2024年9月12日木曜日

書評 孫崎享著「戦後史の正体」 

 著者の孫崎享(まごさき・うける)氏は元外務省国際情報局長で、CIAなど諜報機関の動向に詳しい専門家。戦後の日米関係を日本の自主路線と追随路線のせめぎ合いという観点で、詳細な資料と証言であぶり出す。

 2012年に本書が上梓された当時はまだ自主路線への希望を持てる結論となっているが、現在では自民党総裁選の顔ぶれを見ると絶望しかない。

 国益を最優先させた首相や官僚はことごとく特捜部に追放され、でっち上げのスキャンダルでマスコミにたたかれ、不審死を遂げるといった結末に至っている。本書を読み、安倍首相暗殺などその後の展開を知ると、為政者が「ジャパンファースト」をやれば身の危険しかないという結論になる。

 米国の虎の尾を踏む行為とは1)在日米軍基地の見直し 2)中国との関係改善 3)米国債売却。こうした政策を提案、実行、示唆した田中角栄、鳩山由紀夫、細川護熙らはいずれも失脚した。

 自民党は発足当初からCIAの資金援助を受けてきたが、田中角栄は自らの財源を開拓して首相まで上り詰めた。その金脈を文藝春秋の立花隆が追及したことで辞任に追い込まれ、米国のでっち上げと不公正な裁判によるロッキード事件で政界引退に至った。

 日本は表面的には民主主義や法の支配を標榜しているが、実際には米国諜報機関の「力による一方的な現状変更」によって動いている。

 しかしながら、過去には必死で米国支配に立ち向かい、最悪の事態を避けた士もいた。1945年9月の終戦後、米国は日本が英語を公用語とし、米軍が印刷した紙幣を使い、三権全てを米軍に置くと通告した。

 当時の重光葵(しげみつ・まもる)外相はマッカーサーGHQ最高司令官と交渉して「ポツダム宣言は日本政府の存在を前提としており、この措置は混乱を招く」と主張し、上記の撤回を取りつけた。

 これとは対照的に対米隷従の売国奴はなんと昭和天皇だった。GHQ側に対して「沖縄を半永久的に軍事占領してほしい」と伝えたことが、米国の公文書でわかっている。

 終戦直後の米国の方針は、日本経済を韓国や東南アジアなど日本の旧植民地以下に抑えることで日本の台頭を防ぐことだった。だが米ソ冷戦で180度方向転換、日本を繁栄させて日米同盟を組み資本主義経済圏の最前線と位置づける。

 冷戦後は仮想敵国が消失したが、米国の軍事力を維持するため、見事な復興をとげた日本を新たな敵国とみなして衰退させ、利用できるところは利用しつくす。

 米国債を大量に買わせて売却を匂わせる政治家は追い出し、借りたお金は返さない。日本は世界一の米国債保有国で、2位が中国。 米財務省のデータによれば、2024年3月時点で米国債の保有残高は日本が1兆1878億ドル、 中国が7674億ドルとなっている。

 内海聡著「2025年 日本はなくなる」を読むと、米国による日本のさらなる植民地化、やりたい放題ぶりがよくわかる。

 皇室、自民党、日本政府はこぞって米国の傀儡にすぎない。日本人が自らを救うにはこうした事態を直視し、生物兵器であるレプリコンワクチンへの反対デモに参加するなど自ら行動するしかない。