2022年9月30日金曜日

勝沼ぶどう郷 シャインマスカットを満喫する旅

  JR中央線快速の終点・高尾からローカル線で1時間。ぶどうの産地やワイナリーで知られる山梨県勝沼の観光拠点となる「勝沼ぶどう郷」駅で下車。かつては勝沼駅と呼ばれたが、1993年に現在の駅名になった。

 平日の特急は1日1便しかない。各駅停車は特急料金がかからず、高速移動に伴う独特の疲労感もないためか、より気軽な旅行になる。

 プラットフォームが高原の高台にあり、のどかな風景を見渡せる。オーストリアのザルツブルクを思い出す。


 駅前のロータリーはこんな感じ。


 コロナと酷暑で2カ月ほど引きこもっていたが、ようやく状況も落ち着いてきた。旅行に快適な季節となったが、その一方でインフレと世界景気の先行き不透明感が気になる。

 どこか近場でいい場所はないだろうか。

 昨年の今頃、河口湖に行ったときにロープウエイ駅の近くで、地元で採れたシャインマスカットや甲斐路をかなりお得な値段で売っていたのを思い出した。

 日経新聞の記者時代、食生活ジャーナリストの会という団体の主催した勝沼のワイナリーツアーに参加したことがある。当時はそれほど知られていなかった岸朝子さんらと同じバスに乗り込み、マンズワインのテイスティングを楽しんだ。彼女はその後「料理の鉄人」で一躍有名になり、7年前に他界した。

 今では私はお酒は飲まないし、勝沼のワイナリーには当時を含めてすでに2回行ったことがある。シャインマスカットは大好きだが、高級食材で小さな房でも1つ1,500円~2,000円以上するため日常生活では手が出づらい。最近では巨峰や甲斐路もかなりお高い。

 そこで「日帰り旅行+思う存分ぶどうを堪能」をテーマに勝沼への旅を計画。事前にネットで調べ、HPのある果樹園も参考にしていたが、駅を出てすぐ左手にある観光案内所で地図を入手して「お勧めのぶどう園ってありますか?」と聞いてみる。


 案内所に置いてある「甲州市 フルーツマップ」には勝沼地域だけで94もの果樹園がリストアップされているが、なかでも勝沼観光センター・専果園はぶどうの種類が豊富で、園内にほうとう(山梨県の地元料理で野菜のたくさん入ったうどん)の食事処もあると言う。

 このほかの見所として、勝沼ぶどうの丘(駅歩15分)に展望台、レストラン、土産物店、ワインのサンプル、日帰り温泉(平日は15:00~)がある。その先にハーブ庭園・夢日記という入場無料の施設もあり、全て回るとなると徒歩ではかなりの距離になりそうだ。

 そこでレンタサイクルを借りることにした。多少の坂道はあるが、電動アシスト式なので大丈夫と案内所の女性が言う。都市部でも見かけるカード式のタイプで1日1,010円。


 まずは勝沼ぶどうの丘に到着。視界の開けた眺望を楽しめる。


 構内のワイン貯蔵庫・試飲コーナーには、日本を代表する方も来訪(😄)。


 さらに自転車を走らせて日光を浴びつつ、ぶどう畑の中を行く。かすかにぶどうの香りが漂い、どこか生ごみを想起させる。デラウエアの皮の山の匂いとも言うべきか。木になりつつ腐ってくることもあるのだろうか。だがゴミ置き場の臭いとは異なり、いい香りとそうでない臭いとの間に位置する微妙な感覚。

 香水それ自体の香りよりも、人間の体臭と微妙に混ざって発する匂いが、場合によってはやや気持ち悪く、だからこそ独特の魅力を醸し出す。いずれにせよ、ガイドブックやグーグルマップでは伝わらない現場感覚こそが、旅行の魅力である。

 道中の果樹園には、ぶどうのパックと小銭入れを置いた無人の販売所もあった。平和な世界の中にあるハーブ園に到着。HISなど旅行会社の大型バスも駐車場にとまっており、ツアー客もいた。多種類のハーブがあり、ラベンダー、コスモス、どこかモネの絵のような池もある(詳細はYouTube動画を制作中)。


 周辺には果樹園が数軒あり、たわわになったぶどうの下でシャインマスカットや甲斐路の味見をしながらお茶もできる。予約なしでぶどう狩り、採れたてのぶどうの購入や地方発送も可能。


