ニート、リタイア、有閑マダム。。この状態はいったい何だろうか? 完全に自由という意味ではフリーターかもしれないが、コンビニ店員のバイトくらいはやっているイメージがある。
最近はあまり聞かないが、プータローという表現が合っているかもしれない。
土日はいずれにせよ休みなので実感はなかったが、月曜となると正真正銘のプータローである。しかし今日はメチャクチャ忙しかった。通勤する必要はなくなったため都心のマンションを引き払い、別宅として使っていた郊外の自宅に引っ越したからだ。
スピーカーのケーブルを完璧に用意したはずだったが、キャビネットの正しい位置にアンプを置くと足りない。ぎりぎり足りる別の場所に置き、とりあえず配線を済ませる。阿部寛主演のドラマ「結婚できない男」をまねして、和室を無理矢理に洋風のオーディオ部屋にする。
とりあえずCDプレーヤーに入っていたグリーグのピアノ協奏曲をかける。マンション暮らしの時は、クライマックスになると近所迷惑にならないよう音をしぼっていた。それがもはや必要ない。地域の建築協定で、隣家との境界線から1メートル以上離して家を建てなければならない規則があるため、各戸間の距離は最低2メートル離れている。夕方に雨戸とサッシをきっちり閉めれば、音量調節なしにフルに音楽を楽しめる。
そうすると今までは聞こえなかった微妙な音が聞こえ、全体的なオーラや繊細さが伝わってきた。6年前に買ったスピーカーがようやく本領を発揮しはじめたのだ。
ブラームスのバイオリン協奏曲を聴いていると、まるでドイツを旅行しているかのような感覚にとらわれた。高解像度の映像や写真よりも、はるかにリアルでやばいくらいに現地の雰囲気が伝わってくる。コロナ自粛中でありながら、ドイツの夏をドライブしているワクワク感がよみがえり、すごく癒された。
突如として、メルケル首相がアメリカの大統領だったとしたら、世界情勢も私の職場環境もここまでメチャクチャなことにはならなかっただろうと思った。物事の合理性や精緻さでドイツ人は抜群である。ドイツ人がトランプのような人物を国のトップに選ぶとは到底思えない。
振り返ってみれば、ヒラリー・クリントン国務長官の時代は最高だった。野生生物保護や気候変動に熱心に取り組み、米国大使館で情報収集や各国とのコンタクトづくりに不可欠な現地採用職員の重要性を理解し、世界中の現地職員が情報交換をするプラットフォームを立ち上げた。2016年の大統領選でヒラリーが大統領になっていれば、世の中ははるかによい方向に向かっていただろう。