2023年3月14日火曜日

ブラームス・ピアノ協奏曲第二番の難しさ

 サントリーホールからメールが届き、ブラームスのピアノ協奏曲第二番の演奏が行われるという。

 これはかなり珍しい。ブラームスの曲目を多く演奏される順に並べると、交響曲第一番>交響曲第四番>交響曲第二番>バイオリン協奏曲>>交響曲第三番>>>>>>>>ピアノ協奏曲(第一番・第二番)というくらい、ピアノ協奏曲の演奏は第一番・第二番ともほとんど行われない。

 このため誰の演奏だろうが、とにかくブラームスのピアノ協奏曲の生演奏を聴きたいと思い、さらには最前列中央といういい席で9220円(手数料込)と手頃だったのでチケットを入手、3月13日にサントリーホールへ足を運んだ。

 ブラームスのピアノ協奏曲第二番という演目のみにこだわっていたので、演者は当日プログラムを見て確認したほど気にしていなかった。ピアノソロ・河村尚子、山田和樹指揮・読売日本交響楽団による、河村氏のサントリー音楽賞の受賞記念コンサートだった。

 聴いてみて「ああ、この曲はすごく難しいんだな。そうか、だからあまり演奏されないのか」と納得した。

 私が家で聴いて親しんでいる演者はDaniel BarenboimKrystian Zimermanなど世界トップレベルとされるピアニストである。例えて言えば、五木ひろしや八代亜紀があまりにも自然に歌うので、無名歌手によるカバーを聴いて初めて演歌の大御所の偉大さを知る、といった感覚だろうか。

 ブラームスの二つのピアノ協奏曲のうち、第一番はわりと理解しやすい。第一楽章:絶望、第二楽章:安らぎ、第三楽章:動揺→希望といったところ。

 これに対して、ピアノ協奏曲第二番はブラームスがメンタルを病んでいたのではと思うほど構成がメチャクチャでわかりづらい。

 第一楽章は牧歌的で希望にあふれる感覚で始まるも、雲行きがあやしくなり、再び希望が現れ、疾風怒濤で締めくくる。

 第二楽章は苦悩と争い。

 第三楽章はピアノ協奏曲第一番の第二楽章と勘違いするほど、似たような安らぎを感じさせるものの、ずっと心中穏やかというわけでもなく、葛藤も感じさせる。朝日が差し込むベッドでまどろむ満ち足りた二人。心の中には様々な思いが渦巻く、みたいな感じ。
 
 第四楽章はあまりにも唐突で、第一楽章~第三楽章とどうつながるのか、さっぱりわからない。

 そもそも曲自体にまとまりがなく、だからこそと言うべきなのか、人間の感性がむき出しになるような場面がちりばめられ、そこらへんをていねいに美しく奏でることが、この作品のキモという感じがする。そうした積み重ね+全体を俯瞰したバランス感覚によって、曲自体のまとまりのなさを凌駕し、リアリティーをもたらす。私が親しんでいる一流ピアニストと欧州有名オーケストラの競演には、そうした趣がある。

 しかしながら、河村氏の演奏には「あれっ」というような乱れが散見され、それが一つの原因となり、全体的に完成度の低さを感じさせた。ディテイルも独特の魅力に乏しい。ただ第三楽章のチェロのソロとのやり取りはよかったと思う。

 そもそもベルリンフィル、ウィーンフィル、それに準じるオーケストラや演者とは、チケットの値段が違うのだから、違いがあって当然だという当たり前の事実に気づいた。

 例えて言えば、アメリカで韓国人が経営している寿司屋に入って「なんだこりゃ、東京の店とは違う!」と言っても、「そらそうよ」ということなのだ。

 結論として、世界トップクラスの演者に慣れ親しんだ向きは、そうでない演者のコンサートにはライブという理由だけで行くよりも、スピーカーやアンプ、高画質モニターなど家で楽しめる環境にお金をかけたほうがいい。

 

2023年3月11日土曜日

幅広い教養の重要性

 安倍首相の暗殺事件をきっかけに、統一教会の信者搾取と政治癒着が明るみに出てきた。幸福の科学の大川隆法総裁の長男・宏洋(ひろし)氏はかねて同宗教団体を脱退し、大手メディアが伝えないカルト宗教の実態を明らかにして信者を救う活動を行っている。

 そもそも、ある種の人々はなぜカルト宗教にはまるのか。

 人生に問題や苦悩があり、救済を求めて宗教にすがるのかもしれない。疲れを癒すために酒を飲む行為とも似ている。あるいは自分に自信のない女性が夫に頼り、子供の将来に賭ける。

 共通点は自分以外の存在への依存である。

 しかしながら、他者に依存することで問題は解決しない。それどころか宗教団体に財産を奪われ、アルコールで脳神経を失い、モラハラ夫に盲従することで自己管理能力が弱まり、ますます問題が悪化する。

 こうした依存心や、自分以外の何物かが全てを救済するという発想は、視野の狭さ=幅広い教養の欠如を表している。

 最近、母校の東京外国語大学の入試で共通テストの数学科目を増やしたことに関して、同窓会で議論があった。私の時代は共通一次で5教科7科目、しかも理科I(生物、化学、物理、地学を全て含む)と現代社会(政治経済と倫理を全て含む)は必須科目だった。これと比べれば、今はなんてラクなのかと驚いた。

 当時はもう二度とやりたくないと思ったが😅、無理矢理にでも幅広い科目を勉強したメリットはあった。なにか1つの科目を学んだら、それとは違う科目を学ぶ。そうした習性が身に着いたのは大きな収穫だった。

