今こそ1980年代バブル女子大生をやると決めたワタシとしては、当然ながら買うなら増税前。まだ蒸し暑い中、週末はブランドショップを見て歩いた。
最初の戦利品はエトロのハーフジャケット。いかにもエトロといったペーズリーの柄である。茶系のハーフジャケットを持っているが、止め具に使われている皮がボロボロになっている。これに代わるジャケットを探していたところ、ちょうどよいものが見つかった。表面は撥水っぽい生地で雨の日でも大丈夫かもしれない。エトロでは同じような模様で秋冬の仕事用でA4が入るバッグも調達した。
雨の日用にゴアテックスの防水靴もゲットした。撥水加工の施されたMUJIの靴は履き心地はよかったものの、小雨でも10分と経たないうちに靴下がぬれてきてダメだと判明。最初から完全防水の靴を買えばよかったと後悔した。ゴアテックスは靴のメーカーの名前ではなく、まるで卵の殻にひっついている薄皮のような防水皮膜を内部に施すことで、完全防水した靴を指すのだという。例えて言えば、東レのナントカ繊維、みたいな感じらしい。大雨でも大丈夫そうに見える長靴でも、実は撥水のみで、防水ではないものもあるというから要注意だ。
ところで猛吹雪も予想される米国東部への出張には、何を着て行ったらよいだろうか。最近では温暖化の影響で東京はあまり寒くないので、裏地がついていないコートも目立つ。四半世紀前に買ったコムデギャルソンのロングコートは分厚くて暖かく、風の強い氷点下の天候にも対応できるが、裏地がボロボロになってしまった。投資銀行・元重役の英語の先生に相談すると、このコートはコレクターの価値があるという。所詮、裏地は数年でボロボロになってしまうので、いい仕立て屋さんで裏地を総取替えすることを勧められた。
それで振り返ってみると、気に入った服だからこそ裏地を替えたものの、その後なぜか着なくなってしまったスーツもある。やはり防寒目的のコートの購入も検討すべきだろうか。
ヒューゴ・ボスの店ではすごく暖かそうなムートンのコートを勧められた。ボスでは今年の1月にやはり黒系のコートを買ったばかりである。ただ、このコートは東京でも寒い日にはやや物足りない。しかしムートンとなると雪にさらされると厳しいかも知れず、日本から着て行くには暑すぎる可能性もある。スーツケースに分厚いコートを入れ、現地で着替えるという手もあるが、そうすると荷物がかなり重くなってしまう。ちょっとした階段など、どうしても自力でスーツケースを持ち上げる場面が出てくるので、できるだけスーツケースは軽量にしておきたい。そう考えると素敵ではあるが、このコートは見送ることになりそうだ。
エルメスでは200万円のウールコート、ルイヴィトンでは76万円のコートもあった。素敵ではあるが、正直そこまで出して本当に何が違うのだろうか。
この手のブランドショップは、百貨店ではなく路面店では特にやや怖い雰囲気が漂っている。六本木ヒルズのルイヴィトンの店は、そういった怖さが頂点に達している。遠くから見ると若く見えるが、近づいてくると化粧のかなり濃いアラフィフと思われる女性店員が、まるで吸血鬼のように張り付いてくる。
そのルイヴィトンの向かって左隣にロレックスの店がある。前日に別の店で買ったばかりだが、とりあえず入ってみる。すると昨日の店では稀少とされていたaubergineの文字盤で全く同じ品があった。六本木ヒルズ店は日本で最大級の品揃えのためか、すぐに仕入れることが可能なのだという。ただ、いくつかのオンラインショップでは定価より高い値で売っており完売した店も結構あることを考えると、投資としてもよかったかもしれない。
それにしても、このデザインは「かわいい」というものではない。店の鏡で見たときは、光り方がちょうどいいと思ったのだが、実際に1日はめてみると意外とややけばけばしかったかもしれない。だがかわいくないということは、逆にある種の凄みのようなものは出せるかもしれない。
まあ、そこまで気にする必要もないだろう。それにしても毎日着用していれば電池交換なしで永遠に自動で動くのだが、身につけていないと55時間で止まってしまう。巻き直せばまた動き出すのだが、その作業もやや面倒臭そうだ。結果として定番の時計として毎日して行くことになり、所有者がロレックスの歩く広告塔となる。面白い仕組みを考えたものだ。
2019年9月30日月曜日
2019年9月28日土曜日
消費税増税の意外な効果
増税前に。。。買っちゃいました!! ロレックスの時計です。
