勤め人をしていた頃、仕事がきつくて辞めたいと思うことは何度もあった。だが老後資金や将来に不安があり、どうにか続けていた。その頃に気になっていたのは、職場を辞めた人が日常でどう感じているか、だった。
だが早期退職した人はよほど個人的に親しくない限り、元同僚とは話したくないと感じられることが多い。
というのは自己都合で辞めたとしても、会社都合の退職よりも後味が悪いことも多々あるからだ。上司と合わなかった、組織の都合によっていじめられる形で耐えきれず退職に追い込まれた、とにかく我慢の限界に達した、など。会社都合の退職は人生のペースを乱され、当然ながら気持ちがいいものではない。いずれにせよ定年退職でない限り、なんらかの不満がなければ職場を去ることはない。
そこで「仕事を辞めたいが、今後が気になる」という方のために、早期退職の日常で私が感じてきたことを語ってみたい。
辞めた直後はいろんな感情が渦巻く。さらには辞めた後にもかかわらず、元勤務先に関して私の仕事とは全く関係のない問い合わせをしつこくしてくる人もいた。そういう人は私個人というより、私の元所属先の組織へのコネしか関心がないのは明らかで、速攻で縁を切った。世の中には人の気持ちがわからない人がいるものだと驚いた。
長年の疲れがたまっていたため、とにかく寝たいだけ寝る。あとは家の片付けや修理など、忙しくてできなかったことをやる。コロナがなければ海外旅行にも行きたかったが、とりあえずGo Toで沖縄や都心ホテル滞在を楽しんだ。
そうして半年が経過すると、さすがに少し飽き気味になってくる。それだけ元気が戻ってきたということでもあり、それ自体は素晴らしい。
ただ働くにしても、54歳という年齢はかなり微妙だ。日本企業は55歳の一次定年があり、40代以上に希望退職者を募る企業も少なくない。つまり年齢による「足切り」ラインに引っかかり、就職活動は厳しい。
そこで個人事業主として活動するため、ブログ、YouTube、小説執筆などをやってみる。特に小説は書いてみたかったが、勤め人の頃は疲れていて、そんな元気や創造力はなかった。いざ書いてみるとストーリーは妄想のように次々と浮かぶのだが、書いていて楽しいかと言えば、思ったほど常に楽しいわけではない。これは意外だった。考えてみると、有名な小説家の本を読んでいても、著者がわくわくして書いていると想像できるシーンと、つなぎのために努力して書いている部分があることに気づく。
いずれにせよ仕事、あるいは仕事にしようすることをやっていくと、かなりまじめな作業が必要になる。結果として、やっていて100%楽しいと感じるわけではない。そのあたりが、ディズニーランド、野球観戦、グルメ、旅行、買い物といったレジャーとの違いだろう。
では資格取得の勉強はといえば、TOEICは楽勝だと思っていたが甘かった。2016年から新形式になり、年々難易度が高まっている。それに加えて、自分自身の問題として今は仕事をしていないので、当然ながら英語を使った仕事もしていない。英語を使った仕事をしていると、微妙なニュアンスを含んだメール、複雑な内容の書類、面倒臭い事務処理など、TOEICをより複雑化した作業を日々やるので、仕事=TOEICの高地トレーニングになっていた、と今更ながら気づく。
このため英語を使った仕事をしていない状態で全問正解を目指すとなると、とにかく問題集をたくさん買い込んで数をこなすしかない。これまではお金をもらって勉強していたのに、今では問題集を買うなんてお金がもったいないな、と感じてしまう。
とりあえず今のスコアは980点で、満点の990点を取る意味がどれだけあるのか。人事関係者は「ない」と言うが、個人事業主としてやって行くとなると「TOEIC満点」というインパクトはあると思う。実際、この10点の差を埋めるのは、思ったよりもかなり大変だ。山頂に近くなるほど坂道がきつくなるのと似ているのかもしれない。ただ過去問をやっていても、95%以上は簡単な問題なので、そうした問題を解く意味はあまり感じられない。
まあとにかく、やや飽き気味になってきた自粛生活で旅行にも行けないなか、ゲーム感覚で頂点を目指すことはヒマつぶしにはなる。本当のゲームをしているより、少しは生産的かもしれない。