話題になっていた映画「ルックバック」を観た。この作品、あるいはアニメ、実写に関係なく、私はもうフィクション映画の鑑賞は卒業したと再確認した。
この数年ずっと思っていたのだが、映画というメディアは観客の感情を操作すべくドラマチックなストーリー展開、ジョーク、音響効果を使う。これが私はあまり好きではない。
例えて言えば、糖分の多すぎるケーキや和菓子とも似ている。ほんのり甘いのは上品でも、最中、茶道に出てくる砂糖の塊のようなお菓子、羊羹、ホワイトクリームなどは甘すぎて耐えられない。多くの人はよくこんなものを口にできるものだと感心する。
「ルックバック」は台詞と比べて効果音楽の音量が大きすぎて、度々音量調整が必要なほどだった。あとは漫画、不登校、四毒まみれのファストフードなどがモチーフとなり、これらの要素が私の人生にはほとんど関係がないのも、のめり込めない理由だったと思う。
アニメ好きな人が「すごく感じが出ている」とその理由を説明する。だが私には、アニメ映画の絵はパーム油や人工甘味料を使った加工食品を彷彿とさせる。
子供だましと言うが、確かに私は子供の頃に「ガッチャマン」「ベルばら」「カルピスこども劇場」などを夢中になって見ていた。なので、こうしたジャンルの作品に一定の存在意義があるとは思う。だが今では添加物まみれのスナック菓子には食指を動かされないのと同じように、こうした映像作品を見たいとは思わない。
アニメや映画よりも国立西洋美術館のほうが比較にならないほどセンスがいい。ひとつひとつの絵から伝わってくるメッセージやオーラを全身を耳にして傾聴したほうが、はるかに創造的な刺激を受ける。
このほか散歩や旅行をして現実を観察したり、株価や為替レートを見て、なぜそう動くのかを考えるほうが、私には比較にならないほど知的で楽しい作業である。