2023年10月6日金曜日

タイガース優勝グッズ販売にみる、大阪の商魂

  先日は今季最後の公式戦を観戦。万全の勝ちパターンのはずが、まさかのサヨナラ負けだったものの、とにかく今年は余裕でリーグ優勝を果たした。

 あまりにも早く優勝が決まったため、球団側は関連グッズの販売が間に合わず、発売開始日の阪神百貨店梅田本店には早朝から2800人もの長蛇の列ができた。東京では京王百貨店5Fに入っているタイガースショップ、阪神戦の日に神宮に出るテント型店舗でも行列だったため、タイガースショップのオンライン販売で品定めをすることにした。

 そこで関東とは一味違う、大阪商人とは何かを窺い知ることができた。とにかく売上増のための戦略が半端ない😂

①優勝グッズとその他のタイガースグッズは同時注文できない

 タイガースショップのサイトに行くと、まず優勝記念グッズの特別サイトのポップアップが全面に出てくる。とりあえずポップアップをクリックすると、注意書きとして「優勝グッズのグループAとグループBは一緒に注文できない」とある。グループAが何なのかは不明だが、いずれにせよグループAは完売となっている。ここで客は「ううっ、早く買わないと。。」とあせりを感じる。

 さらには優勝グッズとその他のタイガースグッズも同時購入できない。このサイトでは通常、購入金額が5500円以上で送料無料となるが、優勝グッズだけで5500円以上買わないと送料(東京まで750円)がかかる、ということだ。

②優勝記念DVDは受注生産、ほかの優勝グッズとは別売

 さらに優勝グッズでありながら、記念DVD(5500円)はその他の優勝グッズとも同時購入できない😂 チーム密着の広報担当が撮影した映像、球団独自のコネを活用したインタビューなどが期待でき、タオル(1500円)やマグカップ(1350円)も一緒に買えば余裕で送料無料になるな~~という発想が見事に打ち砕かれる。ただ、この時代にブルーレイや4Kではなく、なぜDVDなのかは疑問が残る。

③260万円超の純金小判

 優勝グッズの中でも目を見張るのは、2,618,000円の純金小判😂 こうした商品が販売されているということは、相応のニーズがあるということだろう。ゴールドの価格は過去数年で右肩上がりを続ける高騰ぶりで、これにタイガース優勝のプレミアムがつけば、今後さらに高価格での転売が可能なのかもしれない。

関西の階級社会を生かす大阪商人

 関西には全国的に突出したお金持ちが存在する。芦屋の六麓荘、京都の老舗など。日本は全体として「ふつう」「みんなと同じ」といった概念が好まれるが、関西はやや違う。お金持ちと庶民の差が歴然とした階級社会であり、それを前提として物事が回っている。

 例えば、甲子園球場のグラウンドに近い前列席は年間契約者で占められ、公式サイトでチケットを買うことはできない。おそらく年間契約者は仕事や用事で忙しく、試合開始前に到着というよりは、2~3回以降にようやく現れる人も多い。このため甲子園の内野席は他球場と比べて、試合中に通路を歩いている人がたくさんいる。その一方で外野席は早々と埋まり、スタメン発表から大声援を送り続ける。

 もちろん外野席のチケットを試合ごとに買うほうが、プレミアム席を年間契約で押さえるよりはるかに安上がりだ。こうして外野=庶民による声援、バックネット裏や最前列に近い内野席=富裕層がお金を落とす、という役割分担ができている。東京ドームでも似た構図はあるが、神宮や横浜はそこまであからさまではない。

 ほかにも関西特有の階級社会を感じる場面として、甲子園球場の最寄駅である阪神電車の甲子園駅はきれいに整備されていたが、梅田から特急で一駅前の尼崎駅ではゴミ箱がかなり錆びついていた。少なくとも東京では、JR東日本や地下鉄、私鉄でも、どの駅もゴミ箱を含めこぎれいに管理されている。

 阪神タイガースは観客動員数で全国トップの人気球団であり、昨年は3位だったが営業利益は前年比倍増の74億円。今年は5月からコロナ規制もインフル扱いで大声援も戻り、見事優勝も達成したので、さらなる増益になるのは間違いない。

 このように爆益を上げながら、球団のコスト意識は徹底している。岡田監督自身も「そんなにもらってへん」と発言したように、年収1億円は少ないという印象だ。ただ今年は優勝したので、来年は年俸アップはあるだろう。

 今年の夏にはタイガースグッズやイベントを企画する契約社員を募集していたが、月収20万円台+ボーナスと初任給なみ。阪神ファンなら喉から手が出るほど魅力的な仕事だが、まさにそこを突いたやりがい搾取とも言える。

 商魂たくましいタイガースではあるが、チームを代表するマスコットのトラッキーやチアガールの向く方向、打点を上げた選手が次の回の守備位置から帽子を脱いで深々とおじぎをする先は、ライトスタンドである。

 経済的には底辺に位置するファンにこそ、最大限の礼を尽くす。そこに大阪商人の哲学を感じる。