GWは新緑の季節。リゾート地に別荘でもあれば素敵だろう。
現物を確認すべく軽井沢へ直行した。別荘のよいところは、ホテルのように予約が要らず、気が向いたらいつでも行ける点にある。だが新幹線は完全満席、高速バスも予定の2倍以上の時間がかかり、特に軽井沢に着いてからの渋滞は歩くのと変わらないほどの混みようだった。
不動産業者いわく、お金持ちは新幹線でJR軽井沢駅まで行ってタクシーで別荘へ移動。現地に置きっぱなしにしている車でドライブする。抜け道もあるが、それでも渋滞の激しいメインストリートをどうしても通らないと行けない場所もある。置いてある車のバッテリーは上がってしまい、ボンネットは花粉だらけ。着いたらまず車のメインテナンスから始めなければならない。
肝心の新緑だが、4月末時点で山間部はまだ桜も咲いておらず季節は冬。森林浴というより枝浴というほうが正しい。
森林浴の目的を果たせず欲求不満の私は、東京郊外の別宅へと向かった。
さすがに桜はとっくの昔に終わり、新緑で柿の木は元気一杯である。また植木屋さんに来てもらわないと伸び放題になってしまう。4年前にデュポン社製の分厚い防草シートの上に砂利を敷き、草取りから解放されたと思っていた。だが雑草の強さは目を見張るものがあり、この4年間に砂利の間に飛んできたわずかな土や枯葉の間からにょきにょきと草が生えている。
南天は最大の難点で、頼みもしないのに物置の物陰まで、至るところに新しい木を生やす。職場のある集団を髣髴とさせ、このヤローと葉の茂った枝をボキボキと折っていき、それだけでゴミ袋が一杯になってしまう。植木屋さんには「南天は〇〇の所にあるもの以外は、全て根こそぎとってください」と指示を出そう。
南向きの庭はこうして戦場と化し、一方で北側はほとんど草も生えていない。いかに生き物は太陽が好きなのかがわかる。まるでお金のあるところにたかる人間のようである。実際、南向きのマンションは北向きのマンションと比べて、はるかに高値で取引されている。
ある程度の庭があれば住宅地でも、森林浴というか少なくとも緑浴は楽しめる。だが問題は近所の家との距離である。都内では一区画30坪以下が大半で、隣家の窓まで数十センチしかない。60~150坪程度あれば、屋内の生活音は気にならないが、窓を開けっぱなしにする季節だと庭先でやっているバーベキューや会話、ボール遊びなどの音がかなりうるさい。
静寂の中で読書を楽しむには、山間部に350~500坪以上の土地を確保する必要がある。軽井沢の不動産業者いわく、坪7万円位の土地もあるという。国土交通省は現在、土砂災害危険地域の見直し中ということで、その結果が出てから地図を吟味してもいいかもしれない。
結局のところ、静けさを求めるのであれば、都心の賃貸マンションが確実という結論に達する。持ち家はお金があれば誰でも買うことができ、第三者が騒音のルールを決めて管理しているわけではない。賃貸マンションであればそうした細則があり、うるさければ管理会社に伝えることで改善される。そもそもオーナーや管理会社が審査して入居人を決めるので、とんでもない人がいる可能性は低い。それでもイヤならもっと審査のしっかりしたマンションへ引っ越せばよいが、いったん家を持ってしまうと売買の手間もかかる。
しかしながら、都心のマンションでは森林浴と言っても、せいぜいエントランス近くの植え込みやバルコニーから見える神社の木々くらいである。
日常の中で自然の癒しを求めるのは、なかなか大変だ。