アマゾンのプライム(速達サービス)の会員特典として数カ月前に追加された映画・ドラマのオンデマンド無料配信で、「グッバイ、レーニン!」というドイツ映画を鑑賞した。
1989年、ベルリンの壁が崩壊する直前の東ドイツ。ガチガチの社会主義者の母親がデモに参加する息子を見てショックで倒れてしまい、昏睡状態に陥る。8カ月後に目が覚め、その間に驚くほど社会は変わっていた。
「なるべくショックを与えないように。さもないと命が危ない」との医師の言葉を忠実に守る息子は、社会主義そのものの部屋を再現して母親を家に迎える。まだ安静状態の彼女は外出できないものの、窓から見えるコカコーラの広告など西側への変化に気づき始める。
最終的に息子が取った苦肉の策は、「資本主義の無意味な競争や消費主義に我慢できなくなって西側から大移動してきた市民を東側が受け入れるため、ベルリンの壁を開放することにした」という内容のやらせニュース番組をビデオで作成し、母親に見せるというもの。この作られた理想を信じ込み、彼女は安らかに永遠の眠りにつく。
2004年製作という背景を考えれば、親子の愛情をもとにした単純なコメディーという意図で作られた映画だと想像できる。
それから12年、難民という枠を超え民族大移動といったスケールの人々が移動している。その一方で先進国では貧富の格差が広がり、ミニマリストなど大量消費を否定する動きも出てきた。 共産主義の是非や現実はともかく、この映画ではでっちあげとして描かれた民族大移動の理由がかなり興味深い。
