昨晩、ベルギー王立リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートに行った。
1960年設立と新しいオーケストラである。最初の曲はルクー「弦楽のためのアダージョ」という、作曲家も曲もまったく知らない演目だったが、全体的な暗さが渋く伝わる佳作であった。
2曲目はモーツアルトのピアノ協奏曲第20番で、第二楽章を聴いて、ああこれかと思った。日本人のピアニストでいまいちピアノのインパクトはないものの、全体としては整っている。正式な休憩に入りトイレが込み合う前に行っておこうと思い、まだ拍手が鳴りやまないうちに席を立った。用を済ませて席に戻ろうとすると、ピアノソロのアンコールの最中で中には入れなかった。モーツアルトの小品と思われ、外から聞こえてくる雰囲気では退屈で、生で聴くのを逃してもさほど惜しくはなかった。
前座の2曲が終わり、いよいよ目当てのブラームス交響曲第一番が始まった。だが楽器間の連携がちぐはぐ、強弱やタイミングの取り方にも意味が見出せない。正直、ちょっとこれはひどいなと思った。指揮者が全体の構成を熟考したとはとても思えず、また管楽器の滑り出しもスムーズではない。大学の成績をつけるのであれば、不可といわざるを得ない。
それでも満席に近い観客は拍手喝采で喜んでいる人々も結構いた。どう見てもスケートの羽生結弦選手ではないかと思える美しい男性も後ろに座っている。遠くから交通費をかけて忙しい中時間を割き、家族や友達、恋人と一緒に来た人もいるだろう。なので心の中では(え~~。。。)と思ったとしても、「よかったね~~」と言わないといけないプレッシャーを感じた人もいたかもしれない。
チケットの値段はS席1万5000円、A席1万1000円で、外国のオーケストラとしてはそれほど高くはない。ウィーンフィルやベルリンフィルを聴いてしまうと、当然ながらそれを上回るオーケストラはまあないわけだし、あったとしても上回るというよりは何か別の理由で特別な感覚を味わう、という感じだろうか。
もし素晴らしいコンサートだったら、ブリュッセルの同僚に報告しようと思っていたのだが、それはなしになった。正直なあまり時としてネガティブ全開な私でも、わざわざ「不可」の報告はしない程度の外交力は持ち合わせている。