 この果樹園ではぶどう狩りのできる種類は甲斐路のみだったので、観光案内所に教えてもらった勝沼観光センター・専果園に向かう。

 シャインマスカットがこれでもかと、鈴なりになっている。

 
 まずは園内の食事処でランチ。ほうとう(1,500円)は、だしのききかたが外食というよりも自然な家庭料理の雰囲気。かなり大きなキノコが山間地に来たことを実感させる。長野のなめこもびっくりするほど大きい。一人分でもかなりの量でお腹一杯。


 ぶどう狩りをできるかと尋ねると、無料サンプルを用意してくれた。全部で4種類のぶどう狩りが可能で「バナナ」という珍しい品種もある(左下、バナナの味ではなく😂、甲斐路に酸味を増した感じ)。


 これだけでデザート以上になりそうな、かなりの量だったので、まさか私一人分だとは思わず、残りを返却したら店員さんはやや気を悪くしたようだった。シャインマスカットを買った際に残りを袋に入れて一緒にしてくれた。

 4種類それぞれのよさがあったが、シャインマスカットが断トツだった。ぶどう狩りでは量り売りで大きめの房が1つ2,000円程度。その一方で店頭に並んでいる「規格外」(と言っても十分に整っている)のシャインマスカットも当日収穫したもので新鮮さはさほど変わらず、2~3房で2,000円。私の近所のスーパーで売っているものと比べて半額~3分の1の値段である。こちらを購入。

 帰りはフルーツラインという自動車道を行き、駅への近道の標識にしたがい、ぶどう畑の細い道に入る。歩行者か自転車でないと入れない道幅。途中で先ほどの「ぶどうの丘」が見える。


 駅に到着して自転車を返却。観光案内所の女性に報告して「おかげさまで素敵な一日でした」と御礼を述べる。

 電車は1時間に1本。早めに着いたので待合室の椅子に腰かけ、エアコンが効く快適な空間から絵になる風景を眺める。


 帰宅後にシャインマスカットを思う存分堪能し、残った分は冷凍保存してシャーベッドの感覚で味わう。とは言いながら、冷凍庫に入れても少しずつ変色してくるので、なるべく早く食べたほうがいい。

 

2022年9月27日火曜日

安倍晋三元首相・国葬の感想

 安倍晋三元首相・国葬を全中継したアーカイブ動画を見た。

 日本としては、とにかく国葬をしなければならない事情があったのだろう。そう感じた。半世紀以上を生きて海千山千と渡り合った経験から、直感的にわかる。

 国葬の前面に出て主役を張ったのは自衛隊であり、日本の軍隊だと印象づけた。自民党・内閣合同葬だったとしたら、自衛隊はここまでの存在感を出しただろうか。つまり、日本は曲がりなりにも主権国家であり、その象徴として防衛力を示す必要があった。

 素人がつくった散弾銃に安倍さんだけが見事に当たった。その背後はノーガードというあまりにも甘い警備。さらには事件後5日も経ってから現場検証が行われ、わざと証拠を発見できない状況を作り出すかのよう。誰が考えてもおかしい不自然なことだらけだ。

 安倍氏が殺害された表向きの理由は統一教会との関連であり、それ自体は事実なのかもしれない。だがもっと大きな内幕がなければ、日本の警察がここまでヘンテコなことにはならんだろう、どう考えても。

 権力者と大きな内幕が手を組み、お互いの利害が一致したのかもしれない。もちろん日本全体としては一大事である。マスク着用でまなざしや雰囲気でしか窺い知ることができないが、秋篠宮殿下はそうした経緯に呆然としているように見える。

 おそらく菅前首相も蚊帳の外だったのだろう。いまだに呆然として、結果を受け入れられない悔しさが挨拶ににじみ出ていた。菅氏が話し終わると思わず会場から拍手が出た。これとは対照的に、岸田首相の挨拶はどこか表面的で冗長だった。

 安部氏の弟・岸前防衛相が車椅子で登場したのも、いったい何があったのだろうか。

2022年9月19日月曜日

エリザベス女王国葬の感想

  昨日エリザベス女王の国葬が行われ、BBC、Sky News、王室などのYouTubeチャンネルで全行程が中継された。

 各国元首や歴代英国首相、王族がウエストミンスター寺院に入場。葬儀は聖職者の言葉や少年合唱団、パイプオルガンの演奏などで進行した。私も何度も訪れた場所で、当時のことを思い出す。

