高須クリニックの後継者・高須幹也はチャンネル登録者30万人を超える人気YouTuberとして活躍している。本来の目的は同クリニックのイメージ向上、患者獲得なのだと思うが、専門の美容外科の領域を超えて政治・経済など幅広い分野でもコメントしている。最近ではベーシックインカムに反対の意見を表明し、理由として勤労の意義や社会的弱者の保護を語っている。
通常は詳細な調査と客観的な視点で参考になることが多いが、昨日アップされた「隠れトランプ」に関する動画はかなりひどい。偏向情報による独断でトランプを絶賛し、彼自身が隠れトランプファンなのだろうと思うほどだ。私が卒業した大学院でこのような論文を書いたら、あまりのお粗末さで間違いなくFail(不可)だろう。
彼の主張はこうだ。世論調査には表れない「隠れトランプ」は米国有権者の10%を占める。2回目のテレビ討論会で、バイデンが脱石油と再生可能エネルギーへの移行を表明したのは致命的だった。石油や自動車産業を基盤とする接戦州での敗退は必至だろう。バイデンの息子が修理に出して取りに来なかったPCからは、未成年者との性交や中国との関連を示唆するデータが発見されたようだ。この時期にこんなニュースが出たことで、さらにトランプに票が流れる。
う~~ん。。人気YouTuberがこのような動画を流すのは危ない。そう思った私は、日頃はロムっていたものの初めて幹也の動画にコメントをつけた。以下にコピペします。
「脱炭素と再エネはもはや世界の流れでしょ。コロナや科学全般に関するトランプの無知さ加減には触れないの?『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』も前代未聞の政治意見を出してトランプ反対を打ち出しているし、そういう動きは無視なの? 幹也先生らしくもっと幅広い視点はないのかな。あるいはトランプが好きだから、そっちの方向に持っていきたいだけ? ちょっとこの動画は残念すぎる」
2時間後、別の視聴者も「米国の知識人や女性の大半、有色人種は間違いなく今回はバイデンに投票する」として、幹也への反対意見を述べた。それはそうだなと私も思う。
だが表向きには善良な市民と思われる人物でも、実は隠れトランプ支持者なのかもしれない。フロイトは言った。人間の自我は「超自我」(親や先生の教え、社会ルール、規範、理想)とリビドー(性欲、食欲、本音)のせめぎ合いである、と。能力や自信がない人ほど、人種や性別といった能力とは関係のない理由で他人を差別し、リビドーに走る傾向はあると思う。かつては優遇されたが今では自信を喪失した白人や男性の相当数が、ポリティカル・コレクトネスを真っ向から否定するトランプが登場したことで勢いづき、有色人種、外国人、女性を蔑視する傾向を増長させている傾向はあるかもしれない。
米国大統領選はあくまで米国民の選択であり、外野がガタガタ言うのは内政干渉なのかもしれない。だが世界一の経済大国で強大な軍事力を持つ国の行方は、世界全体に大きな影響を与える。(敬称略)