2023年6月30日金曜日

海外旅行にはない国内旅行の魅力

  中高時代の最も得意な科目は英語、東京外大で中国語を専攻して世界各国の言語・文化を学ぶ仲間と交流。マスコミ関係の仕事でいろんな人に会い、米国と英国の大学院に留学。国際関係や外交の職務にも携わる。

 そうした経験から私の人生は海外への関心に突き動かされ、周囲には国内より外国に興味を持つ人たちが多い。

 私は国内旅行はもともと好きではなく、2~3日でも地方に行って都会の雰囲気がない環境にいると不安を感じていた。

 しかしながら、この3年ほどはコロナ禍で海外旅行は不可能に近く、またFIRE族となり時間の余裕もできたので国内旅行をしてみた。

 海外の行きたいところにはだいたい行った、という心の余裕なのか。あるいは年を取って感覚や考えが変わったのか。もしくは単にコロナで選択肢がほかになかったからなのか。

 理由はともあれ、かつては苦手だった国内旅行の面白さにはまっている。特に印象に残っている場所、そこからインスパイアされた感覚を述べてみたい。

函館・北海道

 先月の東北・北海道旅行はもともとタイガースの交流戦が主な目的で、仙台から札幌までの経由地として函館に立ち寄ってみた。結果として函館が最も面白く、和レトロ、ロシア、イギリス、欧州など多様な文化の影響を受けている。地政学的に重要な場所として国策で新幹線を通した理由がよくわかった。

 また北海道では「開拓せんべい」という土産物が売られているなど、開拓がキーワードになっている。

 私が知る北海道出身者の特徴として、方言や訛りがあまりなく、すぐ近くなのに青森との違いが激しい。慣習や既得権益にしばられず、時には激しく否定して進歩的な考えを重視、自分の意見をはっきり言う。価格設定が強気。エネルギーや押しの強さを感じさせる。新天地を求めてやってきた開拓者の子孫なので、気力・体力の強い遺伝子を持っているのかも知れないと、「開拓せんべい」の広告を見て納得する。

〇〇県立博物館

 各都道府県のつくった博物館に行ってみると、現地では何を最も重視しているかがわかる。例えば、島根県立古代出雲歴史博物館では「現存する風土記のなかで唯一、出雲国風土記がほぼ完全な形で残されている」と強調し、相当なスペースを割いて紹介している。「奈良や京都より古いんですよ。因幡の白兎もいるんだし、神話のレベルですからね」というメッセージが伝わってくる。

 大阪歴史博物館では真っ先にドドーンと難波京を紹介、いかに大阪がかつては日本の首都だったのかを強調している。奈良、京都、大阪の共通点として「都を東京に奪われた」という感覚がある。我々のほうがはるかに歴史があり、文化的にも洗練されているのに、東京の新興勢力は許せん、という悔しさがにじみ出ている。

 こうして沸々として煮えたぎるマグマを関西人たちは共有し、阪神タイガースは震源地の一つである。だからこそ巨人(=東京)が大嫌い、ジャイアンツ戦には一層の熱が入る。阪神ファンのエネルギーの凄まじさ、関西文化の面白さ、コミュ力の高さが磁石のように全国の人々を吸い寄せる(私もその一人😅)。

横浜

 渋谷から東横線で30分程度、ほぼ東京圏内と言える距離でありながら、東京と横浜には似て非なる違いがある。

 東京は首都機能が集中しているためか、お上の権力や同調圧力が強い。これに対して、今週横浜に行ったところ、マスク着用率は東京より確実に低い。街全体で人口密度が低め、リラックスした雰囲気があり、変な緊張感がない。

 神奈川県立歴史博物館は横浜開港の重要性を説き、それ以前の横浜は寒村だったと言う。

 以前から通りがかる度に気になっていた横浜人形の家には、今週ついに訪れた。世界100カ国以上の人形が展示され、その分類の仕方や歴史が興味深い。ベラルーシ、ウクライナ、ジョージアの人形がひとつの台に置かれている。

 キューピーはアメリカ生まれだが、最初はドイツで作られた。クレムリンの武器庫に展示された歴代ロシア皇帝に各国から贈られた宝物皿は、全てドイツ製だったことを思い出した。