昨年から今年にかけて早期退職を行う上場企業数は115社にのぼり、リーマンショックの2009年に次ぐ高水準だという。
私は53歳で退職して半年になる。勤務先のアジア事務所閉鎖によるもので、16年勤めた職場を離れるのはつらかった。
だが半年経った今では、もはや勤め人には戻れないだろう。
老後資金の目途が立っていることが安心材料であることは間違いない。お金はいくらあっても十分とは言えないので、あとは何百回も計算したシミュレーションにどれだけ納得できるかの問題である。
ひとつ言えることだが、仕事を辞めると出費がかなり減る。スーツ、バッグ、コート、靴などは使う機会が減り、新調する必要はない。外食もほとんどしない。人間関係のストレスや神経を使うこともほぼないためマッサージに行く回数も減り、平日割引を使える。結果として生活費は半減した。
子供のいない専業主婦の生活と似ているのかもしれない。家や庭の手入れ、料理、掃除、時事問題のフォロー、運動などで時間が過ぎ、ヒマで困ることはない。
社会とのつながりはSNS、YouTubeやブログ、家の管理の業者対応である程度は保てる。
あとは社会的な成功への希望や野心がどれだけあるか。私は米系の職場で日本人として最高の地位まで昇進したので、よかったかどうかは別として、それ以上は行けなかった。そういった意味でやり尽くしたとは言える。
バイデン大統領が就任し、ケリー元国務長官が気候変動特使となって面白そうな状況なので、何らかの形で関わってみたい気もする。
ただ朝8時半~夕方5時半、月~金を拘束され、本部の指示を常に確認し、上司の意向を伺い、自分の言動が組織の方針に合っているよう神経を使い、官僚的な手続きを理解して耐え、白人男性の世界で微妙もしくはあからさまな差別に憤慨し、必要があれば正規の手続きで苦情を訴えるため正確な英文で何千ワードにもわたる書類を提出し。。ということをまたやりたいか?と聞かれれば、う~~ん。。よくやったなとしか言えない(苦笑)。
同僚とは仕事という共通点があったが、今ではない。このため共通の話題もあまりなく、たまに用事があって連絡する程度。元同僚で定年退職後も職場に毎日のように現れ、出入り禁止になった人もいる。気持ちはわからなくもないが、卒業した学校に通いつづけるようなもので、受け入れる側も迷惑だっただろう。
結論として、きつい仕事を辞めれば健康になるのは間違いない。毎日ぐっすり寝て、自炊で栄養バランスのよい食事を取り、運動をして、気分転換に好きな時に外出する。読書も仕事に関係のないジャンルの本を幅広く読める余裕があるので、視野が広がる。
あとは英語関係の資格を取り、中国語をブラッシュアップして、観察や分析をして発表するのも面白いかもしれない。
この生活はかなり快適といえるだろう。