1年ほど前から気になってはいました。実際に店頭で色々な種類を見てもいました。その時には、「素敵だしすごく光っているけど、ここまで素敵だと洋服も合わせて買わなきゃいけないな。。。」だとか「やはり私の庶民感覚では理解できない」とか、「ベルトがやっぱり違う」など様々な思いがめぐるだけでした。
そうやって色々な種類を見ていたからこそ、即断が可能だったかもしれません。もっと言えば、消費税が上がるだけではなく、本体価格も10月から約1%上がるという店側のセールストークも影響しました。こうした増税プラス便乗値上げに背中を押されのは事実です。
しかし、最終的な決め手になったのは文字盤のaubergineという色です。手持ちのコートとスーツにバッチリ合うと確信しました。しかも長い鏡で全身を見たとき、この時計は光ってはいるが、そこまですごく光っていない、光り方がちょうどよいと思いました。
「この色はかなり稀少で数カ月ぶりにようやく入ってきたんです。これが売れてしまえば、またいつ入ってくるかは全くわかりません」とのこと。aubergineはナスという意味らしく、思わず「eggplantじゃないんですか?」と聞いてしまいました。後で調べてみたら、aubergineはフランス語でイギリス英語にもなっている単語、eggplantはアメリカ英語だそうです。
しかし問題はクレジットカードの限度額を超えていることでした。そこで店の電話でカード会社に電話し、一時的な限度額引き上げのため審査担当と話し、いくつかの質問に答えました。当初は「審査には数分かかります」と言われていましたが、2秒もかからず速攻でOKが出ました。自分には社会的信用があるんだ、いろいろと険しい道のりを乗り越えて働いてきた努力、その結果を世間様は認めてくれたんだと思うと、すごくうれしかったです。
この時計は今週のエキサイティングな仕事にして行くつもりですし、半年後のイベントに向けた「勝負アイテム」となるでしょう。あるいはオペラの会場で薄暗い照明の中、どんな感じで光ってくれるか楽しみでもあります。
しかし、こうしたハレの舞台、あるいは「自分へのご褒美」は結局のところ、どうでもいいのです。
欲しいものがある。それを買える。それによって誰にも迷惑をかけていない。それどころか、日本経済や世界経済を活性化させている。
確かに世の中は不公平です。千葉の停電、福島原発の影響でいまだに家に帰れない人もいます。貧しい国に生まれて人権侵害に苦しむ人々もいます。そんな中、自分は買い物に走っていいのでしょうか。
いや自分は本業で、持続可能な水産物貿易の推進という社会に役立つ仕事をしているのです。いろいろと大変なことを乗り越え、難しい作業をしています。そうして得た収入を使って自分を元気づけることで、仕事を続けていくことが可能になるのです。
しかしながら、そうした講釈を必死でやる必要もないのかもしれません。
私は今週末、この買い物によってすごくハッピーになりました。
それでいいんだと思います。
1年ほど前から気になってはいました。実際に店頭で色々な種類を見てもいました。その時には、「素敵だしすごく光っているけど、ここまで素敵だと洋服も合わせて買わなきゃいけないな。。。」だとか「やはり私の庶民感覚では理解できない」とか、「ベルトがやっぱり違う」など様々な思いがめぐるだけでした。
そうやって色々な種類を見ていたからこそ、即断が可能だったかもしれません。もっと言えば、消費税が上がるだけではなく、本体価格も10月から約1%上がるという店側のセールストークも影響しました。こうした増税プラス便乗値上げに背中を押されのは事実です。
しかし、最終的な決め手になったのは文字盤のaubergineという色です。手持ちのコートとスーツにバッチリ合うと確信しました。しかも長い鏡で全身を見たとき、この時計は光ってはいるが、そこまですごく光っていない、光り方がちょうどよいと思いました。
「この色はかなり稀少で数カ月ぶりにようやく入ってきたんです。これが売れてしまえば、またいつ入ってくるかは全くわかりません」とのこと。aubergineはナスという意味らしく、思わず「eggplantじゃないんですか?」と聞いてしまいました。後で調べてみたら、aubergineはフランス語でイギリス英語にもなっている単語、eggplantはアメリカ英語だそうです。
