにかできないかと思い、先日電気店でパナソニックの50万円近くする最高位機種のマッサージチェアを試したが、やはり腕の高いプロの施術には到底及ばない。
週末はほとんど外出しないので、家の中を楽しくするもの、例えばボディーシャンプーや入浴剤は値段を気にせず自分の好きなものを買っている。
仕事を辞めたら今ほど肩こりはひどくなくなると期待されるが、それ以外の項目はいったん上げてしまった生活レベルを下げるのは中々難しいと予想される。ある程度のインフレを吸収できるよう、少しは余裕を持たせたシナリオにしたい。
気をつけなければならないのは、隠れコストである。たとえ無職でも60歳まで国民年金の支払いは続き、2年に1度自動引き落としで最小の支払額にしたとしても、年間18万9160円かかる。ちなみに2017年以降、国民年金の支払額は変わらないことになったので、少なくとも理論上、上昇分は考慮しなくてよい。
無職でもかかる第二の支出に国民健康保険がある。これは自治体によって金額が異なるが、自分の所属する自治体は所得ゼロでも年間1万3800円かかる。
そしてついに65歳を迎え、年金をもらえる身分になっても、年金受取額は年間120万円を差し引いた額が雑所得として課税対象となる。120万円を引いた所得に対して、基礎控除、医療控除など除いていき、その金額に対して国税5%、地方税10%、さらに2037年まで復興特別所得税2.1%の合計17.1%の税金がかかる。そして所得額に対して国民健康保険税がかかるのも忘れてはならない。これらを計算していくと、自分の場合、公的年金と個人年金の受取額の約9割しか残らないことが判明した。
まるでホテルのサービス料、ナントカ税、もしくは飲み屋の付け出しが自動的に入っているみたいな感覚である。
私は個人的にがんを早期発見して手術や抗がん剤で苦しんだり、最期に近づき胃腸の働きを失った後もチューブで無理矢理に栄養を入れたりしたいとは思わないので、がん保険や民間の医療保険には入っていない。
基本的に集団行動があまり好きではないので、高級老人ホームにも興味がない。
あとは地震が来て自宅が崩壊して自分が生き残った場合、家を建て替えるお金があればそれに越したことはないし、もちろんお金は多くあっても困るものではない。