2018年4月9日月曜日

別荘を持つメリット・デメリット

  あるネット掲示板でアラサーの独身女性が「軽井沢で安く売り出されている別荘をキャッシュで買いたいが、どう思うか」という相談をしている。

 年1・2回しか行く予定がないらしく、この例はさすがにコスパが悪すぎるとは思う。大半の回答は維持費や手間を考慮してやめろというものだ。

 別荘に限った話ではないが、一戸建てのメインテナンスは金銭面のみならず予想以上の手間隙がかかる。屋根、外壁、水道管、水周りのリフォーム、庭の木など次から次へと手入れや修理が必要となる。風通しや布団干し、庭の手入れは最低でも月1回、夏場は2~3回はする必要があり、自分でできなければ管理会社に委託して別途費用がかかる。

 複数の業者を呼んで作業内容を尋ねると、同じ問題にもかかわらず解決方法やコストが見事に千差万別である。一体誰を信じていいのかわからず、結局は素人の自分が警察官のように徹底的に尋問して矛盾点やおかしな点がないかを洗い出し、最終的に予算と相談したうえで自分で判断するしかない。

 こうした仕事のような作業のため週末がつぶれる。お金持ちなら執事を雇ってお終いなのだろうが、 そうした富裕層は総人口の0.01%もいないだろう。

 だが別荘にはホテルとは別物のメリットがある。件の掲示板では少数だが賛成意見もあった。「独身を貫き自由に生きたいとなると、別荘は心の拠り所となり仕事の励みにもなる。別荘があれば夫なんて要らないかな」「別荘とホテルを同列に扱うのは間違っている。別荘はカタログ的な華やかさとは無縁、自然や自分の内面と向き合う場だ」

 長いこと人生をやっていると人間不信に陥ることもある。多くの人々は結婚して子供を持ち家庭中心の生活になり、独身者とは価値観や生活のペースが変わる。昔は100%理解しあえた友達でも、それが永遠に続くわけではない。

 頑張って働いてある程度の結果を出せば、肩書から〇〇ができるに違いないと妄想して近づいてくる人々もいる。親戚や旧友からもそうした扱いを受けるとげんなりする。国家から税収入のターゲットにされるのは言うまでもない。

 そうした中、独身のプロフェッショナルこそ別荘を持つ意味がある。

  仕事場から物理的に距離を置くことで、日常生活から完全なブレイクを取ることができる。ホテルはチェックアウトの時間に縛られ、所有物は全て持ち帰なければならず、気に入った部屋でも翌日は他人のものだ。別荘には自分の都合に合わせて予約なしにいつでも戻ってくることができる。 

  親から戦争体験を聞いて育った感覚では、不安定な国際情勢で戦争になれば狙われるのは都心部であり、いつでも避難できる場があるのは安心材料にもなる。

  草取りは大変でも、ひょっこり現れるカマキリや防草シートを突き破って生えてくる雑草と出会い、自分は一人ではないと実感する。こうした生物は口八丁手八丁の業者、他人にたかることばかり考えている手合い、価値観が変わり話のかみ合わなくなった友達、心変わりしつつあることを隠すために見え透いたウソをつく交際相手、的外れなライバル心に燃えてマウンティングしてくる知己ではない。

 ここまで厭世的でなくても、世の中のペットブームには多少なりともこうした感覚があるのだと思う。自然環境の豊かな別荘では、敷地内の全ての生物が自分を癒してくれる放し飼いのペットなのだ。