しかし問題はクレジットカードの限度額を超えていることでした。そこで店の電話でカード会社に電話し、一時的な限度額引き上げのため審査担当と話し、いくつかの質問に答えました。当初は「審査には数分かかります」と言われていましたが、2秒もかからず速攻でOKが出ました。自分には社会的信用があるんだ、いろいろと険しい道のりを乗り越えて働いてきた努力、その結果を世間様は認めてくれたんだと思うと、すごくうれしかったです。
この時計は今週のエキサイティングな仕事にして行くつもりですし、半年後のイベントに向けた「勝負アイテム」となるでしょう。あるいはオペラの会場で薄暗い照明の中、どんな感じで光ってくれるか楽しみでもあります。
しかし、こうしたハレの舞台、あるいは「自分へのご褒美」は結局のところ、どうでもいいのです。
欲しいものがある。それを買える。それによって誰にも迷惑をかけていない。それどころか、日本経済や世界経済を活性化させている。
確かに世の中は不公平です。千葉の停電、福島原発の影響でいまだに家に帰れない人もいます。貧しい国に生まれて人権侵害に苦しむ人々もいます。そんな中、自分は買い物に走っていいのでしょうか。
いや自分は本業で、持続可能な水産物貿易の推進という社会に役立つ仕事をしているのです。いろいろと大変なことを乗り越え、難しい作業をしています。そうして得た収入を使って自分を元気づけることで、仕事を続けていくことが可能になるのです。
しかしながら、そうした講釈を必死でやる必要もないのかもしれません。
私は今週末、この買い物によってすごくハッピーになりました。
それでいいんだと思います。
2019年9月20日金曜日
世阿弥に学ぶ 中年以降の働き方
世阿弥と聞いて、日本史の教科書に名前が出てきたな、くらいの印象しかなかった。
先日、歌舞伎座で三本立ての作品を鑑賞したとき、勧進帳が能をもとに作られ、その抽象性が真実に迫る有効な手法のように感じられた。
そこで能についてググッて行くと、世阿弥にたどりつく。室町時代に世阿弥が能の芸術性を高めたことによって、現代にまで能が受け継がれているという。
「風姿花伝」は世阿弥が1400年頃から20年をかけて綴った、素晴らしい能を演じるための考え方や手法を述べた書である。600年もの歳月を経て、今でも読み継がれている古典であり、現代に通じる仕事のやり方を説いている。
いくつか、かなりリアルで参考になった点を挙げてみたい。
・能には「花」がなければならない。花とは新鮮さである。若いうちは、それだけで花がある。若さゆえの花に慢心せず、常に創意工夫を積み重ねることで、34~35歳で絶頂期を迎えることが可能になる。この時期に名声をあげていなければ、40歳以降も花を持ち続けることはできない。
・40代後半になると外見がいい人でも、素顔では見られたものではなくなる。この年になったら、自分の容姿に似合った役柄をラクに無理することなくやること。身を砕き、わざわざ欠点ばかり目立つ能を演じることはない。
・50歳以降では、自分にとって演じやすいものを少しずつ工夫し、色を添える演技をする。一流の演者はそれでも、若い頃にも増して花のある演技をできる。
・一切の物事は、陰と陽が調和する境の部分に成功のポイントがある。夜は気分が滅入って陰鬱になりがちなので、夜の公演では真っ先に明るい演技を行う。逆に昼の公演で陽気に演じると、面白くなるはずがない。
・観客の目を常に意識せよ。たくさんの花を持っていても、それを観客の目に素晴らしく見せる工夫がなければ、田舎や藪の中にある梅のように、いたずらに花を咲かせ、香りを漂わせているだけで終わってしまう。
・上手な人にも欠点はあるし、下手な人間にも必ず長所はある。下手な人間はたまたま持っている長所に自分で気づかない。どんな滑稽な役者であっても、もしその演技によいところを見つけたら、達人でもそれを真似るべきである。それが道を極めるための第一の方法であろう。
・自分の最も得意とする演目で喝采を浴びても、そればかりやっていると観客は飽きてしまう。常に観客に新鮮な印象を与えるため、見せ方を少しずつ変えて工夫することが重要。
・怒っていても、やわらかな心を持っていることが、新鮮な演技を見せるコツ。
・秘するが花。人の心に思いも寄らない感動を起こす手立てこそ、花と呼べるものだ。
・結局のところ、能の結果は「新鮮さを感じさせられたか」か「新鮮さを感じさせられなかったか」のどちらかである。
先日、歌舞伎座で三本立ての作品を鑑賞したとき、勧進帳が能をもとに作られ、その抽象性が真実に迫る有効な手法のように感じられた。
そこで能についてググッて行くと、世阿弥にたどりつく。室町時代に世阿弥が能の芸術性を高めたことによって、現代にまで能が受け継がれているという。
