「新訂 学習カラー百科 3 日本の歴史」(1969年、学習研究社)という本が書棚にあった。戦後四半世紀も経たず、高度成長期の真っ只中に刊行された小中学生向けの参考書で平仮名表記が多いが、内容的にはかなり詳しい。当時の文部省検定も受けていないので、教科書よりも率直でわかりやすい書き方になっている。
通読した感想とメモ:
・石器時代、縄文時代で狩りや魚釣りで生活していた時代は、5~6人の集落で貧富の差はなくみな仲良く暮らしていた。
・農業が始まると、支配層・被支配層の区分ができた。それ以来、世の中は働かせる側と働く側に分かれ、富を持ち快適な生活をしているのは常に働かせる側。働く側は労働と税金に苦しむ。今の世の中では株主VS労働者の構図が当てはまる。
・世界史や日本史の本を通読してみると、優れた政治家はいなくはないが、かなり稀だとわかる。メルケル独元首相はそんな一人。
・満州事変はロシアのチェチェンテロと同じで、日本側が故意に起こした事故を中国のせいにして戦争を始めた。
・最澄は僧侶が都で人と会って遊んでいる現状と東大寺に失望、比叡山にこもって修行。その後の延暦寺を開いた。
・大航海時代のポルトガルでは、アジアとの貿易を3年やれば一生生活に困らなかった。
・日本は中国の文明を取り入れ、古くから文字を持ったことはよかった。持たなければ大英帝国に食われた先住民のような運命をたどっていただろう。
・ただ儒教の影響が強く、民主化が遅れている。つまり儒教社会のヒエラルキーで低い地位の個人(女性、若者)が思う存分実力を発揮しやすい環境ではない。大した経歴もなく頭も性格も悪い年寄りが堂々と私にマウントを取る態度にも、ただ単に年長だから偉いと言う自意識が働いている。
・江戸時代の士農工商という生まれによる階級社会と、鎖国による無知化はさらに上記構造を固定化した。
・その間欧州は大航海、産業革命、域内の競争、民主化が進んだ。日本の発展は遅れ、開国を余儀なくされた時点で欧米との差は歴然としていた。幕府から遠い山口、鹿児島、高知といった地方の人々によるクーデター的で短兵急な明治政府が発足、突如として欧米を猿真似。一般的な日本人に他者の動向を気にして真似する傾向が強いのも、こうした背景があるかもしれない。
・さらには突然天皇を国家元首に祭り上げ、その下にいる軍人とともにファシズムを推し進めた。第一次大戦中に欧州がアジアで手が回らない間にアジア侵略、自国の軍事力を過大評価して無理ゲーな太平洋戦争に突入。イタリアやドイツが降伏したあとも戦争を続けて、本土の被害を拡大させた。上意下達のメンタリティの強い日本人はこれに従い、究極の自爆テロである特攻隊まで賛美した。
・日本は形式的には民主国家とされているが、中身は85歳の麻生太郎が高市首相をあやつり、その上にいる米国やDSが日本を食い物にしている。男系男子以外は天皇になれない制度は救いようがないほど時代錯誤で個人の資質を無視している。
・結論として日本という国家は欧米と比較して劣っているし、私が身近に尊敬できる人がいないと感じるのも無理はない。ただ治安は比較的よく、食事の質は高く、京都の庭など文化の一部は素晴らしい。