 文系科目をやったら理系科目。英語を学んだら中国語を習得。フルブライト留学後はイギリス大学院留学。府中で観梅後は青梅の梅の成長を見守り、国立の谷保天満宮を散策。年長者の話を聞いたら、若い人の意見も知る。

 このようなプロセスによって、なにか1つのものに頼らず、幅広い教養を養い、冷静な観察力と問題解決の能力が培われたと思う。

2023年3月3日金曜日

米国とカルト宗教の類似点

 おもちゃのような薄っぺらい街並に住み、「米国は美しく世界一」とねちっこいアクセントで強調する人々。それをイカれていると揶揄する海の向こう側の市民。

 アメリカという国はカルト宗教を彷彿とさせる。

 幸福の科学の大川隆法総裁が死去、長男の宏洋(ひろし)氏の言動が注目を集めている。宏洋氏は同宗教団体から脱退して「幸福の科学はカルト宗教であり、信者をだまして金を巻き上げている」と主張。父親から訴えられて裁判を続けていた。

 宏洋氏はかねて「カルト宗教から国民を守る党」という政治団体を立ち上げ、渋谷区議への出馬を表明。代官山や恵比寿の駅前で街頭演説を行ってきた。幸福の科学のみならず、統一教会、創価学会、エホバの証人などをカルト宗教と位置づけ、信者を食い物にする教団の危険性を訴えている。

 カルト宗教の特徴とは何だろうか。

 まずは独特の高揚感(😂)。ドーパミン出まくり、満面の笑顔、指導者への大喝采。

 以前、職場の先輩に「すごく面白いイベントがあるんだけど来ない?」と誘われ、一緒に行ってみたら公明党議員の演説会だった、ということがある。出席者は創価学会員でなんとも言えない高揚感に満ちあふれていた。

 第二の特徴は信じられない話(😂)。

 今では規制等でNGだと思うが、私が小学生の頃は下校時に校門の前で宗教団体がビラを配り、子供たちを集会に誘う、ということが行われていた。

 ある日キリスト教会のチラシに興味を持ち、友達と行ってみたことがある。そこではイエス様がどうした、こうしたという信じがたい話が延々と続いた。あまりにもバカバカしく退屈だったので、途中で抜け出して帰宅したのを覚えている。

 第三の特徴は、信者を騙す→略奪→弱体化→教団に依存→さらなる略奪→教団が私腹を肥やす、というサイクル😠。

 水がワインになる、エル・カンターレが全員を幸福にする、死後は多くの処女と性交できる、財産を教団に渡せば悪魔を追い払える――こういった話を信じられるのが、私には信じられないのだが、とにかく信者は騙されてしまう。

 そして収入の10%など財産を略奪され、信者の財力は弱まる。弱者は強者である教団に依存するハメになり、教団は略奪を繰り返す。結果として儲かり、救われるのは教団側だけ。「信じる者は救われる」と言われて信じた者は救われない。

 この図式を米国=カルト宗教にあてはめてみよう。

 米国には独特の高揚感がみなぎっている。God bless America。米国は世界一。私の親・配偶者・子供は世界一素晴らしい――米国で行われるスピーチ、集会、SNS投稿、クリスマスカードには、こうした文言が頻出する。

 これを日本に置き換えたらどうなるか。日本には神風が吹く。大日本帝国万歳。愚父・愚母・愚妻・愚夫・愚女・愚息は最高。こうした文言を政治家や企業経営者が演説で頻繁に述べたり、年賀状に書いてあったら「えっ」と思うかもしれない(😂)。

 第二の特徴、信じられない話はどうだろうか。米国が世界一素晴らしいのであれば、なぜ唯一の原爆投下国であり、戦争で市民を虐殺し、他国を挑発して戦争を引き起こすのか。むしろ世界一邪悪な国とすら言えるだろう。

 第三の特徴、信者を騙す→略奪→弱体化→教団に依存→さらなる略奪→教団が私腹を肥やすというサイクルはどうだろうか。

 日本=信者として例をあげてみよう。

 日本は唯一の被爆国だから核を持ってはいけない(なんだこりゃ、唯一の原爆投下国こそ核を持ってはいけないのでは)。米国が核の傘になるから心配いらない=ウクライナ、中東、東アジアで同時戦争が起きても、米国は日本を守る(=実際には不可能と思われる。京都議定書やアフガン、TPPから突然撤退したように、手のひら返しで梯子を外される可能性も。)

 日本の半導体産業は米国安全保障の脅威である。このため米国の規格に合わせ、日本の半導体市場における外国製品シェアを20%超にしないといけない(=1980年代にはNEC、東芝、日立が世界の半導体シェアトップ3を占めていたのが、見事に弱体化。日本全体の低成長、就職氷河期にもつながった。)

 コロナ感染を防ぎ、周囲の人々を守るためワクチンを打とう→ワクチンの目的は自らの重症化予防(=接種不明者を非接種者に含めていた厚労省のデータ改ざんが明らかになり、その後もワクチン接種者と非接種者で感染率や重症化率の差がどの程度あるのかは不明。ワクチンは全て米国製→日本は税金で買い取り→増税+2022年の超過死亡数は戦後最多。)

 このように各方面で米国の信じがたい話を聞いてきた日本は弱体化の一途をたどり、ますます米国に依存せざるを得なくなり、GDP4位以下に転落寸前。その一方で米国はGDP1位と自信満々の態度を続ける。

 しかしながら、カルト宗教の欺瞞がようやく明らかになってきた現状には希望を持てる。実の父親の洗脳を解き放ち、カルト宗教の犠牲者を救う活動に乗り出した大川宏洋氏の存在にも勇気づけられる。

 過去にフルブライト留学生や米政府職員として洗脳されていた自分ではあるが、今では米国を冷静に観察することで新たな力を感じている。