「風姿花伝」は世阿弥が1400年頃から20年をかけて綴った、素晴らしい能を演じるための考え方や手法を述べた書である。600年もの歳月を経て、今でも読み継がれている古典であり、現代に通じる仕事のやり方を説いている。
いくつか、かなりリアルで参考になった点を挙げてみたい。
・能には「花」がなければならない。花とは新鮮さである。若いうちは、それだけで花がある。若さゆえの花に慢心せず、常に創意工夫を積み重ねることで、34~35歳で絶頂期を迎えることが可能になる。この時期に名声をあげていなければ、40歳以降も花を持ち続けることはできない。
・40代後半になると外見がいい人でも、素顔では見られたものではなくなる。この年になったら、自分の容姿に似合った役柄をラクに無理することなくやること。身を砕き、わざわざ欠点ばかり目立つ能を演じることはない。
・50歳以降では、自分にとって演じやすいものを少しずつ工夫し、色を添える演技をする。一流の演者はそれでも、若い頃にも増して花のある演技をできる。
・一切の物事は、陰と陽が調和する境の部分に成功のポイントがある。夜は気分が滅入って陰鬱になりがちなので、夜の公演では真っ先に明るい演技を行う。逆に昼の公演で陽気に演じると、面白くなるはずがない。
・観客の目を常に意識せよ。たくさんの花を持っていても、それを観客の目に素晴らしく見せる工夫がなければ、田舎や藪の中にある梅のように、いたずらに花を咲かせ、香りを漂わせているだけで終わってしまう。
・上手な人にも欠点はあるし、下手な人間にも必ず長所はある。下手な人間はたまたま持っている長所に自分で気づかない。どんな滑稽な役者であっても、もしその演技によいところを見つけたら、達人でもそれを真似るべきである。それが道を極めるための第一の方法であろう。
・自分の最も得意とする演目で喝采を浴びても、そればかりやっていると観客は飽きてしまう。常に観客に新鮮な印象を与えるため、見せ方を少しずつ変えて工夫することが重要。
・怒っていても、やわらかな心を持っていることが、新鮮な演技を見せるコツ。
・秘するが花。人の心に思いも寄らない感動を起こす手立てこそ、花と呼べるものだ。
・結局のところ、能の結果は「新鮮さを感じさせられたか」か「新鮮さを感じさせられなかったか」のどちらかである。
2019年9月3日火曜日
勧進帳が語りかけるもの
古典とは何だろうか。数百年の時を経ても変わらない人間の本質に迫り、人生の意味や生き方について考えさせる作品だと思う。
歌舞伎「勧進帳」は1840年の初演以来、歴代の有名役者が主人公の弁慶と富樫を演じてきた。とりわけ七代目松本幸四郎は生涯で1600回以上弁慶を演じ、昭和18年に歌舞伎座で行われた公演は歴史的な名演技としてDVD化されている。
最近では、2012年10月に九代目松本幸四郎と十二代目市川團十郎が、弁慶と富樫の役を昼の部と夜の部で入れ替えて競演して話題を呼んだ。私は幸四郎の弁慶、團十郎の富樫を観て洗練された迫力ある演技に感動した。逆の配役も見たいなと思いつつ公演は終了してしまった。それからわずか3カ月後に團十郎は急逝。持病の白血病が悪化し、66歳の若さであった。
先日、九代目幸四郎の息子で十代目幸四郎の弁慶による勧進帳を歌舞伎座で鑑賞した。幸四郎を襲名してまだ1年半、父親とは31年ものキャリアの差がある。プロとしてお金を取るレベルには達しているが、当然ながら九代目幸四郎の域には到底及ばない。傑出した演技というのはそうそうあるものではない、十二代目團十郎の弁慶も観ておけばよかったと後悔した。
勧進帳の筋書きだが、一言で言えば弁慶は理想の部下であり、上司である義経との温かい人間関係、それでも厳然と存在する上下関係を描いている。天下を追われた義経一行が山伏に偽装して逃亡。関所の関守・富樫は、山伏であれば東大寺再建への寄附募集を記した勧進帳を持っているはずだと迫る。何も書いていない巻物を咄嗟に取り出し、書いてあるであろう内容をアドリブで「読み上げる」弁慶。納得した富樫に酒を勧められると、たらいのような大きな器に注がれた酒に息をふきかけてアルコールを飛ばして一気飲み。足元がよたつきながら独特の滑稽な舞を舞って見せる。弁慶の仕事ぶりに感銘を受けた富樫は、義経一行ではないかと思いつつも最終的に関所を通過させる。それを理解した弁慶は心の底で富樫に深く感謝する。