 英国が現在でも世襲による君主制であり、女王が特別な存在であることを世界に示す一連の行事だった。

 エリザベス女王は私が生まれる前から女王であり、永遠に君臨するような気がしていた。

 物心ついて初めて使ったノートの表紙が、バッキンガム宮殿の衛兵交代の写真だった。来日記念のスピーチを録音したレコードつきのを父が購入して大切にしていたのが、ある時に私にくれると言った。「本当にいいの?」と聞くと、「いいよ、勉強に役立てて」と。。

 素敵な思い出とともに女王は存在し、私が最も好きな外国の君主として身近に感じていた。このため、ひとつの時代が終わったという喪失感がある。

 しかしながら、スコットランドの城で死去して以来、延々と続く追悼行事と豪華絢爛な国葬には、どれだけの金額がかかっているのだろうか。女王の私有財産は約740億円と伝えられ、数々の宮殿や城、宝物、絵画、土地などを合算すると、いくらになるのか想像もつかない。

「国民のために奉仕した」とメディアは伝えている。たしかに一国の持つ価値をある一カ所に集結させることによって文化を保護・維持する、王室外交を行う、今回の国葬のように軍隊が伝統的な制服をまとい、一糸乱れぬ連帯で女王の棺を守り、聖職者とともに一連の儀式を行うことで全世界に国力を示すという効果はある。

 だが、そのような予算は高い税金によって賄われている。総費用16億円超えとも予想され、世界一お金がかかりそうな一連の儀式の全行程を、女王が生前に要望もしくは承認していたという。

 そのあたりを納税者はどう考えているのだろうか。

 大手メディアの多くは保守的で現体制を維持する方向で報道する傾向にあり、映像や写真には沿道で女王を見送る多くの人々が映し出される。

 イギリス人の友人と話してみると、別の感想も聞かれた。彼いわく、直接の知り合いでなくメディアを通じてのみ知っている人物であっても、誰かが死んだというニュースは悲しい。エリザベス女王個人が悪いわけではないが、自分は王室を支持していない。国家元首は選挙によって選ぶ共和制を採用すべきだ。

 ガーディアン紙は国葬を見ないことにした4人のイギリス人を紹介している。なかでも「一連の行事が長すぎる」とするロンドン在住の女性ライターの感想には共感を覚えた。

 天皇陛下は国葬の前日にエリザベス女王の棺に別れを告げる儀式に招待された際に、G7は個別の車を手配される予定だったが、ご自身はほかの出席者と一緒のバスでよいとして、そのようにされたという。

 こうした感覚があるからこそ、現在の天皇陛下は人気があり、日本文化の継承や皇室外交のために費用を払ってもよいと、私を含む相当数の国民が考えるのだと思う。

2022年9月12日月曜日

引きこもりのメリット

 この夏は酷暑とコロナ感染拡大に見舞われ、複数の知人も感染して深刻な症状を訴えていたため怖くなり、2カ月近く家にこもっていた。

 ようやく状況も落ち着きを見せはじめたが、この2年半は自主的な軟禁状態を何度も繰り返していた。

 引きこもり生活のデメリットは当然あるものの、メリットもあった。それらをまとめてみたい。

 もともと私は子供の頃から、外でボール遊びをするよりも、家で読書をしているほうが好きだった。大勢で集まるのも楽しいは楽しいが、一人でぼんやりする時間を好む。自粛生活のおかげで、こうした活動を堂々とできた。

 海外旅行のハードルが非常に高くなり、国内旅行しかできなくなったため、日本の知らなかった部分を理解することができた。最近では、わざわざ海外に行くよりも、国内をもっと探訪すべきだったとも思うほどだ。

 米国では自分の州や近所から出たことのない、あるいは出たいと思わない人にも会ったが、彼らの気持ちがわかる気がした。

 私は東京外大卒、フルブライト留学生、ロンドン暮らし、米政府勤務など、海外に目を向けた人生を送ってきた。それを否定はしないものの、あまりにも外国かぶれだったような気もしてきた。もっと日本の素晴らしい点を学ぶべきではなかったか、と。

 ただこう言えるのも、日本が儒教国家で若者よりも年寄りが優遇される社会であり、自分が中年になったから、という面もある。

 また女性の選択肢もこの10年ほどで劇的に多くなった。私が学生の頃は、大手企業の事務職に腰掛け就職→寿退社→専業主婦という生き方が主流だった。日本における女性の地位は近年格段に向上し、生きやすくなった。

 2カ月近く家から一歩も出ないことが可能だった物理的な理由としては、高台の広い家に住んでいることもある。草取りが重労働であるほど大きな庭もあるため、家から出ないと言っても、狭いマンションにこもっているのとは訳が違う。