2019年8月28日水曜日

悩める中年勤め人の模索

 若い頃はお金もなく働くしかない。だが50代になり老後資金の目途も立つと、お金を稼ぐ必要はさほどない。むしろ残りの人生が短くなり、お金よりも時間のほうが重要になってくる。

 やりがいのある仕事であれば、貴重な時間をかける価値はある。だが現実問題として、いつもやりがいと喜びに満ちあふれた仕事ばかりではない。
 
 例えば、こちらがわかりやすく説明した文書を送ったのに、読んでいないため状況を理解せず文句をつけてくる関係者に対して、文書を再送する。あるいは「添付ファイルをご覧ください」としたメールに添付ファイルがついていないため再送をお願いする。一部の関係者だけが事実を知っているが、その他大勢は知らされていないため、意味不明な朝令暮改につき合わされる。

 一方で起業家のレクチャーに行くと、Tシャツとジーンズに身を包んだ30代の若者が喜々として最近の技術、消費者動向について語っている。日本の高校になじめず1カ月で中退後、渡米してアメリカの高校を卒業してすぐにLAで天津甘栗を売る商売に成功。今では六本木ヒルズや麻布十番に人気のサラダ店を繁盛させている。店舗管理はクラウドで行い、店員同士が1日5回まで仲間にthank youを送ることができ、受け取った側は1回のthank you当たり50円の社内コインが貯まり、一定額に達したら給料として現金でもらえる。このシステムは「見える化」され、誰がいい行いをしているかが一目瞭然なので、みなthank youをもらえるよう頑張って協力する。

 この透明性の高いシステムに、意味不明な朝令暮改が入り込む余地はない。むしろ"f--k you"という負債コインが出回る可能性すらある。

 そこで突如として、ある人物が自らを「霞が関のドブネズミ」と称したことを思い出した。生物多様性を擁する生態系と同様、人間社会のいろいろな職業にそれぞれ役割があり、誰かが清掃人や汚物を分解する菌のような働きをする、ということだという。

 根本問題として仕事以外の人生は素晴らしいの一言なのだろうか。あおり運転、家庭内暴力、さらには自らの息子を殺害せざるを得ないと考えたエリート官僚などのニュースを見るまでもなく、そうでないことに気づく。

 ベトナム戦争中、中国はベトナムに武器や食糧を提供して支援した。だが中越戦争でベトナムは中国からもらった武器で中国人兵士を殺し、中国からもらったビスケットで飢えをしのいだという。ベトナムはずっと戦争をしていたので、中国よりも軍の経験値が高く、中国は自ら提供した武器によって劣勢に立たされた。

 世の中にはこうした「仕事」あるいは「人生」もあり、多くの仕事はこれよりはましだ、という考え方もある。

 とりあえず職場を一歩出たら、仕事と私生活をきっかり分けて人生を楽しむ、というのは努力してみる価値はあるだろう。そうして頭を切り替えてみれば、状況を打破する妙案も出てくるかもしれない。