そうして関所を越え、弁慶は義経や同僚たちを先に遠くまで逃げさせ、それを確実に見届けてから、最後に見事な独特の舞を舞いつつ花道から力強く出て行く。
この筋書きから、どんなメッセージを観客は受け取るだろうか。2012年と2019年の公演を比べると、脇役ながら義経がどのような演技をするかが肝になっている。2012年に義経を演じた坂田藤十郎は品と威厳にあふれ、いかに優秀な部下であっても、あくまでボスは義経なのだと思わせた。
2019年の公演で片岡孝太郎演じる義経にはそれほどのオーラがなく、最初から最後まで主人公は弁慶だと印象づけた。
酩酊していると思わせつつおバカな舞を見事に舞うシーンは、あほらしく意味がないと思われる仕事を振られても、そこはプロとしてやり切る、というメッセージなのかもしれない。
最後のクライマックスは、こう読み取れるかもしれない。
無事に義務を果たしたら、そこからあなたの本当の人生が始まるのです。力強く足で花道を叩き、劇場中に音をとどろかせ、あなたにしかできないインパクトのある素晴らしい舞を舞ったらいかがですか。
自分にとって、そうした舞とはどのようなものだろうか。
歌舞伎「勧進帳」は1840年の初演以来、歴代の有名役者が主人公の弁慶と富樫を演じてきた。とりわけ七代目松本幸四郎は生涯で1600回以上弁慶を演じ、昭和18年に歌舞伎座で行われた公演は歴史的な名演技としてDVD化されている。
最近では、2012年10月に九代目松本幸四郎と十二代目市川團十郎が、弁慶と富樫の役を昼の部と夜の部で入れ替えて競演して話題を呼んだ。私は幸四郎の弁慶、團十郎の富樫を観て洗練された迫力ある演技に感動した。逆の配役も見たいなと思いつつ公演は終了してしまった。それからわずか3カ月後に團十郎は急逝。持病の白血病が悪化し、66歳の若さであった。
先日、九代目幸四郎の息子で十代目幸四郎の弁慶による勧進帳を歌舞伎座で鑑賞した。幸四郎を襲名してまだ1年半、父親とは31年ものキャリアの差がある。プロとしてお金を取るレベルには達しているが、当然ながら九代目幸四郎の域には到底及ばない。傑出した演技というのはそうそうあるものではない、十二代目團十郎の弁慶も観ておけばよかったと後悔した。
勧進帳の筋書きだが、一言で言えば弁慶は理想の部下であり、上司である義経との温かい人間関係、それでも厳然と存在する上下関係を描いている。天下を追われた義経一行が山伏に偽装して逃亡。関所の関守・富樫は、山伏であれば東大寺再建への寄附募集を記した勧進帳を持っているはずだと迫る。何も書いていない巻物を咄嗟に取り出し、書いてあるであろう内容をアドリブで「読み上げる」弁慶。納得した富樫に酒を勧められると、たらいのような大きな器に注がれた酒に息をふきかけてアルコールを飛ばして一気飲み。足元がよたつきながら独特の滑稽な舞を舞って見せる。弁慶の仕事ぶりに感銘を受けた富樫は、義経一行ではないかと思いつつも最終的に関所を通過させる。それを理解した弁慶は心の底で富樫に深く感謝する。
そうして関所を越え、弁慶は義経や同僚たちを先に遠くまで逃げさせ、それを確実に見届けてから、最後に見事な独特の舞を舞いつつ花道から力強く出て行く。
この筋書きから、どんなメッセージを観客は受け取るだろうか。2012年と2019年の公演を比べると、脇役ながら義経がどのような演技をするかが肝になっている。2012年に義経を演じた坂田藤十郎は品と威厳にあふれ、いかに優秀な部下であっても、あくまでボスは義経なのだと思わせた。
2019年の公演で片岡孝太郎演じる義経にはそれほどのオーラがなく、最初から最後まで主人公は弁慶だと印象づけた。
酩酊していると思わせつつおバカな舞を見事に舞うシーンは、あほらしく意味がないと思われる仕事を振られても、そこはプロとしてやり切る、というメッセージなのかもしれない。
最後のクライマックスは、こう読み取れるかもしれない。
無事に義務を果たしたら、そこからあなたの本当の人生が始まるのです。力強く足で花道を叩き、劇場中に音をとどろかせ、あなたにしかできないインパクトのある素晴らしい舞を舞ったらいかがですか。
自分にとって、そうした舞とはどのようなものだろうか。
2019年9月1日日曜日
Review: Two Weeks Notice
In his recent interview, Hugh Grant recounted that he regretted being a romantic comedy movie star and said that he might as well have done something else.
This movie convinced me of that.
I guess the target audience is certainly women like myself -- a studious, stubborn and serious professional who is not afraid of speaking up for what she believes in. Men normally don't like these kinds of ladies or at least feel they're a bit annoying. That is the reality.
This movie is on the contrary. A cute and successful businessman played by Hugh Grant loves her. As a huge fan of him, I feel very good about that. At the same time, I can imagine he might not have enjoyed playing such a role, which led to his comments in the interview.
Having said that, I think one of the roles of Hollywood movies is to make the audience feel happy, and I did feel happy with this movie. So I would like to tell Hugh Grant that he did a good job, and has greatly contributed to society.
By the way, Donald Trump briefly appeared in a party scene in this movie, which surprised me!!
This movie convinced me of that.
I guess the target audience is certainly women like myself -- a studious, stubborn and serious professional who is not afraid of speaking up for what she believes in. Men normally don't like these kinds of ladies or at least feel they're a bit annoying. That is the reality.
This movie is on the contrary. A cute and successful businessman played by Hugh Grant loves her. As a huge fan of him, I feel very good about that. At the same time, I can imagine he might not have enjoyed playing such a role, which led to his comments in the interview.
Having said that, I think one of the roles of Hollywood movies is to make the audience feel happy, and I did feel happy with this movie. So I would like to tell Hugh Grant that he did a good job, and has greatly contributed to society.
By the way, Donald Trump briefly appeared in a party scene in this movie, which surprised me!!
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